嵐ラストツアーで札幌ホテルが高騰!ダイナミックプライシングと北大入試への影響

2026年3月、嵐のラストツアー「ARASHI LIVE TOUR 2026 We are ARASHI」の札幌公演が発表され、市内のホテル価格が短時間で急騰しました。通常1万円台のホテルが数万円となり、SNSでは「12万円になっている」「15万円の表示を見た」といった投稿が相次ぎました。
同じ時期に北海道大学の後期日程入試も予定されており、「ライブ」と「受験」が重なったことで、ホテル争奪が受験生にも影響する可能性が注目されています。

嵐ツアー発表直後に札幌のホテルが“瞬間的に”高騰

嵐のラストツアーは5大ドームで15公演が組まれ、その初日が2026年3月13〜15日の札幌ドームです。2025年11月22日18時に発表が行われると、20時すぎには札幌市内の空室が一桁まで減り、最安プランも1泊2万5,000円前後、キャンセル不可が中心となりました。報道では、12万〜15万円のプランが一時的に表示されたケースも紹介されています。

札幌だけでなく、苫小牧や小樽など周辺都市でも同時期に宿泊料金が上昇し、満室が増えたと報じられています。「大規模イベントが一都市だけでなく、周辺地域の宿泊需要まで押し上げる」という構図がはっきりと見えます。

なぜ値段が数倍に?需要と供給、そして“ダイナミックプライシング”

ホテル料金が大きく変動した背景には、次の3つの要因があります。

1. 需要と供給の偏り
ホテルの客室数(供給)は急には増やせません。しかし、コンサートが発表されると数万人規模のファンが同じ日程に動き、短時間で一気に「泊まりたい人(需要)」が増えます。このアンバランスが起きると、空室をめぐる競争が一気に激しくなり、価格が高騰します。

2. ダイナミックプライシング
ダイナミックプライシングとは、予約の入り方や曜日、イベントなどに応じて価格を自動調整する仕組みです。東京でも訪日客増加などの影響で、平均客室単価が2019年比で約1.5倍に上がったと報じられています。札幌でも同様の仕組みが導入されており、嵐の発表直後の予約集中により、短時間で“上限に近い価格”まで跳ね上がったと分析されています。

3. イベントと観光シーズンの重なり
札幌の大規模イベント時には、周辺都市のホテルも含めて広く影響が及びます。苫小牧では、北大後期入試前日は比較的安価でも、嵐ツアー期間中は4泊で4万5,000円台へ上昇したという報道もあります。イベントが都市全体に波及する典型例です。

「ライブ×入試」が重なると受験生にどんな影響が出るのか

今回の大きな論点は、北海道大学の後期日程入試(3月12日)の翌日から嵐公演が始まる点です。入試前日から札幌入りする受験生にとって、ホテルの不足や高騰は大きな負担です。

SNSでは「受験の前日にホテルが取れないのはつらい」「人生がかかっているのに値段が高すぎる」という声が紹介されました。

この状況を受け、北海道大学生活協同組合は後期日程向けの宿泊・フライト案内について、予約者に受験票PDFの提出を求める場合があると発表しました。目的は、受験生向けの宿泊枠を優先的に確保することです。大学側も「早めの移動計画」を呼びかけるなど、受験生が不利にならないための取り組みを進めています。

ここには、「市場のしくみ」と「受験の公平性」をどう両立するかという社会的なテーマが見えてきます。

他の地域でも起きてきた“入試とイベントのバッティング”

今回の札幌だけではなく、これまでも全国で似た問題がたびたび発生しました。

  • 2023年 宮崎市:侍ジャパンのWBC強化合宿と国公立大学2次試験が重なり、大学が宿泊施設に協力を依頼。
  • 2023年 福岡市:入試シーズンと旅行需要回復が重なり、受験生が「ホテル争奪戦」に巻き込まれたと報じられました。
  • 過去の福岡市でも:九州大学入試と人気アーティストのライブが同時期に行われ、ホテルが満室に。

入試は日程が固定されやすい一方、イベントは流動的です。このため、受験生のように「泊まらなければならない人」が影響を受けやすい構造があります。

まとめ
  • 嵐ツアー発表直後、札幌市内のホテルは瞬時に埋まり価格が高騰
  • 背景には、客室不足とダイナミックプライシングによる価格調整がある
  • 入試シーズンとイベントが重なると、受験生の宿泊確保が難しくなるケースが各地で起きている
  • 北大生協は受験生枠を守るため、受験票の提出を求める予約方式を検討
  • 大規模イベントは開催都市だけでなく周辺地域のホテル価格や空室にも影響
  • 東京などでは、ホテル価格がコロナ前より約1.5倍に上がっているという報告もある

嵐ツアーと札幌ホテル高騰のニュースは、「ファンが困る」「受験生が困る」という感情だけで終わりません。「イベントが都市経済をどう動かすのか」「価格は誰のために、どう決めるべきか」を考える入り口になります。