不祥事後の株は買い?フジHDと他社の事例から考える

フジHD株一段高、「ひふみ」レオス5%超保有-17年超ぶり高値 - Bloomberg

フジ・メディア・ホールディングス株が午後に一段高となり、17年超ぶりの高値に値上がりしている。投資信託「ひふみ」を運用する著名な運用会社レオス・キャピタルワークスの株式保有が明らかになった。

フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)は、不祥事が発覚したにもかかわらず、株価が急上昇しました。2025年2月10日には、一時7.5%高の2705円を記録し、2007年5月以来の高値となりました。

通常、不祥事が起きると株価は下落することが多いものですが、なぜフジHDでは逆の現象が起きたのでしょうか?

フジHDの株価が上昇した理由

1. 割安感と資産価値への注目
フジHDは不動産を多く保有し、資産価値の高い企業です。しかし、株価は低評価されており、PBR(株価純資産倍率)は「0.47倍」(2025年1月時点)と割安でした。
このため、投資家は「お買い得」と判断し、株価が上昇しました。

2. 経営改革への期待
不祥事をきっかけにフジHDの経営陣が交代し、新たな経営体制がスタートしました。投資家はこれを「企業改革のチャンス」と考え、将来の成長に期待して株を購入したことで、株価が上昇しました。

3. 有名投資会社の参入と投機的な動き

フジHDの株式を大量に購入したのは、「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークスです。同社は1月20日から2月6日にかけてフジHDの株を買い集め、5.12%を保有する大株主となりました。この発表により、多くの個人投資家が「プロの投資会社が注目しているなら、自分も買うべきでは?」と考え、買い注文が増加しました。

さらに、SNSや投資系メディアで「大手投資会社が参入し、フジHDの株価が割安である」との情報が拡散され、多くの個人投資家が関心を持ちました。X(旧Twitter)やYouTubeの投資系チャンネルで話題となり、短期間で売買を行うデイトレーダーの取引が活発化し、株価の上昇がさらに加速しました。

他の不祥事でも株価が上昇した事例

1. オリンパス(2011年)
オリンパスは、1990年代から2011年までの約20年間、会社の損失を隠していたことが発覚し、株価が急落しました。しかし、その後、経営陣の入れ替えや企業ガバナンス(経営管理体制)の強化が進められました。さらに、医療機器事業に注力し、製品開発とグローバル市場への展開を強化したことで、企業の成長期待が高まり、3年後には株価が10倍以上に回復しました。

2. 吉野家(2022年)
吉野家では、役員の不適切発言が問題となりました。しかし、企業は迅速に謝罪し、問題を起こした役員を解任しました。この対応の速さが評価され、株価は1カ月で回復しました。

3. かっぱ寿司(2022年)
かっぱ寿司の社長が、競合他社の営業データを不正に入手したとして逮捕された際、一時的に株価が下落しました。しかし、問題の影響範囲が限定的だったため、割安と判断した投資家による買い戻しが進み、3日後には株価が回復しました。

不祥事でも株価が上昇する要因

これらの事例から、不祥事後に株価が上昇する主な要因は以下のとおりです。

  1. 割安感: 企業の資産や収益力に対して株価が低く評価されていると、投資のチャンスと見なされる。
  2. 経営改革期待: 経営陣の交代や新戦略への期待感が投資を後押しする。
  3. 有名投資会社の参入: 大手投資会社の参入が市場の信頼を高め、個人投資家の買いを促進する。
  4. 投機的取引: 株価の変動を利用して利益を狙う投資家が売買を活発化させる。
  5. 問題の限定性: 企業の業績やブランド価値への影響が限定的な場合、株価は早期回復しやすい。
まとめ
  • フジHDは、不祥事が発覚したにもかかわらず、資産価値の高さや経営改革への期待から株価が上昇
  • オリンパスや吉野家、かっぱ寿司なども、不祥事後に株価が回復・上昇した事例がある
  • 株価上昇の要因には「割安感」「経営改革期待」「有名投資会社の参入」「投機的取引」「問題の限定性」が関係する

不祥事後の企業への投資は、リスクとチャンスの両面があります。財務指標や経営改革の動き、投資家の行動を分析し、慎重に判断することが求められます。
あなたなら、不祥事を起こした会社の株を買うことについてどう考えますか?また、長期的に成長できる企業を見極めるには、どのような視点が必要でしょうか?

不祥事後の企業に投資するかどうかを判断する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

  1. 財務指標: PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)が割安かどうか。
  2. 経営陣の対応: 経営陣が問題解決に向けてどのような改革を行うか。
  3. 投資家の動向: 機関投資家や有名な投資会社が株を買っているか。
  4. 業界全体の流れ: 競合企業の状況や業界の成長性。
  5. 市場の反応: SNSやメディアの影響がどの程度あるか。

これらの要素を総合的に考え、リスクとリターンを見極めることが重要です。

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