はじめに
教育資金の話は、「いくらかかるのか」「何を選べばいいのか」から考え始めると、かえって不安が大きくなりがちです。
この特集では、貯金・学資保険・投資・習い事といった個別の手段を比べる前に、教育とお金をどう整理して考えるかを、会話を通じて掘り下げていきます。
全10回を通して、家庭ごとの価値観や家計に合った「教育資金の考え方」を見つけることを目指します。それぞれの家庭において「納得できる」判断軸をつくるための特集です。
特集記事「教育資金」記事一覧
【特集:教育資金】#08 習い事は教育投資? ― 伸びる支出と、そうでない支出
教育資金の話が具体的になってくると、多くの家庭が悩み始めるのが「習い事」や「塾」です。やらせたほうがいい気もするし、やめるのは不安。一方で、毎月の支出としては確実に重くのしかかってきます。
この回では、スポーツや音楽だけでなく、学習塾やオンライン塾も含めて、「学校外教育費」を教育資金の中でどう位置づけるかを考えます。
教育費の中で、いちばん判断が難しい支出

授業料とか大学費用は「その時期が来たら払うもの」って割り切れるけど、習い事とか塾は違うよね。毎月出ていくから、じわじわ効いてくる。

ボクは特に塾です。行かせないと不安だけど、成果がはっきり見えるわけでもない。それでも「やめる」という判断ができないんです。

それは当然よ。学校外教育費は、教育費の中で一番“感情”と“不安”が入りやすい支出なの。だから、ここを整理しないまま進むと、家計全体の判断が揺れやすくなるのよ。
習い事と塾は、同じテーブルで考える

正直、ピアノとかスポーツと、塾を同じに考えていいのか迷うんだよね。塾って、ちょっと別格な感じがして。

はい。塾は「行かないと困るもの」という意識があります。

でもね、家計の視点で見ると、どちらも同じ「学校外教育費」なの。学校の外で、家庭が追加で負担する教育費。まずはそこを一つの枠としてまとめて考えましょう。

なるほど。「内容の違い」じゃなくて、「家計から見た役割」でそろえるんだ。
教育投資かどうかは「結果」ではなく「目的」

でも、塾って結果が出なかったら意味がない気がしてしまいます。成績が上がらなかったら、投資失敗なのでは、と。

そこが一番の誤解よ。教育投資かどうかは、結果で決まるものではないの。家庭として、何を期待して支払っているか。その目的がはっきりしているかどうかが大切なの。

たとえば?

基礎を固めたい、勉強の習慣をつけたい、受験対策として期間限定で使いたい。そういう目的が言葉にできていれば、それは教育投資として整理できるわ。
教育投資になりやすい学校外教育費の条件

ここで、習い事や塾が「教育投資」として考えやすい状態を整理してみるわね。
- 家庭内で目的が共有されている
- 期間や区切り(学年・学期など)を意識している
- 教育資金全体の設計を壊していない

塾でも、「ずっと通う前提」じゃなくて「ここまで」と決めておくと違いそうだね。

目的がはっきりしていれば、「続ける・見直す」の判断もしやすくなりそうです。
教育投資になりにくいサイン

一方で、次の状態が続くと、学校外教育費は「ただの重い支出」になりやすくなるの。
- 続ける理由が「今までやってきたから・払ってきたから」になっている
- 本人が楽しんでいなかったり、意味を感じていなかったりする
- 成果や目的について話し合う機会がない
- 家計の他の教育資金(貯金・投資)を圧迫している

これ、塾や習い事あるあるじゃない? やめる話題そのものを避けちゃう。

はい。「今さらやめるのも…」と考えてしまいます。

それは失敗ではないわ。でも、その状態に気づいたときが、考え直すタイミングなの。
「月謝」ではなく「学校外教育費枠」で考える

じゃあ、実際にはどう管理するのがいいんだろう。

おすすめは、教育資金の中に「学校外教育費枠」を作ること。たとえば、教育資金として月3万円を設定している家庭なら、そのうち5,000〜8,000円をこの枠にすると決めるの。

塾も習い事も、その枠の中で考えるわけですね。

新しく始めるときも、「増やす」じゃなくて「入れ替える」発想になるのは助かる。
兄弟姉妹がいる家庭の場合

兄弟姉妹がいると、不公平にならないかも気になるよね。

大切なのは「同じ金額」より「同じ考え方」。一人ひとり内容が違っても、学校外教育費枠というルールが共通なら、後から説明しやすくなるわ。

理由が説明できるかどうかが大事なんですね。
今回のまとめ
- 習い事も塾も「学校外教育費」として同じ枠で考える
- 教育投資かどうかは結果ではなく目的で決まる
- 目的や期間が言葉にできない支出は見直しサイン
- 枠を決めると、感情に振り回されにくくなる

学校外教育費は、家庭の価値観が一番出る場所です。正解が一つあるわけではありません。
でも、目的と枠が決まっていれば、迷いは「考え直せる迷い」に変わります。それが教育投資として一番健全な状態なのよ。
次回予告「判断が揺れる3つの分かれ道」

習い事も塾も、「やめる判断」が一番むずかしいかも。

はい。「もったいない」が頭から離れません。

次回は、その「もったいない」に縛られない考え方を扱います。過去の出費ではなく、これからを基準に判断する視点を一緒に整理しましょう。

