はじめに
教育資金の話は、「いくらかかるのか」「何を選べばいいのか」から考え始めると、かえって不安が大きくなりがちです。
この特集では、貯金・学資保険・投資・習い事といった個別の手段を比べる前に、教育とお金をどう整理して考えるかを、会話を通じて掘り下げていきます。
全10回を通して、家庭ごとの価値観や家計に合った「教育資金の考え方」を見つけることを目指します。それぞれの家庭において「納得できる」判断軸をつくるための特集です。
特集記事「教育資金」記事一覧
【特集:教育資金】#01 教育資金ってなに? ― 不安が消えない本当の理由
教育費の話になると、急に考えが止まってしまうこと、ありませんか。調べれば数字は出てきますし、制度や商品もたくさんあります。それなのに、「これで大丈夫」と思い切れないことが多いのではないでしょうか。
多くの家庭が感じているこの不安は、教育費が高いからだけではありません。実は、教育資金を考え始める順番そのものが、不安を大きくしているのです。この回では、貯金や保険の話に入る前に、「そもそも教育資金とは何を考えるものなのか」を最初から整理していきます。
不安は、どこから来ている?

ワタシさ、教育費のことを考えようとすると、毎回同じところで思考が止まるんだよね。
いくら必要かを調べてみると「思ったよりかかるな」とは思うんだけど、じゃあ今から何をどうすればいいのかが全然つながらなくて、結局よく分からないまま時間だけが過ぎていく感じがするんだ。

その感覚、すごく分かります。ボクも金額の目安を見ると、途端に「うちは足りるのかな」「今から準備して間に合うのかな」と不安が一気に強くなって、それ以上考える余裕がなくなってしまいます。
調べれば調べるほど、逆に怖くなることもあります。

そうそう。だからとりあえず貯金しなきゃ、って思うんだけど、それで本当に大丈夫なのかは分からないままなんだよね。

その感じ、とても自然よ。でもね、その不安は「教育費が高いから」生まれているわけじゃないの。
何をどう考えればいいのかが整理されていないまま、いきなり答えを探そうとしているから、不安が大きくなってしまうのよ。
教育費と教育資金は、同じようで違う

整理されていない、か。
正直、教育費も教育資金も同じ意味だと思ってた。

ボクもです。「教育にかかるお金」という一つの大きな塊として考えていました。

多くの人がそうなの。でも、この二つを分けて考えないと、ずっとモヤモヤしたままになるわ。
ここで、言葉を整理しましょう。

なるほど。払う話と、準備の話をごちゃっと一緒にしてたんだ。

だから「いくら必要か」ばかりが気になって、「どう備えるか」を考えられていなかったんですね。
不安が消えない本当の理由

でもさ、最終的に払うのは同じお金だよね。だったら一緒に考えてもいい気もするんだけど。

そこが一番つまずきやすいところなのよ。同じお金でも、役割の違うお金が混ざっているの。
教育資金の中には、こんな性格の違うお金があるわ。
- もうすぐ使うお金
- 何年後かに必ず使うお金
- まだ先で、時間を味方にできるお金

確かに、全部同じ扱いにしていました。だから「足りるか足りないか」しか考えられなかったのかもしれません。

性格の違うお金を、同じ箱に入れて考えてた感じだね。
教育資金を「分けて」考える

じゃあ、どう考え直せばいいんだろう。

難しく考えなくていいのよ。まずは、この三つに分けて考えるだけでいい。
- 貯める:将来に向けて用意する
- 払う:必要なときに支出する
- 増やす:時間を使って準備する

今まで、これを全部一緒に考えていました。だから、どこかで無理が出ていたんですね。

先に役割を分けると、「これは今すぐの話」「これは後で考えていい話」って整理できる気がする。
「いくら必要か」は、最後でいい

とはいえ、やっぱり最終的な金額は気になるよね。

はい。ボクにとっては、そこが一番怖いところです。

もちろん金額は大事よ。でも、多くの家庭は順番を間違えているの。よくあるのは、「いくら必要か」を先に決めて、「どう用意するか」を後で考える流れ。
でも本当は、どんな教育を考えているのか、いつ頃どんな支出が来そうか、家計としてどこまでなら無理がないかを整理してから、金額を考えるほうがずっとラクなの。

地図を描かずに、いきなり距離だけ聞いてた感じだね。

だから不安だけが先に立ってしまっていたんですね。
教育資金は「正解探し」じゃない

正直、ワタシはずっと正解が欲しかった。これをやっておけば安心、みたいな答え。

ボクもです。失敗したくない気持ちが強くて、間違えない選択を探していました。

でもね、教育資金に一つの正解はないの。あるのは、「その家庭に合った整理」だけ。
収入も、家族構成も、考え方も違うんだから、同じ設計になるほうが不自然よ。

じゃあ、この特集記事でわかることってなに?

正解を教えるんじゃないわ。考え方を、一緒に作っていくの。
今回のまとめ
- 教育費と教育資金は別
- 教育資金には性格の違うお金が混ざっている
- 先に全体像を整理しないと、不安は消えない
- 正解探しより、自分の家計に合う考え方を作る

教育資金は、怖いものじゃないのよ。怖く感じるのは、整理されていないから。
これから一つずつ、貯金や保険、投資、そして教育費の山をほどいていきましょう。焦らなくていい。考え方が整えば、判断はずっとラクになるわ。
次回予告

ちゃんと考えていいテーマなんだって、少し安心した。

はい。全部分からなくても、順番に考えればいいんですね。

次回は、教育費が「いつ」「どこで」重くなるのか。教育費が一気に重くなるタイミング “教育費の山” を整理していくわね。

