はじめに
教育資金の話は、「いくらかかるのか」「何を選べばいいのか」から考え始めると、かえって不安が大きくなりがちです。
この特集では、貯金・学資保険・投資・習い事といった個別の手段を比べる前に、教育とお金をどう整理して考えるかを、会話を通じて掘り下げていきます。
全10回を通して、家庭ごとの価値観や家計に合った「教育資金の考え方」を見つけることを目指します。それぞれの家庭において「納得できる」判断軸をつくるための特集です。
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【特集:教育資金】#05 貯金だけで足りる? ― 教育資金の安心と限界
教育資金について考えたとき、「やはり貯金が一番安心ではないか」と感じる人は少なくありません。減らない、分かりやすい、いつでも使える。そうした安心感は、家計を支える大きな力になります。一方で、貯金だけで本当に教育費の山を乗り切れるのか、どこかで不安が残ることもあります。
この回では、「貯金だけ」という選択をあらためて整理し、その強みと限界を考えていきます。
やっぱり貯金が一番安心だと思う理由

ここまでいろいろ聞いてきましたけど、正直なところ、ボクはやっぱり貯金が一番安心だと思っています。学資保険やNISAの話も理解はしましたが、教育費は減ったら困るお金ですし、結局は確実に残る方法が一番なのではないでしょうか。
複雑な仕組みを考えなくていいのも、家計としては大きなメリットだと思います。

その気持ちはすごく分かるよ。ワタシも「絶対に必要なお金」にリスクを取るのは怖いし、貯金の分かりやすさは本当に強い。
ただ一方で、貯金だけに頼っていると、教育費の全体像が見えにくくなる気もしてるんだよね。ちゃんと貯めているはずなのに、不安が消えない感じ。

どちらも自然な感覚よ。貯金は、教育資金の中でもっとも安心感が高い方法なのは間違いないわ。その安心があるからこそ、教育費について考え始められる家庭も多いの。
貯金が教育資金に向いている場面

まずは、貯金が向いている場面をちゃんと認めたほうがいい気がする。全部を否定する必要はないよね。

はい。そのとおりです。

貯金が教育資金に向いているのは、次のような場面よ。
- 近い将来に確実に使う教育費
- 学校行事や教材費など、金額が読みにくい支出
- 家計が不安定になったときの備え

こうして見ると、やはり貯金は外せないですね。教育費だけでなく、家計全体のセーフティネットとしても重要です。

うん。ワタシも「まず貯金」は大前提だと思ってる。
それでも「貯金だけ」に迷いが出る理由

たださ、不思議なんだけど、貯金を続けていても「本当に足りるかな」って不安、消えなくない?ちゃんと積み立ててるのに、どこかで心配になる。

確かに、教育費のピークを考えると、今のペースで足りるのか計算し始めると不安になります。ただ、それでも減らない安心感のほうが勝ってしまうんです。

その不安の正体は、貯金の特徴そのものにあるの。貯金は安心感が高い一方で、次のような側面も持っているわ。
- お金自体は増えにくい
- 教育費の山では取り崩しが一気に進む
- 通帳残高が減り続ける期間が長くなる

特にこどもが大学生になって教育費がかなりかかる「山」の段階に入ると、お金の減り方が見えてくるのがキツそうだよね。

貯金通帳の数字が減っていくのを見るのは、精神的な負担になりそうです。
兄弟姉妹がいる場合、貯金だけはさらに重くなる

兄弟がいる家庭だと、この話はもっと現実的になるよね。

はい。上の子と下の子で教育費の山が重なる期間が長くなります。

その通りよ。兄弟がいると、教育費の山が「一回」では終わらない家庭も多いわ。貯金だけで準備していると、長い期間、貯金を取り崩し続ける状態になりやすいの。

減っていく期間が長いと、使う判断そのものが怖くなりそうだね。

それでも、減らない方法が他にないなら、耐えるしかないとも思ってしまいます。
貯金は「土台」として考えると見え方が変わる

ここまで整理して思うのは、貯金が悪いんじゃなくて、全部を任せすぎると苦しくなるってことかな。

ボクもそこは納得しました。貯金は必要だけど、役割を整理しないと不安が増えるのかもしれません。

その理解でいいわ。貯金は教育資金の「土台」。すべてを背負わせるのではなく、守る役割をはっきりさせるの。
- 近い将来に使う教育費
- 予測できない支出への備え
- 家計全体の安心感

土台があるからこそ、他の手段を検討する余地が生まれるんだね。

全部を一つで考えようとしていたから、不安が大きくなっていた気がします。
今回のまとめ
- 貯金は教育資金において最も安心感の高い方法
- 一方で、増えにくく、教育費の山では取り崩しの負担が大きくなる
- 兄弟姉妹がいる家庭では、その負担が長期間続く可能性がある
- 貯金は「教育資金の土台」として位置づけると考えやすくなる

貯金は、教育資金を考えるうえで欠かせない存在よ。ただし、すべてを任せると、教育費の山で息切れしてしまうこともある。
守る役割を貯金に任せたうえで、どう補うかを考えると、家計はもっと安定して見えてくるわ。
次回予告「教育資金の役割分担」

貯金が大事なのは変わらないけど、全部を背負わせなくてもいいって分かった気がする。

はい。土台として考えると、気持ちが少し楽になりました。

次回は、貯金・学資保険・NISAをどう組み合わせるか。教育資金の「役割分担」を一緒に設計していきましょう。

