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【特集:教育資金】番外編1 奨学金の考え方 ― 借りる前に親が知っておきたいこと
教育資金について考えたあと、選択肢の1つとして思い浮かぶのは「奨学金」かもしれません。できれば使わずに済ませたい気持ちがある一方で、現実として無視できない制度でもあります。
この番外編では、奨学金を「借りる・借りない」で二分するのではなく、仕組みと向き合い方を整理し、家庭として納得して選べる状態を目指します。
奨学金の話題が出ると、家族の空気が変わる

教育資金の話って、ここまでは「貯める」「増やす」「枠を決める」みたいに前向きに整理できたのに、奨学金って言葉が出た瞬間、急に空気が重くなることがあるよね。
ワタシとしては、奨学金を“悪いもの”として避けるより、必要になったときに慌てないように知っておくほうが、結局は家計も気持ちもラクになると思う。けど同時に、「借りたら最後、ずっと返すのが大変」というイメージも根強いから、親がどんな顔で話せばいいのか迷うのも分かる。

ボクは正直、奨学金はなるべく使わずに済むならそれが一番だと思っています。借金という言葉が先に浮かびますし、子どもに「返済の負担」を背負わせることになるのでは、と考えてしまうからです。
ただ、現実として教育費の山が大きい家庭もあるし、進学の選択肢を狭めるのも違う。だからこそ、感情だけで拒否するのではなく、仕組みを理解して「本当に避けるべきものなのか」「避けるなら何を優先して準備すべきか」を整理しないといけない、とも感じています。

その二人の反応は、どちらも自然なのよ。奨学金は制度としては中立で、問題は「知らないまま怖がる」か「知らないまま借りる」かになりやすい。
だから今日は、判断を落ち着かせるための材料をそろえていきます。
奨学金は「進学の選択肢を広げる制度」

奨学金って、日本だとどうしても「足りないから仕方なく借りる」みたいな扱いになりがちだけど、本来はもっと違う意味もあるんじゃない?
たとえば海外だと、奨学金や学生ローンを前提に進学を考える国もあるし、「親が全部出す」だけが正解じゃない気がする。

確かに、海外と比べると、親が背負う前提が強い気がします。でもボクはそこが気にもなります。海外の仕組みをそのまま日本に当てはめると、返済で苦しむケースも出るかもしれない。だから「海外では普通」と言われても安心できないんです。
結局、日本で大事なのは、制度の立て付けと返済の現実を見て、家庭として“背負える範囲”を線引きすることだと思います。

その通りよ。奨学金は、教育を諦める制度ではなく「進学の選択肢を広げる制度」。ただし、借金である以上、返済の設計が欠けると家計に影響が出る。
海外比較は、価値観を相対化する材料にはなるけれど、「同じやり方をする」ための根拠ではないの。
一番危ないのは「知らないまま借りる」こと

じゃあ結局、奨学金で一番危ないポイントってなに?

知らないまま借りることよ。返済がいつ始まるのか、どのくらい続くのか、利息があるのか。そこを曖昧にしたまま「とりあえず」で選ぶと、後で家計も気持ちも苦しくなる。

ボクが心配なのはそこです。奨学金って、進学のタイミングでは勢いで決めやすい。でも返済は卒業後の生活に直結しますよね。
就職がうまくいかなかったり、病気や転職があったり、人生の揺れがある中で固定の返済が続くのは、想像以上に負担になりそうです。だからこそ、契約前に“最悪のケースでも返せるか”まで考える必要があると思います。

ワタシは逆に、「怖いから触れない」のも同じくらい危ないと思う。話題にしないまま進学期が来ると、最後は時間がなくて「借りるか諦めるか」みたいな極端な選択になっちゃう。
だったら早めに、家計の中で「奨学金は使う可能性があるのか」「使うならどんな条件か」を置いておいたほうがいい気がする。
「準備」と「奨学金」は対立しない

ただ、ここまで貯金やNISA、学資保険まで整理してきて、奨学金の話をすると「準備が足りない家庭の話」みたいに聞こえてしまうのが嫌なんです。準備してきたことが無駄になるような気持ちもあります。

分かる。でもワタシは、準備と奨学金ってどっちかを選ぶような問題じゃないと思う。準備できた分だけ借りる額を減らせるし、借りる額が小さければ返済の負担も小さくできる。つまり、準備は奨学金の“リスクを下げる”ためにも意味があるんじゃないかな。

いい考え方ね。奨学金は「全部を背負うもの」ではなく「不足分を補う選択肢」。準備は、奨学金に頼り切らないためにも、奨学金を使う場合の負担を軽くするためにも役に立つのよ。
親がやるべきことは「決める」ことではない

親って、奨学金についてどこまで関わるのが正解なんだろう。借りる・借りないは子どもの問題、って切り分ける家庭もあるよね。

ボクは、丸投げも危ないと思います。契約の意味も分からないまま子どもに任せると、「その場で必要だから」で決めてしまいがちです。
ただ一方で、親が全部決めてしまうと、本人が返済の現実を自分ごととして捉えにくい。だから、親は“決定者”ではなく“整理役”が近いと思います。

その言い方がぴったりよ。親の役割は「答えを出すこと」ではなく、制度と影響を整理し、子どもが納得して選べる状態にすること。ここができるだけで、奨学金は怖い存在から、扱える選択肢になるの。
奨学金を考えるときのチェックリスト

ここでは、借りる・借りないの結論を出す前に、最低限そろえておきたい材料をまとめます。
- 返済が始まる時期と、返済が終わるまでの年数
- 利息の有無(利息がある場合、総返済額がどう増えるか)
- 月々の返済額が、就職後の生活費に与える影響
- 家庭として、どこまで支援するのか(ゼロか、一部か)
- 進学先・学部・通学環境によって、必要額がどう変わるか

これだけ並ぶと、「借りるかどうか」以前に、ちゃんと家族で話すべきテーマだって分かるね。

はい。ボクは特に「返済が終わるまでの年数」を見て、感情だけで判断しないようにしたいです。
今回のまとめ
- 奨学金は進学の選択肢を広げる制度
- 怖いのは制度ではなく、理解不足のまま選ぶこと
- 準備と奨学金は対立せず、準備は負担を軽くする
- 親の役割は、決めることより「整理して一緒に考えること」

奨学金は、使うか使わないかが大事なのではありません。知らずに避けるのではなく、知ったうえで選ぶこと。もし使うなら、家計と返済の見通しを持って使うこと。そうやって向き合えたとき、奨学金は不安のタネではなく、教育の選択肢として扱えるようになります。
ここまでの特集で整えてきた「山」「配分」「枠」は、その判断を落ち着かせる土台になるのよ。
番外編#02予告「データの読み方」

奨学金の話を整理してみて思ったけど、結局「足りる・足りない」って感覚、かなり数字に振り回されてた気がするな。

はい。平均いくら、総額いくら、と聞くだけで不安になっていましたが、その数字が何を前提にしているのか、ちゃんと見ていませんでした。

もう1つの番外編として、次回は教育費データの読み方を整理します。「平均」はなぜ参考にならないのか、文部科学省などの公式データを使って、一緒に見ていきましょう。

