クリスマスケーキは「もうからない」?洋菓子店の工夫と苦労

洋菓子店から「クリスマスケーキやめたい」の声も…イチゴ1パック2000円超!?止まらない“材料費高騰”で利益率は低下|FNNプライムオンライン

間もなくやってくるクリスマス。胸を高鳴らせる人も多い一方で、クリスマスケーキを作る洋菓子店からは「クリスマスケーキをやめたい」という声も…洋菓子店を直撃しているのは、材料費の高騰だ。卵・イチゴ・チョコレートなどが軒並み値上がりして…

サンタクロースを待ちながら、家族や友人とケーキを囲む――。そんな光景の裏で、いま多くの洋菓子店は厳しい経営環境に置かれています。
卵やイチゴ、チョコレートなどの原材料価格が上がり続け、「クリスマスケーキはもうからない」と語る店主も珍しくありません。華やかな季節商品の裏側では、どのような経済の変化が起きているのでしょうか。

身近なクリスマスケーキを手がかりに、世界と日本の経済がどのようにつながっているのかを見ていきます。

原材料価格の高騰が直撃する現場

FNNプライムオンライン(2024年12月)によると、クリスマスケーキに欠かせないイチゴは1パック800〜1,000円程度と、前年より約2割高くなっています。需要が集中する12月下旬には、2,000円を超えるケースも見込まれています。
チョコレートの原料であるカカオ価格も上昇しています。その影響で、フランス産チョコレートは1kgあたり約8,000円と、過去より2,000〜3,000円高い水準です。
卵、バター、小麦粉、砂糖といった基本原料も例外ではありません。

背景には、世界的な物流費の上昇、主要生産国での天候不順、円安による輸入価格の上昇があります。
砂糖はタイやインドでの不作、小麦はウクライナ情勢とエネルギー価格の高止まりが供給に影響しています。こうした要因が重なり、洋菓子店の原価は大きく押し上げられています。
価格にすべて転嫁できれば問題は小さくなりますが、実際には難しい状況です。

2024年は1ホールあたり平均300円前後の値上げを行った店もありますが、値上げ幅には限界があります。その結果、販売数が伸びても利益が残りにくい構造になっています。

人手不足と固定費という見えにくい負担

洋菓子店を圧迫しているのは、材料費だけではありません。電気代や冷蔵・冷凍設備の運転コスト、人件費の上昇も、経営に重くのしかかっています。
クリスマス前は短期間で大量にケーキを作る必要があるため、アルバイトや臨時スタッフを確保しなければなりません。しかし、全国的な人手不足の影響で賃金水準は上昇しています。必要な人数をそろえるだけでもコストがかさみ、利益率はさらに下がります。帝国データバンクによると、2024年1〜5月の洋菓子店倒産は18件と、過去最多ペースで推移しました。
高コスト構造と価格競争が同時に進む状況は、業界全体の大きな課題となっています。

洋菓子店の倒産が増えている

近年、洋菓子店の倒産が増加しています。帝国データバンクの調査によれば、2024年1月から5月までに "街のケーキ屋さん" を中心とした洋菓子店の倒産件数は18件に達し、これは2000年以降で最も多かった2019年(49件)を上回るペースです。

この背景には以下の要因が挙げられます:

  • 原材料費の高騰:砂糖や生クリーム、特に輸入チョコレートの価格が急上昇
  • 競争の激化:コンビニや大型チェーンが低価格で高品質なスイーツを提供
  • 運営コストの増加:電気代や人件費の上昇が店舗経営を圧迫
帝国データバンク レポートより
クリスマスケーキは経済の縮図

クリスマスケーキ1台の価格には、国内外の経済が凝縮されています。イチゴの生産環境、チョコレート原料の国際価格、為替相場、エネルギー価格、労働市場の状況が重なり合い、最終的な値段が決まります。これは、私たちが日常で購入する多くの商品にも共通する仕組みです。

同じテーマでは、農林水産省が2025年10月に発表した国産イチゴの輸出拡大策も注目されています。国内生産の構造や流通が変われば、将来の価格形成にも影響を与える可能性があります。身近な商品を通じて、経済のつながりを考えることができます。

まとめ
  • イチゴやチョコレートなど主要原材料が大幅に値上がり
  • 円安とエネルギー価格高騰が原価を押し上げている
  • 人手不足と電気代上昇で固定費も増加
  • 洋菓子店の倒産は過去最多ペースで推移
  • 予約販売とデジタル化が経営安定の手段になっている

クリスマスケーキの価格が上がる理由を知ると、経済は決して遠い存在ではないと分かります。世界の天候や為替の動きが、身近な買い物に直結しているからです。「なぜ高くなったのか」「どんな要因が重なっているのか」を調べることは、ニュースを理解する力につながります。

商品を選ぶという行動は、企業や産業の方向性に影響を与えます。今年のクリスマス、ケーキを味わいながら、その背景にある経済の仕組みにも目を向けてみてください。そこから、より深い学びや新しい疑問が生まれるはずです。