なぜ日本のライブチケット購入は複雑?:転売問題と手数料
ライブイベントのチケット購入は、日本特有の複雑なシステムが原因で、国内外でしばしば議論の的になります。
特に、転売業者を防ぐための仕組みや多段階にわたる手続きが、購入者にとって大きな負担となっています。また、チケット代以外にかかる手数料の高さも課題となっています。
チケット購入が難しい理由
転売防止のための仕組み
日本では、人気イベントのチケットが転売業者によって高額で再販売される問題が深刻です。この問題への対策として、以下のような仕組みが導入されています。
- 抽選制の採用: 応募者の中からランダムで当選者を選ぶ方式により、大量購入を防ぎます。
- 複数のアカウント作成: チケット購入には、販売サイトごとにアカウント作成が必要です。ファンクラブ先行販売では、さらに別の登録が必要な場合もあります。
- 専用アプリの利用: 電子チケット管理のための専用アプリが普及しており、不正転売や偽造を防止する役割を果たしています。
これらの対策は、正規購入者が適正な価格でチケットを購入できるように設計されています。
転売がもたらす問題
転売が問題視される主な理由は以下の通りです。
- 価格の高騰: 転売業者が人気イベントのチケットを買い占め、高額で販売するため、本来の価格以上に高騰します。
- 正規購入者の不利益: 一般のファンが定価で購入できる機会が減り、転売サイトを利用せざるを得なくなる場合があります。
- 不正チケットの増加: 転売されたチケットの中には偽造や無効のものが含まれ、購入者が被害を受けるリスクがあります。
- 主催者の収益減少: 転売が横行すると、正規ルートでの販売数が減り、主催者の収益が減少する可能性があります。
このような理由から、日本では転売防止策が強化されています。
システムの使いにくさ
さらに、チケット購入システム自体の利便性が低いことも、購入者にとっての障害となっています。
- 操作性の低いウェブサイト: 情報が分かりにくく、必要なページにたどり着くまでに手間がかかります。
- 多段階の手続き: 購入までに複数のステップを踏む必要があり、混乱する購入者も少なくありません。
これらの要因が、購入手続きの煩雑さをさらに悪化させています。
チケット代以外の手数料がかかる理由
手数料の内訳
チケット購入時には、以下のような手数料が発生します。
- システム利用料: チケット販売システムの運営や維持に必要な費用で、通常220円程度。
- 決済手数料: クレジットカードやコンビニ払いにかかる費用で、220~330円程度。
- 発券手数料: 紙のチケット発券や電子チケット発行の費用で、110~165円程度。
手数料の値上げの背景
近年、これらの手数料が値上げされるケースが増えています。その背景には以下の要因があります。
- セキュリティ対策の強化: 不正アクセスや不正利用を防ぐためのコスト増加。
- システムコストの上昇: サーバー維持費やシステム開発費の高騰。
- 物価高騰の影響: 紙や印刷コスト、通信費などが上昇していること。
これらの手数料は、安全性や利便性を確保するために必要ですが、購入者にとっては大きな負担となっています。
まとめ
- 転売防止: 抽選制やアカウント登録、専用アプリの導入が転売対策として機能
- 転売問題: 価格高騰や正規購入機会の喪失、不正チケットのリスクが課題
- システムの課題: 利便性向上が求められる
- 手数料の内訳: システム利用料(220円)・決済手数料(220~330円)・発券手数料(110~165円)
- 値上げの背景: セキュリティ強化や物価高騰が主な理由
日本のライブチケット購入システムは、独自の文化や安全性を重視した結果として成立しています。しかし、ユーザー体験の向上や手数料の透明化が求められているのも事実です。これからの改善に向けて、購入者の声を反映した仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
また、海外の方にもストレスなく買ってもらえるようにすることで、もっとたくさんの人達が日本を訪れるきっかけになるかもしれません。
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