はじめに
教育資金の話は、「いくらかかるのか」「何を選べばいいのか」から考え始めると、かえって不安が大きくなりがちです。
この特集では、貯金・学資保険・投資・習い事といった個別の手段を比べる前に、教育とお金をどう整理して考えるかを、会話を通じて掘り下げていきます。
全10回を通して、家庭ごとの価値観や家計に合った「教育資金の考え方」を見つけることを目指します。それぞれの家庭において「納得できる」判断軸をつくるための特集です。
特集記事「教育資金」記事一覧
【特集:教育資金】#06 教育資金の分け方 ― 役割と金額で考える設計図
教育資金の話になると、「結局どの商品がいいのか」という議論に流れがちです。けれど、多くの家庭が迷い続けてしまう本当の理由は、商品選びの前にある“整理不足”にあります。
この回では、教育資金を「貯める・増やす・動かす」という役割に分け、さらに金額まで落とすことで、家計の中でどう位置づければよいのかを具体的に考えていきます。
分かったはずなのに動けない ― 「で、いくら?」問題

前回までの役割分担の話、考え方としてはすごく腑に落ちたんだ。でも正直に言うと、「じゃあウチはいくらずつ?」って考えた瞬間、手が止まった。
考え方はわかるんだけど、なかなか生活の中に落とし込めないんだよね。
学資保険もNISAも貯金も、全部「大事そう」に見えて、結局どれも決めきれない。

ボクも同じです。ボクは特に、「これは守り」「これは攻め」と言われても、実際の家計にどう置けばいいのかが分からなくなります。
言葉としては理解できても、生活の中での実感が持てないんです。

それはね、「役割」と「金額」が結びついていないからなのよ。役割だけ決めても、人は動けない。逆に金額だけ決めても、不安は消えない。両方をセットで考える必要があるの。
教育資金の総額は「幅」で考える

まず聞きたいんだけど、教育資金って、そもそも総額いくらくらいを想定すればいいんだろう。

そこが一番怖いところです。金額を知ってしまうと、足りない現実を突きつけられそうで。

だから断定しないの。教育費は進路で大きく変わるから、「幅」で置くのが基本よ。
例えば、大学までで考えると、だいたい1,000万円台から2,500万円台くらいまで、かなり差が出る。これは目安であって、ゴールを決める数字ではないわ。

幅で考えるだけでも、「全部を一気に用意しなきゃ」って気持ちが少し和らぐね。
役割で分けるとラクになる ― 守る・増やす・動かす

じゃあ、その総額を、どう分けるかだよね。ここで役割分担が効いてくるわけか。

ボクとしては、まず減らない部分をどれくらい確保するかが重要です。

まず、教育資金を次の3つに分けて考えてみましょう。
- 守るお金(貯金・学資保険):確実に残したいお金
- 増やすお金(NISAなど):時間を使って育てるお金
- 動かせるお金(流動資金):予定変更に対応するお金

こうやって並べると、全部を同じ扱いにしてたのが無理だったって分かるね。

ボクは今まで、全部「守るお金」として見ていました。だから少しでも増やす話が出ると、不安のほうが先に立ってしまっていた気がします。

それでいいのよ。大事なのは、どれかを否定することじゃなくて、「役割を分けて置く」ことなの。
割合の目安を先に考えてみる

次に、役割ごとの割合をざっくり決めます。ここでは一般的な目安として、次のように考えてみます。
- 守るお金(貯金・学資保険):50〜70%
- 増やすお金(NISA):20〜40%
- 動かせるお金(流動資金):10〜20%

こう見ると、思ったより「増やす」が多くてもいいんだね。もっと少しだけ、ってイメージだった。

でも同時に、「守る」が一番大きいのも安心します。全部を投資に回す話ではないんですね。

そう。ここで大事なのは、必ずしもこのとおりの数字を選ばなくていいということ。家庭によって割合は違っていいの。
月3万円なら、こう見える

ここで、具体的に月3万円を教育資金として回す家庭を考えてみるわよ。
安心重視の例
- 守るお金(貯金・学資保険):18,000円(60%)
- 増やすお金(NISA):7,500円(25%)
- 動かせるお金(流動資金):4,500円(15%)

この配分なら、ボクもかなり落ち着きます。守るお金が一番多いし、それ以外も「全部賭けている感じ」がしません。
時間を活用する例
- 守るお金(貯金・学資保険):15,000円(50%)
- 増やすお金(NISA):10,500円(35%)
- 動かせるお金(流動資金):4,500円(15%)

ワタシはこっちかな。全部投資じゃないけど、「時間を味方につける」感じがする。これなら納得して続けられそう。

どちらも正解よ。大切なのは、「なぜその配分にしたのか」を自分の言葉で説明できることなの。
金額は「決めるため」ではなく「感じるため」に置く

こうして金額まで見えると、「決めなきゃ」というプレッシャーが減るね。逆に楽になった。

はい。数字を見ることで「これ以上考えなくていい場所」と「考えていい余地」が分かれた気がします。

その通り。それが数字の役割なのよ。完璧に当てにいくためのものじゃない。迷いを減らすための目印なの。
大事なのは、「この配分なら安心が崩れない」と言えるラインを見つけることなの。
そして、金額や割合は家庭ごとに違っていていいの。それぞれの家庭によって状況は違うから、誰にとっても正しい金額や割合はないのよ。
今回のまとめ
- 教育資金は「守る・増やす・動かす」に分けて考える
- 割合を先に決めると、商品選びに振り回されにくくなる
- 月3万円でも、配分次第で考え方ははっきりする
- 正解は一つではなく、「納得できる理由」があるかどうか

教育資金は、未来を当てにいく勝負ではありません。今の家計が無理なく続くかどうか、そのための設計なの。役割と金額が結びついたとき、不安はゼロにはならなくても、ちゃんと扱えるものになります。
次回予告「判断が揺れる3つの分かれ道」

ここまで整理して、割合や金額を決めることができたから「これでしばらく大丈夫かな」って思えるね。

はい。ただ…正直に言うと、時間がたつとまた不安になりそうな気もしています。「他の家はどうしてるんだろう」とか、つい考えちゃいそうで。

それ、とても大事な感覚よ。教育資金は、一度決めても迷いが戻ってくるものなの。
次回は、ちゃんと考えたはずなのに判断が揺れてしまう理由を整理します。迷いが生まれる場所を知っておくと、家計はずっとラクになります。

