なぜ黒字でもリストラ?日本企業の生き残り戦略
黒字でもリストラに着手、変わる日本企業-24年は3年ぶり1万人超え - Bloomberg
最後の手段と見なされてきたリストラに、最終損益が黒字の段階でも着手する企業が増えている。民間調査によると、2024年に早期・希望退職募集を実施した上場企業のうち、約6割が直近の決算で最終黒字だった。
日本では利益が出ている黒字の企業でも働く人を減らすリストラを進める動きが広がっています。
コロナが終わり、景気が回復しているにもかかわらず、会社間の競争や事業のやり方を変える必要が理由となっています。このような変化は、若者が将来の仕事を考えるうえで大切なヒントになるかもしれません。なぜ黒字企業でもリストラを行うのか、一緒に見ていきましょう。
大手企業による早期退職の動向
2024年、多くの大手企業が働く人を早期退職させる動きを見せました。理由はそれぞれですが、共通して新しい分野に力を入れたり、無駄を省いたりすることが目的です。
- リコー:約2000人を減らし、デジタル分野に力を入れる。
- 第一生命:約1000人を対象にした退職支援を実施。新しい分野や海外進出を目指す。
- 富士通:利益が少ない事業をやめ、約200億円をかけて改革。
- ソニー:ゲーム会社で約900人を削減し、効率を上げる。
- 資生堂:1500人を退職させ、収益が高い事業を強化。
- オムロン:中国の不調を受け、約1000人を削減。
これらは、利益を出し続けながら未来の成長を見据えた動きといえます。
リストラの現状と増加理由
リストラとは?
リストラとは、会社が利益を上げたり未来の成長を目指したりするために、人を減らしたり仕事のやり方を変えることです。例えば、無駄をなくしたり、新しい分野に力を入れることが含まれます。これによって会社が強くなることを目指しますが、働く人には大きな影響があります。
2024年のリストラ動向
2024年、日本では約1万人が早期退職を募集されました。これは前の年の3倍で、会社同士の競争が激しくなったことや、利益が少ない仕事を見直す必要があることが原因です。リストラをした会社の6割は黒字の会社でした。
企業間格差と資本コスト
一部の会社はコロナの影響から回復しましたが、他の会社は競争に負けそうな状況にあります。また、技術の進化についていけない会社は、仕事のやり方を変えなければなりません。さらに、利益を上げるための経営をすることがリストラを進める理由にもなっています。
新たな雇用市場の動き
中高年の転職が増える理由
リストラが進む中で、40代以上の人たちが転職市場で注目されています。これまでは新卒の採用が多かった日本企業ですが、最近では中途採用や経験を重視する傾向が強まっています。特に40代や50代の人が転職するケースが、ここ10年で5倍近く増えています。
柔軟な働き方の広がり
仕事を辞めた人が新しい職場で力を発揮できるように、働き方が柔軟になっています。こうした動きは、企業と働く人の両方にメリットをもたらします。
中小企業の黒字リストラ
中小企業でも黒字でリストラを行う例がありますが、大企業に比べ頻度は低い傾向です。例えば、地方の製造業では海外からの安価な製品との競争に勝てず、事業縮小を余儀なくされたケースや、飲食業で店舗拡大の失敗から人員整理を進めた例が報告されています。
中小企業がリストラを行う理由
- 経営資源の最適化:限られた資源を効率的に活用するため。
- 事業戦略の転換:成長分野への集中投資。
- 資金繰りの安定化:将来リスクを軽減するため。
また、中小企業のリストラは規模が小さく、従業員との合意が重視される点が特徴です。これらの動きが地域経済や雇用環境に与える影響にも注目が必要です。
若者が考えるべきポイント
これらの動きは将来の働き方を考えるヒントになります。
未来を見据えた行動を
- AIやロボット技術への対応:これらの技術を活用できるスキルを身につけることが重要
- 環境関連の仕事への関心:環境保護や持続可能な開発に関連する職業の可能性を考える
- 職業選択の柔軟性:どんな業界でも変化があり得るため、複数のスキルを習得
- 中途採用の視野:新卒だけでなく、キャリアアップのための転職も選択肢
- 経済変化への対応力:企業の戦略や経済動向を理解し、自分のキャリアを設計する力
まとめ
- 黒字企業でも競争力を維持するためリストラを実施
- 資本コストや株主の圧力が事業再編を促進
- ミドル世代の転職市場が活性化
- 中小企業も経営資源の最適化や成長戦略の一環としてリストラを実施
- 若い世代には柔軟なキャリア形成と多様なスキルの習得が必要
家族で以下のような話し合いをしてみてはいかがでしょうか。
- なぜ黒字企業でもリストラが行われるのか考える。
- 大人になったとき、どのようなスキルが必要だと思うか意見を交換する。
- 職業選択で何を重視すべきか話し合う。
これらを考えながら、自分が興味を持つ分野や身につけたいスキルをリストアップし、実現のための目標を設定してみましょう。また、家族や先生と相談しながら情報収集を進めることで、将来の選択肢を広げるきっかけを作りましょう。
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