美容室倒産が過去最多!人手不足・価格競争・コスト高の三重苦
株式会社帝国データバンクのプレスリリース(2025年9月4日 10時00分)美容室の倒産、3年連続で増加 過去最多へ 「美容師」不足に直面 利益確保に苦戦する美容室が増加、採用難でサービス維持に課題
「美容師になりたい」と憧れる人が少なくなり、美容室の倒産件数が過去最多を更新しています。2025年の上半期だけで、全国で157件もの美容室が倒産しました。
なぜ今、美容業界が苦しんでいるのでしょうか。」
倒産件数の推移と背景
帝国データバンクの調査によると、2025年1~8月の美容室倒産件数は前年同期の139件から157件に増加しました。これは3年連続の上昇です。倒産の主な要因は、原材料費や家賃の高騰、人手不足、競争の激化です。
さらに美容師のフリーランス化が進み、店舗で働く人材が集まりにくくなっています。低賃金や長時間労働による人材流出も経営を圧迫しています。

美容師のなり手の減少
美容師免許の新規登録件数は2000年に約2万8,600人でしたが、2023年度は約1万8,300人にまで減少しました。過去10年以上、2万人を下回る状態が続いています。特に2010年以降は減少傾向が顕著で、資格を取得しても美容師にならない人が増えています。
少子化や労働環境の厳しさ、キャリア選択の幅が広がったことが背景にあります。
美容室の収益・費用構造
美容室の売上はカットやカラー、パーマなどの施術料金が中心です。そこにシャンプーやトリートメントの販売、指名料やオプションサービスが加わります。
一方で費用は材料費(薬剤や消耗品)、人件費(給与や社会保険)、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などがかかります。
人件費は売上の40~50%、材料費は8~12%、家賃は10~15%が目安です。
業界共通の課題
サービス業全体でも人手不足やコスト高、競争の激化による倒産が増加しています。美容室では特にフリーランス化や値下げ競争が進み、経営の二極化が進んでいます。2024年度の調査では、約3割の店舗が赤字、約6割が減益傾向にあると報告されています。

倒産はサービス業全体に広がる
飲食業や小売業でも同じように人材不足やコスト上昇が問題になっています。例えば、2024年には外食チェーンの倒産も相次ぎ、経営の持続性が社会全体の課題となっています。
サービス業全般で「人材をどう確保するか」「利益をどう守るか」が重要なテーマです。

まとめ
- 2025年、美容室倒産件数は過去最多を記録
- 人件費・材料費・家賃の高騰と人手不足が主因
- 美容師免許の新規登録者は20年間で約1万人減少
- 売上は施術料金や商品の販売、費用は人件費・材料費・家賃など
- サービス業全体でも人材確保と利益維持が課題
美容室の倒産増加は、日本のサービス業全体が抱える「人材不足」と「収益の厳しさ」を映し出しています。最新の統計を知ることは、働く人や利用する側にとっても未来を考える手がかりです。
自分の身近なサービス業にはどのような課題があるでしょうか。データやニュースを調べながら、次世代の働き方やビジネスの仕組みについて考えてみてください。将来のキャリアを考える際に、どのように人材や収益を安定させるかを話し合ってみましょう。