YKKじゃない服が増加中?“ノーブランドファスナー”事情
「前はYKKだったのに…」アパレル業界でひっそり進む“ファスナーのコストダウン”の実態をショップ店員が明かす 値上げを回避する企業努力だが顧客離れを懸念する声も | マネーポストWEB
お気に入りのファッションブランドの商品を買おうとして、「やっぱり高くなったな」と感じる人も少なくないのではないか。原材料費や物流費の高騰などを理由に、世界中のあらゆる商品で値上げラッシュが続いており...
最近、洋服やバッグのファスナーをじっくり見ると「YKK」のロゴがないものが増えていると感じたことはありませんか?「前はYKKだったのに、知らないメーカーのファスナーになっている」と驚いた人も多いでしょう。
なぜアパレル業界でYKK以外のファスナーが増えているのでしょうか。その背景には、物価高や企業のコスト削減、世界のファスナーメーカーの勢いなど、さまざまな要因があります。
YKKファスナーの特徴や一貫生産の強み、そして他社製ファスナーが増えている現状を見てみましょう。
アパレル業界で進む「ファスナーのコストダウン」
アパレル業界では、原材料費や物流費の高騰が続き、商品の値上げが相次いでいます。しかし、消費者の「できるだけ安く買いたい」という声も大きいため、企業は価格を抑える方法を探しています。その一つが「ファスナーなど部品のコストダウン」です。
以前はYKKファスナーが多く使われていましたが、最近は安価なノーブランド品や海外メーカー製のファスナーに切り替えるブランドが増えています。
コスト削減の重要性
- ファスナー1本の価格差が大量生産時には大きく影響する
- 価格競争が激化するファストファッションでは、部品コストを見直す動きが強まっている
- 原価を抑えることで、商品全体の価格を低く保ちやすくなる
YKKファスナーの強みと一貫生産の秘密
YKK株式会社は1934年に吉田工業株式会社として創業し、現在は世界約70カ国でファスナーを生産しています。その最大の特徴は、部品の素材開発から製造機械や検査までを自社で行う「一貫生産体制」です。この体制により、どの工場で作っても同じ品質を保ち、開閉のスムーズさや耐久性、見た目の美しさを実現しています。
一貫生産体制のメリット
- 素材開発: 金属やプラスチックなど、ファスナーに使う素材を独自に開発し、耐久性や軽さなどを調整できる
- 製造機械: 自社設計の機械で部品を加工するため、どの工場でも同じ精度の製品を生み出せる
- 品質管理: 世界中の拠点で同じ検査基準を守り、信頼性の高い製品を提供する
幅広い分野での活躍
YKKのファスナーはキッズウェアやスポーツウェア、高級バッグなど、さまざまなジャンルで使われています。特に、子どもやお年寄りでも開け閉めしやすい工夫や、安全性を考慮した設計が多く、業界内で高い評価を得ています。
なぜYKK以外のファスナーが増えているのか?
コスト重視の流れ
YKKファスナーは品質が高い反面、コストも高めです。大量生産を行うアパレルブランドでは、ファスナー1本あたりの価格差が全体のコストに大きく影響します。
そこで、より安価な中国や台湾などの海外メーカー製ファスナーを採用するケースが増えています。
世界のファスナーメーカーの台頭
中国のSABやイタリアのLampo、スイスのririなど、世界には品質の高いファスナーメーカーが多く存在します。最近では、GUなど大手ブランドでもSABファスナーを採用する動きがあり、YKK以外の選択肢に注目が集まっています。
市場の変化と消費者の動向
- アパレル生産拠点が中国からベトナムやバングラデシュへ移り、現地調達やコスト重視の傾向が強まっている
- ネット通販やファストファッションの拡大で価格競争が激化し、部品コストの見直しが加速している
- 消費者は安さを求める一方で、耐久性や使い心地にも敏感になっている

YKK以外のファスナーは信頼できる?
世界にはYKK以外にも高品質なファスナーが数多くあります。ヨーロッパのririやLampoなどは高級ブランドで使われることが多いです。
ただし、安価なノーブランド品や模倣品の場合、耐久性や使い勝手が劣ることがあり、「すぐ壊れた」「開け閉めが固い」といったトラブルも報告されています。
まとめ
- アパレル業界ではコスト削減のため、YKK以外のファスナーを採用するブランドが増えている
- YKKは一貫生産体制によって高品質を維持し、世界シェア約45%を誇る
- 中国やヨーロッパのファスナーメーカーも台頭し、選択肢が広がっている
- 安価なファスナーには品質リスクがあるため、購入時には注意が必要
ファスナーのような小さな部品にも、企業の工夫や世界経済の動きが反映されています。身近な洋服やバッグのファスナーをチェックして、どこのメーカーか調べてみましょう。品質や使い心地の違いを感じることで、モノ選びの目が養われます。みなさんも、これからは「ファスナー」に注目し、ものづくりやビジネスの裏側を体感してみてください。