ETCトラブルで高速道路が大混乱!後払いになった料金は4%しか払われなかった…

ETC障害、後払いの申し出は3万6千件 「4%弱」にとどまる:朝日新聞

 中央道や東名高速などの料金所にあるETCレーンがシステム障害で使えなくなった問題で、中日本高速道路(NEXCO中日本)は18日、15日午後10時までに後日払いの申し出をしたのは約3万6千件と明らかに…

2025年春、高速道路のETC(自動料金収受システム)で大規模な障害が発生しました。いつもはスムーズに通過できる料金所で大渋滞が起こり、特別な「後払い」制度が導入されましたが、実際に申告した人はごくわずかでした。
では、高速道路会社はどのくらい損をしたのでしょうか?今回の出来事を通じて、社会インフラの重要性と経済のしくみについて一緒に考えてみましょう。

ETCとは?その役割と効果

ETCがもたらすメリット
ETCは、車が料金所で停止せずに通過できるシステムです。導入以前は、料金所の渋滞が年間4,000回以上も発生していましたが、ETCが普及した2008年には60回程度にまで減少し、渋滞が大幅に緩和されました。

さらに、車の停止・発進が減ることでCO₂の排出も少なくなり、環境にもやさしい取り組みです。また、割引制度やキャッシュレス決済の利便性、スマートICの増加による地域経済の活性化など、多くの利点があります。

2025年春に起きたETC障害とは

障害の発生とその原因
2025年4月6日未明、NEXCO中日本などが運営する高速道路のETCシステムで、広範囲にわたる障害が発生しました。最大で8都県、106か所の料金所でETCレーンが使用不能となり、約38時間にわたり大きな混乱が続きました。原因は、新たに導入されたサーバーの不具合によるデータ破損でした。

現場での混乱と影響
ETCが使えなくなったため、車が一般レーンに集中し、長い渋滞が発生。ETCに慣れたドライバーは戸惑い、物流トラックの遅延も起き、経済活動全体に影響を与えました。ETCが生活に密着した重要なインフラであることを実感させる出来事でした。

「後払い」制度の利用はなぜ少なかった?

後払いの導入と利用率
障害期間中には、料金所通過後にウェブなどで申告・支払いができる「後払い」制度が導入されました。しかし、通行車両約96万台のうち、実際に申告されたのは約3万6千件、わずか4%にとどまりました。

申告が少なかった理由

  • 手続きが複雑だった
  • 制度や申告方法が広く知られていなかった
  • 自己申告制のため、申告しない人もいた

どう受け止めるべきか
4%という数字は少なく見えますが、混乱の中で3万6千件の申告があったことは評価する意見もあります。今後は、より簡単で分かりやすい申告方法や周知の工夫が求められます。

ETC障害による経済的な損失

通行料金の未収リスク
公式発表はありませんが、未申告車両が約90万台と仮定し、1台あたり1,000円の通行料とすると、最大で9億円の未収リスクがあると考えられます(実際の金額は区間や車種により異なります)。請求や回収が進めば損失は減りますが、未収金が残ればそのまま損失につながります。

その他のコスト

  • システム復旧や対応にかかる人件費
  • 利用者への広報や問い合わせ対応費用
  • 社会的信用の低下、物流の遅れによる間接的損失

これらの損失も小さくなく、最終的な被害額は今後の対応次第で変わってきます。

今後の課題と社会全体への提案

高速道路会社は、未払い利用者への呼びかけや、障害の再発防止に向けたシステムの見直し、対応マニュアルの整備を進めています。また、このような障害は銀行や鉄道など他の社会インフラでも起こり得ます。ITに頼る社会では、リスク管理と情報発信の重要性が高まっています。

まとめ
  • ETCは経済や環境に多くのメリットをもたらしている
  • 2025年春にETCで大規模障害が発生し、約38時間混乱が続いた
  • 後払い制度の申告率は4%と低く、情報発信や手続きの簡略化が課題
  • 最大で約9億円の未収金リスクが発生した可能性がある
  • 間接的な損失や社会的信用の低下も重要な影響
  • 社会全体でのITリスク管理とインフラの見直しが求められている

ETC障害は、私たちの社会がITシステムにどれだけ依存しているかを示しました。通行料金の未収は企業経営に直接響き、物流の遅れは幅広いビジネスに連鎖的な影響を及ぼします。

企業は危機管理能力を高める必要があり、利用者も「もしも」の場面でどう行動するかを考えておくことが大切です。便利なサービスの裏側にある仕組みや社会インフラの大切さに目を向けることで、経済のつながりがよりよく理解できるようになります。

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