なぜ受験勉強にラムネ?身近なお菓子の意外な変化

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2601/12/news006.html

1970年代から続くロングセラー菓子「森永ラムネ」は、長い間「夏に食べる子どものおやつ」というイメージで語られてきました。
ところが近年、受験シーズンになると自習室や試験会場の前で見かける機会が増え、大学受験期に一番食べたお菓子として名前が挙がる調査結果も公表されています。ぶどう糖を主原料とする点は発売当初から変わっていませんが、売り場やパッケージ、伝え方は少しずつ変えられてきました

なぜ同じ商品が、季節や世代によってまったく違う役割を持つようになったのでしょうか。その変化をたどると、企業が「誰のどんな場面」を想定して商品を届けてきたのかが見えてきます。

Q. 森永ラムネの2025年の販売規模は、2018年と比べてどの程度になっているでしょうか。

A. 約1.5倍
B. 約3倍
C. 約5倍

→正解は「C. 約5倍」です。

報道では、2018年頃と比べて販売規模が想像以上に拡大していることが紹介されています。背景としては、食べられる場面の変化や、売り場や広告の工夫が重なった点が論点として挙げられています。どのような要因が積み重なったのかは、このあと見ていきます。

夏のお菓子として始まった森永ラムネ

森永ラムネは1973年に発売された、ぶどう糖を主原料とするタブレット状のお菓子です。ラムネ飲料の清涼感をタブレットで再現した点が特徴で、水色のボトルと赤いロゴは長年ほとんど変わっていません。夏場に冷たい飲み物や菓子が求められる時期に、子どものおやつとして親しまれてきました。

2010年代に入ると、メディアなどで「ぶどう糖は集中したいときに使われる」と紹介される機会が増えます。これをきっかけに、学生だけでなく仕事中の大人が購入する場面も広がりました。森永製菓は2017年頃からパッケージ正面に「ぶどう糖90%」と表示し、成分の特徴を分かりやすく伝える工夫を行っています。

原点回帰で広がった大人の利用

一方で、森永製菓は水色ボトルのイメージから離れた大人向け商品も試しましたが、シリーズとして認識されにくく短期間で販売終了となりました。この反省を踏まえ、2018年に発売されたのが「大粒ラムネ」です。従来品より粒を大きくし、満足感を高めながら、色やロゴは従来の森永ラムネらしさを保ちました。

容器は持ち運びしやすいパウチ型に変更され、売り場も子ども向け菓子棚から、グミやキャンディーが並ぶ棚へ移されています。グミ市場が拡大していた時期と重なり、発売直後から話題となりました。ここで「子どものおやつ」だけでなく、「大人も食べるお菓子」という位置づけがはっきりしていきます。

受験生という象徴的ターゲット

2020年代に入ると、森永製菓は「集中したいときにはラムネ」というメッセージをより明確にし、象徴的な存在として受験生を前面に出します。受験は多くの人が経験する出来事であり、そのときの記憶は長く残りやすいと説明されています。

パッケージ裏面の応援メッセージや、2025年1月に展開された屋外広告など、受験期に目に入りやすい施策が重ねられました。学習管理アプリを運営するスタディプラスの調査では、大学受験期に一番食べたお菓子として森永ラムネが1位となっています。
これにより、夏だけでなく1月にも売上の山ができ、販売のピークが年2回ある商品構造へと変化しました。

Q. なぜ、受験シーズンにこれほど浸透している一方で、「夏の子どものおやつ」という印象を持ち続ける人もいるのでしょうか。

それは長年の販売の歴史と、近年になって加わった新しい使われ方が、世代ごとに異なる記憶として残っているからです。

スタディプラスの「受験トレンド白書2025」では、大学受験期に一番食べたお菓子として森永ラムネが1位となったことが示されています。
また、ITmedia ビジネスオンライン(2026年1月公開)では、2025年の販売規模が2018年頃と比べて約5倍に拡大し、夏と1月の二つの販売ピークを持つ構造に変化したと報じられています。

まとめ
  • 森永ラムネは1973年発売のぶどう糖主体のタブレット状のお菓子
  • 長年夏の子ども向けおやつとして定着してきた
  • 2010年代以降に集中シーンでの利用が広がった
  • 大粒ラムネで大人の利用が明確になった
  • 受験生向け施策により1月の販売ピークが生まれた
  • 世代ごとに異なる記憶が同時に存在

森永ラムネの変化からは、成分そのものよりも「どの場面で思い出されるか」が商品の役割を大きく左右することが分かります。同じ商品でも、売り場やパッケージ、広告の置き方によって、結びつく季節や記憶は変わります。
身近なお菓子や飲み物についても、いつ頃から誰向けに、どんなメッセージで売られてきたのかを調べてみると、社会や消費の変化が見えてくるかもしれません。次に店に行くときには、その商品が「誰のどんな時間」を想定して置かれているのか、棚の位置や表示を手がかりに考えてみてください。