女性CAが多いのはなぜ?航空業界の“意外な偏り”
飛行機に乗ると、客室乗務員(CA)は女性が多いと感じることがあるかもしれません。では、なぜそのような男女比の偏りがあるのでしょうか。実は、航空業界では職種によって大きな男女差が存在しています。日本航空(JAL)とお茶の水女子大学は2025年にこの課題について共同研究を開始しました。
国内外の航空業界における男女比の違いや背景、多様性推進の取り組みを紹介し、今後の働き方について考えていきます。
現在の航空業界における男女比
JAL全体の男女比は男性48%、女性52%とほぼ均等です。しかし、職種別に見ると大きな違いがあります。たとえば、パイロットや整備士は90%以上が男性である一方、客室乗務員は女性が圧倒的に多く、男性CAは約3%、女性パイロットは約2%にすぎません。
海外でも似た傾向があります。アメリカではCAの約79%が女性、21%が男性です。イギリスやフランスでは男性CAが20〜30%を占めており、日本よりバランスが取れています。中東の一部航空会社では、男女比がほぼ同じという例もあります。
男女比の変化とその要因
近年、世界の航空業界では男女比に変化が見られます。アメリカでは男性CAの割合が2018年の22%から2022年には25%近くまで増加しました。イギリスやフランスでも同様の傾向が見られます。
パイロット職では世界平均で女性が4〜6%ですが、インドでは12〜15%と高く、アジアや南米でも女性の活躍が目立ち始めています。
この背景には、「女性はCA、男性はパイロット」といった古い固定観念、幼少期からの教育、そして無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)があります。JALの鳥取社長も「日本の文化や教育が背景にある」と述べています。

国際社会による多様性推進の動き
国際航空運送協会(IATA)は「25by2025」イニシアチブを掲げ、女性管理職や技術職の割合を25%以上にすることを目指しています。2021年から2023年に新たに採用された航空業界の人材のうち、約48%が女性でした。
JALとお茶の水女子大学は、職種ごとの男女比の実態とその背景を5年間かけて調査しています。このプロジェクトでは、大学の研究者がJALの研修に参加したり、学生のインターンシップの実施も予定されています。
日本でも進む多様な人材の採用
格安航空会社ジェットスター・ジャパンなどでも、男性CAの採用が増えています。少子高齢化が進む日本において、性別に関係なく多くの人が働ける環境を整えることが企業にとって重要な課題となっています。
まとめ
- JALとお茶の水女子大学が航空業界の職種別男女比を調査中
- 世界的にCAやパイロットの性別バランスが変わりつつある
- 偏りの背景には社会の固定観念や教育が関係している
- IATAなどの取り組みにより、女性管理職や技術職が増加中
- 日本でも多様性を意識した職場づくりが進んでいる
仕事に「男向き」「女向き」はありません。性別、年齢、国籍にかかわらず、いろいろな人が活躍できる社会は、変化の激しい時代に柔軟に対応できます。
自分に向いていないと思う仕事でも、実はあなたの力が必要とされているかもしれません。自分の可能性を信じて、一歩踏み出してみましょう。未来を変える力は、あなたの中にあります。