「笑ってはいけない」が世界へ!番組フォーマットはなぜ売れる?

『ガキ使』笑ってはいけない、世界展開へ フォーマット販売へ | オリコンニュース(ORICON NEWS)

ニュース| 1989年から日本テレビ系列で放映されているバラエティー番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の人気シリーズ『絶対に笑ってはいけない』(製作著作:日本テレビ/英題:YOU LAUGH YOU LOSE)が“世界展開”だ。同コンテンツのフォーマット販売を担当する吉本興業は、世界最大級のエンターテインメント企業であるバニジェイ・エン…

テレビ番組は、放送されて終わりではありません。近年は、番組そのものではなく「企画の仕組み」を海外に販売する動きが広がっています。日本テレビの人気企画「絶対に笑ってはいけない」シリーズも、海外企業との提携によって、世界各国で現地版が制作される計画が報じられました。

なぜ、同じ番組の“ルール”が国境を越えて価値を持つのでしょうか。映像ではなく設計図を売るビジネスは、どのように利益を生み、経済と結びついているのでしょうか。日本のエンターテインメントが世界市場に広がる仕組みを、具体的なデータとともに整理します。

Q. 「絶対に笑ってはいけない」のローカル版が制作される可能性がある国と地域の数として、最も近いものはどれでしょうか?

A. 約10の国と地域
B. 約25の国と地域
C. 約50の国と地域

→正解は「B. 約25の国と地域」です。

報道では、この企画は世界中に制作ネットワークを持つ企業との提携により、複数の地域で制作される予定とされています。番組そのものではなく「番組の仕組み」を販売する形式が使われています。こうした仕組みは、各国の文化に合わせて制作できる点が特徴です。

番組を売るのではない:『設計図』を売るビジネス

今回、吉本興業は世界的なエンターテインメント企業グループであるバニジェイ・エンターテインメントと提携しました。この提携により、「絶対に笑ってはいけない」の番組フォーマットが、世界25の国と地域で制作される可能性があります。

番組フォーマットとは、番組のルールや進行、演出の構造などをまとめた「設計図」です。海外の制作会社は、この設計図を購入し、自国の出演者や文化に合わせて番組を制作します。

つまり、日本で作られた「番組の仕組み」そのものが、輸出商品になっているのです。

このビジネスはすでに世界中で広がっています。例えば料理番組「MasterChef」は70以上の国と地域で制作され、700以上のシーズンが作られています。また「Survivor」も50以上の国で制作されています。これらはすべて、番組フォーマットの販売によって実現しています。

1回で終わらない稼ぎ方:フォーマットが強い理由

ここで重要なのは、「完成した番組」より「番組の仕組み」の方が長期的に利益を生む場合があるという点です。
完成した番組は、放送や配信で一度販売すると、その後の収益は限定的です。一方、フォーマットは複数の国で繰り返し制作されるため、そのたびに使用料が発生します。

例えば、

  • 1つの番組フォーマット
  • → 25の国で制作
  • → 各国で複数シーズン制作

という形で、収益が継続的に生まれます。

これは、製造業で「完成品」ではなく「特許」や「設計」を販売するのに似ています。知的財産(IP)を活用したビジネスといえます。
日本の例では、「SASUKE」が「Ninja Warrior」として世界160以上の国で放送され、20以上の国で現地版が制作されています。また「マネーの虎」も45以上の国でリメイク版が制作されました。

日本の放送コンテンツ輸出のいま

総務省の調査によると、2023年度の日本の放送コンテンツ海外輸出額は約835.8億円でした。これは前年度より約79.6億円増加しています。

ジャンル別では、

  • アニメ:約741.2億円
  • ドラマ:約40.1億円
  • バラエティ:約33.1億円

となっています。

注目すべき点は、バラエティでは「番組そのもの」より「フォーマットやリメイク権」の輸出額が大きくなっていることです。これは、番組の仕組みそのものが経済的価値を持っていることを示しています。

なぜ“フォーマット”が各国で選ばれる?

なぜ、同じフォーマットの番組が世界25の国と地域で制作されるのでしょうか。それは、フォーマットを使うことで、制作側が「成功する可能性の高い番組」を作れるからです。
新しい番組をゼロから開発するには時間と費用がかかります。しかし、すでに他国で成功したフォーマットを使えば、成功の可能性がある企画を効率よく制作できます。

これは、企業が実績のあるビジネスモデルを導入するのと同じ考え方です。リスクを減らしながら利益を目指す経済的な判断です。

エンタメが外貨を稼ぐ:日本の“輸出産業化”は進むか

政府は、日本発コンテンツの海外市場規模を2033年までに20兆円に拡大する目標を掲げています。これは、自動車や電子機器と同じように、コンテンツが国の重要な輸出産業になりつつあることを意味します。
アニメ、ゲーム、音楽、そしてバラエティ番組のフォーマットは、日本が世界で競争できる分野です。
「絶対に笑ってはいけない」の世界展開は、日本のエンターテインメントが「国内向けの娯楽」から「世界市場で価値を持つ商品」へ変化している流れの中に位置づけられます。

総務省「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」(2023年度)によると、日本の放送コンテンツ海外輸出額は約835.8億円で、前年度より増加しています。特にバラエティ分野では、番組そのものの販売より、フォーマットやリメイク権による収益の割合が高まっています。このため、日本の番組企画そのものが輸出商品として扱われる事例が増えています。

総務省 放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2023年度)より
まとめ
  • 「笑ってはいけない」は世界25の国と地域で制作される可能性がある
  • 番組フォーマットは番組の設計図として販売される
  • フォーマットは繰り返し収益を生む仕組みを持つ
  • 日本の放送コンテンツ輸出額は835.8億円に達している
  • バラエティではフォーマット輸出の重要性が高まっている
  • コンテンツは日本の重要な輸出産業になりつつある

テレビ番組は「見るもの」だけでなく、「売ることができる商品」でもあります。特に番組フォーマットは、形のない資産でありながら、世界中で繰り返し価値を生み出します。これは、アイデアそのものが経済的価値を持つ時代になっていることを示しています。
もし新しい番組を考えるとしたら、どのようなルールなら言葉が違っても理解できるでしょうか。また、文化が異なる国でも同じように楽しめる仕組みとはどのようなものでしょうか。
コンテンツ産業は、技術だけでなく「発想」そのものが輸出される分野です。日本のどのようなアイデアが、次に世界へ広がっていくのかを、他のニュースとあわせて観察してみてください。