船井電機・秀和システム・ミュゼが次々倒産!グループ企業の資金問題
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7月1日に法的整理を弁護士に一任したことを取引先などに通知した(株)秀和システム(江東区東)は7月4日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には永野剛志弁護士(東京丸の内法律事務所、千代田区丸の内3-3-1)が選任された。
2024年から2025年にかけて、家電メーカーの船井電機、出版社の秀和システム、脱毛サロン大手のミュゼプラチナムが次々と破産や経営破綻に追い込まれました。実は、これらの会社はすべて同じグループに属していたのです。
なぜ同じグループの会社が連鎖的に倒産したのでしょうか。グループ会社の仕組みやお金の流れ、そして社会への影響を考えてみましょう。
グループ会社の関係
船井電機、秀和システム、ミュゼプラチナムは、すべて同じ企業グループに属していました。その関係を時系列で整理してみましょう。
2015年:上田智一氏が秀和システムを買収し、M&A戦略を積極的に推進
2021年5月:秀和システムが船井電機をTOB(株式公開買い付け)で買収。買収資金約260億円の大半をりそな銀行からの借入金で調達
2023年3月:船井電機が持株会社制に移行し、「船井電機・ホールディングス」(現:FUNAI GROUP)を設立
2023年4月:船井電機HDがミュゼプラチナムを約33億円で買収し、完全子会社化
このように、秀和システムを頂点とするグループ構造の中で、船井電機とミュゼプラチナムは「兄弟会社」の関係にありました。
秀和システムによる船井電機買収の仕組み
秀和システムによる船井電機の買収は、LBO(レバレッジド・バイアウト)という手法で行われました。この買収の特徴は以下の通りです:
船井電機の創業者の長男である船井哲雄氏は、TOB価格918円ではなく403円という半額以下で自社株を売却しました。これにより、秀和システムは61億円も安く船井電機を買収できたのです。
グループ内での資金流出と破綻の連鎖
船井電機の資金流出
買収後、船井電機の現預金は急速に減少しました:
主な資金流出先:
ミュゼプラチナムの経営問題
船井電機HDは2023年4月にミュゼプラチナムを買収しましたが、わずか1年後の2024年3月には売却しています。この間に以下の問題が発生しました:
秀和システムの経営悪化
グループの中核である秀和システムも、以下の要因で経営が悪化しました:
グループ経営の問題点
今回の連鎖破綻から見えてくるグループ経営の問題点は以下の通りです:
問題点 | 具体的な内容 |
---|---|
過度な資金移動 | グループ内での多額の貸付・資金支援により、健全な会社の資産が流出 |
連帯保証のリスク | 一つの会社の問題が他のグループ会社に波及 |
経営の不透明性 | 非上場化により外部からの監視が困難に |
事業の多角化失敗 | 異業種への進出がシナジー効果を生まず、リスクのみ増大 |
社会への影響
この連鎖破綻は多くの人々に影響を与えました:
近年、他の業界でも同様のグループ会社の連鎖破綻が発生しています。脱毛サロンのC3や銀座カラーなども経営破綻し、グループ経営のリスクが浮き彫りになっています。

まとめ
- 船井電機、秀和システム、ミュゼプラチナムはすべて同じ企業グループだった
- 秀和システムを頂点とするグループ構造の中で、資金の流出と経営悪化が連鎖的に発生
- グループ内での過度な資金移動や連帯保証が、健全な会社の破綻を招いた
- 非上場化により経営の透明性が失われ、外部からの監視が困難に
企業グループの仕組みは、シナジー効果を生む一方で、リスクの拡散という問題もあります。
今回の事例から、経営の透明性やリスク管理の重要性がよくわかります。あなたも身近な企業のグループ関係や資本関係を調べて、経済の仕組みに興味を持ってみませんか?企業の関係性を理解することで、ニュースの背景がより深く理解できるようになります。