悩みを抱える10代の皆さんへ|話すことで“生きる力”は取り戻せる

令和6年版自殺対策白書|自殺対策|厚生労働省

令和6年版自殺対策白書について紹介しています。

このページには、「命」や「自殺」に関する内容が含まれています。
読んでいてつらくなったときは、いったん読むのをやめて深呼吸してください。
無理をせず、信頼できる大人や友達、または相談窓口に話をしてください。
どんな気持ちであっても、それを伝えることは間違いではありません。

2024年、日本で自ら命を絶った小中高生は529人。統計開始以来、最も多くなりました。特に女子が男子を初めて上回り、深刻さが増しています。

多くの子どもが「学校」「進路」「人間関係」に悩んでいます。でも、どんなに苦しくても、「生きている」ことには意味があります。

ここに、著名人の言葉や、自殺未遂を経験した人たちの「その後」の声を紹介します。あなたの心に届く一言があるかもしれません。

今、子どもたちが抱える現実

厚生労働省と警察庁のデータによると、2024年の小中高生の自殺者は529人で、1980年以降で最多です。
1週間で約10人、1日で約1.4人の子どもが命を絶っている計算になります。​
原因は「学校問題」が最も多く、学業不振や友人関係、進路の悩みが背景にあります。
特に高校生では「健康問題(うつ病など)」も深刻で、女子の自殺者数は過去最多となっています。​

令和6年版 自殺対策白書(概要版)より
こども・青少年特有の思考

文部科学省などの調査によると、思春期の脳は「白か黒か」で考えやすく、失敗を「すべてが終わってしまった」と感じやすい傾向があります。この「全か無か」の思考が、自分を追い込みやすくします。
また、10代は環境を変える力が弱く、学校や家庭の人間関係などから逃げ出せないと感じやすいことも特徴です。東京大学の研究では、「助けを求められない子ほど自殺リスクが高い」との結果が示されました。
SNSでの比較や批判も、孤立感や無価値感を強める要因になっています。

「話す」「休む」「逃げる」は、あなたを守る力になる

つらい気持ちを誰かに話したり、少し休んだりすることには、ちゃんと意味があります。

文部科学省の研究では、「悩みを話す力(SOSを出す力)」を身につけた子どもほど、心の健康が良く、必要なときに助けを求められるとされています。
また、国立精神・神経医療研究センターの報告によると、心が限界に近づいたとき、「その場から離れる」「しばらく距離を取る」といった行動は、感情の爆発や衝動的な行動を防ぐことにつながります。これは逃げることではなく、「生きるための方法」です。
さらに、文部科学省の「不登校に関する調査」(2024年)では、休むことは問題ではなく、心を立て直すための自然な反応だとしています。

悩んでいるときは、「誰かに話していい」「休んでいい」のです。話したり休んだりすることは、弱さではなく、あなたが自分を大切にしている証拠です。

著名人が伝える「生きる力」(敬称略)
  • 山田孝之(俳優)
    「自分の弱さを隠したり、強がるのはもうやめた。誰だって落ち込む日があっていいんだよ。」
  • 景井ひな(タレント・モデル)
    「どんなことも“自分のペース”でいい。自由に考えて、焦らないのが一番大事だと思う。」
  • すみれ(女優・モデル)
    「どんなセレブでも悩みはある。もっと“心がつらい”って話を普通にできる社会にしたい。」
  • 中元日芽香(元乃木坂46・心理カウンセラー)
    「生きるのがしんどいと思っていた。でも“ありがとう”を言える自分になれたとき、心が軽くなった。」
  • 玉木宏(俳優)
    「見てくれている誰かがいる。その人のために少しでも心を動かせたら。」
  • チャールズ・チャップリン(俳優・映画監督)
    「空を見上げてごらん。うつむいていたら、虹は見つけられないよ。」
  • レディー・ガガ(シンガーソングライター)
    「私はうつ病や不安と闘った。でも“話すこと”で、自分のバランスを取り戻せたの。」
  • セレーナ・ゴメス(歌手・俳優)
    「心の健康を守るために、たまには立ち止まっていい。そうすることは、弱さじゃなくて強さだと思う。」
  • ヘレン・ケラー(社会活動家)
    「楽観主義は、達成へと導く信念である。希望と自信なくして何も達成できない。」
  • マーク・トウェイン(作家)
    「前に進むための秘訣とは、最初の一歩を踏み出すことだ。」
自殺未遂を経験した人たちの「その後」

英国・Zoeさん(SNSで体験を共有)

Zoeさんは命を絶とうとした直後、「自殺を図った瞬間、後悔した」と語りました。
「他の道はないと思っていた。でも、今は“違う道もある”と気づいた。」
その経験をもとに、Zoeさんは現在、SNSでうつ病・自傷体験を共有し、回復への道を発信しています。

日本・豆塚エリさん(作家)

高校1年の夏に自殺未遂を経験し、その後リハビリを経て作家として活動。
「死にたい気持ちは、消そうとするよりも“抱えながら生きる”ことを覚えました。」とインタビューで語っています。​
現在はエッセイを通じて「苦しみの先に人とのつながりがある」と若者に伝える活動を続けています。

Reddit投稿者(20代女性)

自殺未遂から救出された20代女性の投稿では、「助けが間に合って良かった」という言葉が印象的でした。
「首に痛みが残っても、今こうして呼吸ができることに感謝している。
死ぬことで終わると思っていたけど、生きている方が希望を見つけられると知った」。

医学・心理の視点:「パパゲーノ効果」

筑波大学・太刀川弘和教授の研究では、「自殺未遂から立ち直った人の体験談」が、他の人の自殺を減らす効果(パパゲーノ効果)を持つことが確認されています。
自殺を考えていた人が、「立ち直れた」「違う選択をした」経験を語るだけで、聞く人の心に“生きる方向への影響”を与えることが報告されています。

まとめ
  • 子どもの自殺は過去最多、特に女子の増加が深刻
  • 学校・進路・人間関係の悩みが主な原因
  • 自殺未遂を経験した人の多くが「後悔」している
  • 休むこと、話すこと、逃げることも生きる選択
  • あなたの声を聞いてくれる人は、必ずどこかにいる

どんなに暗くても、朝は来ます。
「つらい」は、終わりの合図ではなく、「違う道」を探すためのサインかもしれません。
あなたの存在は、誰かの光です。
話せる相手が見つからないときは、「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」や学校の先生、SNSの相談窓口に連絡してください。
あなたの命は、かけがえのないものです。