AIが電話をかけてくる!?「AIテレアポくん」は味方？それとも迷惑？

AIが自動で電話をかけ、商品説明までしてくれる――そんなサービスが本格的に登場しました。
株式会社AIdeaLabが2025年5月29日に発表した 「AIテレアポくん」 は、国内で初めて“会話AIによる柔軟な対話でアポイントを獲得できる”電話AIエージェントとして話題になっています。

営業の効率化を目指す企業にとっては強力な味方ですが、電話を受ける側には「勝手に電話しないでほしい」という声もあります。
テクノロジーの進化が、私たちの日常にどんな影響を与えるのか考えてみましょう。

アポ取りの方法はいろいろ

営業活動で「アポ取り（アポイントを取ること）」はとても重要です。 現在、主に次のような方法があります。

• 電話営業（テレアポ）：営業担当が直接電話をかけ、話して予定を決めます。反応をその場で感じ取れるため、今でもよく使われています。
• メール営業：たくさんの人にメールを送り、相手のタイミングで返事をもらう方法。効率が良く、負担も少ないのが特徴です。
• 訪問営業（飛び込み営業）：連絡なしで会社やお店に直接行く方法。移動時間がかかるため、効率は低めです。
• その他の方法：手紙やDM（ダイレクトメール）を送ったり、Webサイトから予約を受け付けたりする方法もあります。

なぜ今「AIが電話をかける」技術が増えている？

突然知らない番号から電話が鳴ると、だれでもドキッとします。
最近では営業活動がオンライン化し、「インサイドセールス」 と呼ばれる、会社から電話やネットで営業するスタイルが増えています。

その背景には次のような理由があります。

• 移動が不要で、時間・交通費のコストが減る
• 1日に連絡できる件数が増え、効率が良い
• 顧客の反応がデータ化され、営業改善しやすい
• 対面よりオンラインで完結する仕事が増えた

こうした流れの中で、電話をかける作業そのものをAIに任せる動きが急速に広がっています。

「AIテレアポくん」とは？できること・できないこと

AIテレアポくんは、人間の代わりに次のような仕事を行います。

◎できること

• 自動で電話をかけ、事前に設定したシナリオに沿って説明
• 相手の返答に合わせた柔軟な対話
• 興味がある相手を営業担当に引き継ぐ
• 24時間365日休まず対応

大量のデータを学習して話し方を改善できるため、「より成果の出る話し方」を自動で探すことも得意です。

△苦手なこと・課題

• 相手がAIだと気づくと不快になる人も多い
• 知らない番号の着信自体に抵抗を感じる人が一定数いる
• 微妙なニュアンスを読み取ったり、感情に寄り添う対応はまだ難しい

便利な一方で、「AIが勝手に電話してくる社会」で良いのかという議論が生まれています。

AI電話は“効率化の武器”だが、“印象の悪さ”という壁も

企業にとってAI電話はメリットが大きいですが、受け手の印象を良く保つのは簡単ではありません。
特に日本では、

• 知らない番号に出ない人が多い
• 営業電話そのものを好まない

という傾向があります。そのため、AIの技術がどれだけ進んでも、「電話営業のイメージ改善」という課題が残ります。

これから来る？AIが電話を受ける時代

興味深いのは、電話をかけるAIだけではなく、電話を受けるAI も増えていることです。
実際、企業の問い合わせ窓口では、AIが音声で対応するサービスがすでに使われています。
将来はこんなこともあり得ます。

• AIが電話をかけ、AIが電話を受ける
• 人間が対応する前にAIが要件を整理してくれる
• 電話の「一次対応」をほぼAIが担当する

AI同士の通話でアポイントが決まる世界は、もうSFではありません。

まとめ

• 営業のアポ取りは、電話・メール・訪問・DMなど多様化している
• 効率化の流れからインサイドセールスが普及
• 「AIテレアポくん」は24時間稼働できる営業AI
• ただし受け手の不快感という課題が大きい
• 今後はAI同士の電話や応対が当たり前になる可能性がある

AIが電話で営業する時代がやってきました。 営業する人にとっては便利で効率的ですが、電話を受ける人にとってはどうでしょうか？ AIがどこまで人間の代わりになるのか、そしてどんなルールがあれば安心できるのかを考えてみましょう。
AIと人間がうまく協力する社会を作るために、どんな工夫が必要だと思いますか？