2026年選挙と消費税減税:「家計の得」と「財政の不安」

【独自】自民、食品消費税ゼロへ検討加速 公約重点項目案、定数1割減目標|47NEWS(よんななニュース)

 自民党が2月8日投開票の衆院選で掲げる公約の重点項目案が判明した。飲食料品を2年限定で消費税の対象外とすることについて、社会保障と税の一体改革を議論する「国民会議」で財源や工程の検討を加速すると明記 ...

2026年1月、日本の政治と経済は大きな転換点を迎えました。高市早苗首相は衆議院の解散を表明し、総選挙に向けて「食料品の消費税を2年間ゼロにする」という公約を掲げました。これに対し、野党側も「恒久的なゼロ税率(期限を決めずに続けるゼロ税率)」を主張し、選挙戦は異例の“減税合戦”の様相を見せています。

一見すると、私たち消費者にとっては歓迎すべき政策に映ります。しかし、金融市場の反応は単純ではありませんでした。株価は大きく変動し、長期金利は約27年ぶりの水準まで上昇しました。
なぜ「減税」というニュースが、株価や金利の不安定な動きにつながったのでしょうか。

まずはクイズで考えてみよう(正解は問題をクリック)

Q. 食料品の消費税(軽減税率8%)をゼロ%にした場合、国と地方を合わせて、年間の税収はおよそどれくらい減ると試算されているでしょうか。

A. 約500億円
B. 約5,000億円
C. 約5兆円

→ 正解は C. 約5兆円 です。

財務省や各種試算によると、現在8%の軽減税率がかかっている食料品をゼロ%にすると、国と地方を合わせた税収は年間およそ5兆円減るとされています。これは、日本の名目GDP(国内総生産)の約1%弱に相当する規模であり、社会保障などの財源として重要な消費税の一部が失われることを意味します。

この大きな「穴」をどう埋めるのかが、今回の減税論の中心的な論点になっています。

与野党が競う「食料品消費税ゼロ」──その内容と規模

今回の選挙で最大の争点となっているのが、物価高対策としての消費税減税です。高市首相率いる与党は、飲食料品の消費税率(軽減税率8%)を「2年間に限ってゼロにする」としています。一方、立憲民主党と公明党が中心となる勢力は、期限を設けず「恒久的にゼロにする」案を掲げています。

財務省の過去の試算では、食料品の消費税率を8%から0%に引き下げた場合、国の税収は年間およそ5兆円減るとされています。食料品は多くの人が日常的に購入するため、対象が広く、減税による影響額も大きくなります。
家計の負担が軽くなる一方で、この5兆円規模の税収減をどのように補うのかは、明確に示されていません。

株価はなぜ上がり、そして下がったのか

減税をめぐるニュースに対する株式市場の反応は、段階的に変化しました。

解散観測で広がった「期待」
解散が報じられた直後、株式市場では買いが先行しました。選挙を経て政権が安定し、経済政策が進むのではないかという期待が高まったためです。こうした動きは、過去にも見られ、「ご祝儀相場」と呼ばれることがあります。

減税の具体化で浮上した「不安」
しかし、与野党がそろって大規模な減税を掲げたことで、市場の関心は「財政への影響」に移りました。税収が大きく減り、国の借金が増えるのではないかという見方が強まると、金利が上昇し、株式市場では売りが広がりました。
特に、金利上昇の影響を受けやすいとされる成長株やハイテク株では、下落が目立つ場面もありました。

業種によって分かれた明暗
一方で、すべての株が下がったわけではありません。消費税減税の恩恵を直接受けると見られた食品メーカーや小売業の株は、相対的に買われる動きも見られました。減税政策が、業種ごとに異なる影響を与えていることが分かります。

なぜ金利が上がったのか──国債と財政の関係

ここで大事なのは、金利国債のつながりです。

  • 国債:国がお金を借りるために出す「借用証書」のようなものです(国の借金です)。
  • 金利:お金を借りるときに上乗せして払う「手数料」のようなものです。

消費税を下げると、国に入ってくる税金(税収)が減ります。すると国は、足りない分のお金を用意するために、国債を多く発行する必要が出てきます。国債発行が増えるかもしれないと考えると、投資家は「将来、国はちゃんと返せるかな」と心配しやすくなります。

そうした心配が広がると、国債を売る人が増えることがあります。国債は売られると値段が下がり、その結果、利回り(もうけの割合)が上がります。この利回りが上がることが、ニュースで言う「長期金利が上がる」ということです。今回は、減税で財政が悪くなるのではないかという見方が強まり、長期金利が高い水準になったと説明されています。

長期金利は、私たちの生活にも関係します。たとえば、

  • 住宅ローン(固定金利)の目安になる
  • 会社が銀行からお金を借りるときの金利に影響する

金利が高い状態が続くと、住宅ローンの返済が増えたり、会社が新しい工場や機械にお金を使いにくくなったりすることがあります。消費税が下がって買い物がしやすくなる一方で、別の形で家計や経済に影響が出る点も押さえておきたいところです。

専門家が指摘する「消費税ゼロ」の課題

消費税減税には分かりやすいメリットがある一方で、専門家や市場からはいくつかの課題も指摘されています。

将来世代への負担
年間約5兆円の税収減を国債で賄う場合、その返済は将来世代が担うことになります。社会保障費が増え続ける日本において、安定した財源とされる消費税を削ることは、長期的な財政運営に影響を与えます。

元に戻しにくい制度
一度ゼロにした税率を、再び引き上げることは政治的に難しいとされています。「2年限定」とされていても、景気や世論の状況次第では延長され、結果として恒久的な税収不足につながる可能性があります。

物価への影響
減税によって需要が高まり、供給が追いつかない場合、物価が再び上昇する可能性も指摘されています。また、財政への不安が高まることで円安が進み、輸入品価格が上がるといった影響も考えられます。

まとめ
  • 2026年の総選挙では「食料品の消費税ゼロ」が大きな争点
  • 税率を0%にすると、年間およそ5兆円の税収減になると試算されている
  • 財政への懸念から国債が売られ、長期金利は約27年ぶりの水準に上昇した
  • 株価は期待と不安が交錯し、不安定な動きを見せた
  • 減税は家計を助ける一方で、将来の負担や金利上昇という課題も伴う

今回のニュースは、経済政策には必ず「効果」と「影響」が同時に存在することを示しています。消費税減税は、目の前の生活を楽にする政策です。しかし、その裏側では、国の財政や金利、将来世代の負担といった問題が結びついています。

選挙や経済ニュースに触れるとき、「今の暮らしにどう影響するか」だけでなく、「そのお金はどこから来て、最終的に誰が負担するのか」という視点を持つことが大切です。減税、国債、金利、社会保障がどのようにつながっているのかを、ぜひ自分なりに整理してみてください。