はじめに
教育資金の話は、「いくらかかるのか」「何を選べばいいのか」から考え始めると、かえって不安が大きくなりがちです。
この特集では、貯金・学資保険・投資・習い事といった個別の手段を比べる前に、教育とお金をどう整理して考えるかを、会話を通じて掘り下げていきます。
全10回を通して、家庭ごとの価値観や家計に合った「教育資金の考え方」を見つけることを目指します。それぞれの家庭において「納得できる」判断軸をつくるための特集です。
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【特集:教育資金】#07 ちゃんなぜ判断に迷う? ― 教育資金で意見が分かれる理由
教育資金の役割分担や割合、金額イメージを整理すると、「これならウチも考えられる」という感覚が生まれます。ところが不思議なことに、しばらくするとまた迷いが戻ってくる家庭があります。
考え方が間違っているわけではありません。教育資金には、判断が揺れやすい“分かれ道”がいくつも用意されているのです。この回では、第6回で考えた設計を前提に、「どこで判断が狂いやすいのか」を整理します。
決めたはずなのに、不安がぶり返す瞬間

第6回で金額まで落としたときは、ワタシ正直かなり納得してたんだよね。「これでしばらく考えなくていいな」って。でも数週間たつと、また不安が顔を出してくる気がする。

分かります。ボクも、配分を決めた直後は安心するのですが、時間がたつと「本当にこのままで大丈夫なのか」と考え始めてしまいます。数字を見直しては、また迷う。その繰り返しになりがちです。

それは自然なことよ。教育資金は長期戦だから、一度の判断で終わらないの。大切なのは、「迷いが生まれる場所」をあらかじめ知っておくことなのよ。
分かれ道① 情報が増えたとき

一番多いのはこれじゃないかな。SNSとか記事で「もっといい方法」を見つけたとき。一瞬で今の設計が古く感じるんだよね。

ボクは成功例を見ると特に揺れます。「この家庭はNISAをもっと使っている」「うちは少なすぎるのでは」と考えてしまいます。

そのとき、多くの家庭は「前提条件の違い」を忘れてしまうの。
収入、支出、子どもの年齢、安心の置きどころ。それが違えば、最適な配分も違うわ。

情報そのものより、「自分の設計と切り離して見てしまう」ことが問題なんだね。
分かれ道② 教育費の山が近づいたと感じたとき

ボクが一番不安になるのは、教育費の山が現実味を帯びてきたときです。高校や大学の話が具体的になると、「もう準備期間じゃないのでは」と焦ります。

ワタシは逆に、そのタイミングで「今からでも増やしたほうがいいのでは」と思いそう。時間が少なくなると、判断が極端になりがちだよね。

そこが危ないの。山が近づくほど、感情が判断を上書きしやすくなる。冷静さが必要な場面ほど、感情が先に動いてしまうのよ。

だから、全部貯金に戻したくなる家庭も多いんですね。
分かれ道③ 比較し始めたとき

もう一つ大きいのが、他の家庭との比較じゃないかな。「あの家はもっとやってる」「うちは足りてないんじゃないか」って。

はい。特に進路の話が出ると、どうしても比べてしまいます。

比較が始まると、教育資金は家計の問題ではなく、感情の問題に変わるの。ここで判断を変えると、後から「なぜ変えたのか」を説明できなくなりやすいわ。

感情だけで決めて、「どうしてそうしたか」を言えない選択って、あとから一番不安になるよね。
判断が揺れたときの立ち止まり方

じゃあ、不安が出たらどうすればいいんだろう。放っておくのも違うし、すぐ変えるのも怖い。

ボクは、「変えない理由」を言葉にできるかどうかが大事だと思いました。不安だからではなく、「こう考えたから今は変えない」と言える状態でいたいです。

とてもいい整理ね。判断が揺れたときは、次の3つを確認してみて。
- その不安は「情報」「焦り」「比較」のどれか
- 今の設計を決めた理由を説明できるか
- 見直す時期をあらかじめ決めているか

なるほど。「今すぐ変える」か「何もしない」かの二択じゃなくていいんだ。
迷うのはおかしくない、大事なのは...

ワタシは、判断が揺れたときほど、設計そのものは簡単に変えないほうがいいと思った。不安が出たら、「今どの分かれ道に立ってるか」を考える。それだけで冷静になれそう。

ボクは、安心を守る選択をした自分を信じたいと思いました。話を聞いても、最終的に戻る場所が貯金なら、それは間違いではないと分かりました。

その考え方でいいのよ。迷うこと自体が失敗ではないの。「迷ったときに戻れる軸」があるかどうか。
軸っていうのは、“うちの教育資金はこう分ける”という自分のルールのことなの。
たとえば、守るお金は月18,000円で固定、増やすお金は月7,500円まで、動かせるお金は月4,500円で調整用
。こう決めておけば、SNSで別のやり方を見ても、教育費の話題で焦っても、すぐ全部を変えずに「まず元の配分に戻そう」と考えられるのよ。
今回のまとめ
- 教育資金の判断は「情報・焦り・比較」で揺れやすくなる
- 教育費の「山」が近づくほど、感情が判断を上書きしやすい
- 判断を変える前に、理由を言葉にすることが大切
- 見直す時期を決めておくと、迷いは小さくなる

教育資金で大事なのは、迷わないことではありません。迷ったときに戻れる考え方を持っていること。判断が揺れたら、間違いを探すのではなく、立ち位置を確認する。それができれば、家計は振り回されにくくなります。
次回予告「判断が揺れる3つの分かれ道」

迷う場所が分かってるだけで、気持ちが全然違うね。

はい。迷う自分を責めなくていいと分かりました。

次回は、習い事に目を向けてみます。塾や習い事をどう考えるか、一緒に整理していきましょう。

