マリオさんのスーパーマーケット=スーパーマリオ:任天堂に訴えられる

任天堂が「スーパーマリオ」を訴えるも敗訴 - GIGAZINE

コスタリカのアラフエラ州サン・ラモンにあるスーパーマーケット「SÚPER MARIO」(スーパーマリオ)が公式Facebookにて、任天堂相手の訴訟に勝利して商標登録に成功した事を報告しました。

「商標権」とは、企業や個人が自分の商品やサービスを他と区別するために使う名前やロゴを守るための権利です。しかし、この商標権を巡るトラブルは世界中で発生しています。
日本でも、「フランク三浦」事件や「面白い恋人」事件など、パロディ商標を巡る裁判が近年相次いでいます。

本記事では、日本や海外の有名な商標裁判を紹介しながら、商標権の仕組みとその重要性について考えてみましょう。

商標権とは?

商標とは、企業や個人が自分の商品やサービスを他と区別するために使う名前やロゴ、デザインのことです。
例えば、「スーパーマリオ」という名前は任天堂がゲームや関連商品に使用するために登録した商標です。ただし、商標には「登録された分野」という制限があります。
任天堂はゲームやおもちゃの分野で「スーパーマリオ」を登録していますが、食品小売業では登録していません。このように、商標権は特定の分野でのみ効力を持ちます。

コスタリカの「スーパーマリオ」事件

コスタリカで起きた「スーパーマリオ」事件は、商標権の適用範囲がどこまで及ぶのかを示した事例です。
現地のホセ・マリオ・アルファロ・ゴンザレスさんが、自身の経営するスーパーマーケット「SÚPER MARIO」を商標登録しようとしたところ、任天堂が異議を申し立てました。任天堂は「スーパーマリオ」という名前を独占的に使用する権利があると主張しましたが、裁判所はゴンザレスさんに有利な判決を下しました。

その理由は、任天堂が食品小売業という分野では商標登録していなかったためです。また、ゴンザレスさん側は「スーパーマリオ」という名前を使っているものの、任天堂の商品やキャラクターとは無関係であることを強調しました。この結果、「SÚPER MARIO」は食品小売業として正式に商標登録されました。

日本で話題になったパロディ商標裁判

1. フランク三浦事件
高級時計ブランド「FRANCK MULLER(フランクミュラー)」をもじった「フランク三浦」が問題となった事件です。「フランク三浦」はデザインや価格帯が異なるため、消費者が混同する可能性は低いと判断されました。
知的財産高等裁判所は「フランク三浦」の商標登録を認め、その後、最高裁判所はフランクミュラー側の上告を退け、判決が確定しました。

2. 面白い恋人事件
北海道銘菓「白い恋人」をもじった吉本興業の「面白い恋人」が訴訟対象となりました。「面白い恋人」はパロディ商品として販売されていましたが、「白い恋人」と混同される可能性があるとして「白い恋人」を製造している石屋製菓が提訴。最終的には和解が成立し、吉本興業側はパッケージデザインを変更し、販売地域を関西6府県に限定することで、「面白い恋人」の販売を継続しました。

3. KUMA事件
スポーツブランド「PUMA(プーマ)」をマネした「KUMA」というブランド名が問題となりました。「KUMA」は熊のロゴを使用していましたが、「PUMA」のロゴと類似していると判断され、最終的に商標登録は無効となりました。

海外で注目された事例

HERSHEY'S事件(アメリカ)
アメリカでは、有名なチョコレートブランドHERSHEY'S(ハーシーズ)が、小分け販売された自社のチョコレートアソート商品について訴訟を起こしました。このケースでは、HERSHEY'Sのロゴやパッケージデザインが無断で使用されたことが問題視されました。裁判所はこれを商標権侵害と認め、HERSHEY'S側が勝訴しました。

商標権から学べること
これらの事例から私たちが学べるポイントは以下の通りです:

  1. 商標権には分野ごとの制限がある
    登録された分野以外では同じ名前でも使用できる可能性がありますが、それでも混同を引き起こす場合には問題になります。
  2. パロディには注意が必要
    ユーモアや創造性を取り入れたパロディ商品でも、大企業とのトラブルにつながる可能性があります。例えば、商標侵害と判断されると販売禁止措置が取られたり、損害賠償を求められることがあります。
  3. 法的知識と準備の重要性
    小さなビジネスでも法律について基本的な知識を持つことで、大企業との争いにも対応できる場合があります。
  4. 地域コミュニティとの連携
    コスタリカの「スーパーマリオ」事件では、地元コミュニティや弁護士の支援が大きな助けとなりました。
まとめ
  • 商標権は特定分野ごとに管理されていて、自分の商品やサービスに適した範囲で登録する必要がある
  • パロディ商品には慎重さが求められるので、ユーモアだけでなく法的な視点も考慮する必要がある
  • 法律知識や専門家との連携は、小規模ビジネスでも大企業との争いにおいて重要

商標を守るためには、まず適切なカテゴリーで商標登録を行い、競合するブランドとの違いを明確にすることが重要です。また、デザインやロゴが既存の商標と類似しないか事前に確認し、必要に応じて弁護士の助言を受けることも有効です。
もしあなたがお店やブランドを作るなら、その名前やデザインをどう守りますか?また、有名ブランドとの違いをどう伝えますか?

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