
教育情報メディア「ACTIVE!」x 社会経済ニュースメディア「キッズノミクス」共同企画
大学の経済・経営学部を探検!
摂南大学 経済学部長
柳川 隆先生【第3部】
※第4部は
教育情報メディア ACTIVE! に掲載しています。

はじめに
こどもと一緒に楽習する教育情報メディア「ACTIVE!」と社会・経済ニュースメディア「キッズノミクス」では、「好奇心を刺激する学び」をテーマに記事の配信に取り組んでいます。
今回は両メディアの共同企画「大学の経済・経営学部を探検!」と題した特集記事をお届けします。

今回は、摂南大学経済学部の学部長である柳川隆教授にお話を伺いました。
柳川教授は、2025年からスタートする新カリキュラム「Reborn 2025」の内容や、学生が主体的にコースを選び、興味を深めていくプロセスについて語ってくださいました。
また、ゼミやフィールドワークなどの少人数教育、資格取得のサポート、さらにはビジネスや不動産に関する実践的な学びの重要性についても詳しく紹介いただいております。
これから大学進学を考える学生や、そのサポートをしたい保護者にとって、経済学がどのように未来に役立つのか、その学び方と魅力が詰まったインタビューとなっています。
インタビューにご協力いただいた先生

柳川 隆 先生
摂南大学
経済学部 学部長
産業組織論が専門。特に競争政策や公益事業経営・政策に関する研究を行い、デジタル経済における企業戦略やプラットフォームビジネスの分析にも注力。学生の主体的な学びを促進するため、多様なコース選択や資格取得支援など、教育カリキュラムの充実にも力を入れている。

経済は身近な生活そのもの!
数学が苦手でも深い学びを実現

あらためて驚かされるのは、学生が自主的に選べる環境を整えているということです。これはすごく先進的な取り組みですね。
柳川先生:必修科目が多ければ、学生はそれに従うだけで済みますが、「これをやれば経済学を学んだことになる」というのではなく、もっと自分で考えて選ぶ機会を増やしたいと思っています。
今の学生はやりたいことには積極的ですが、興味がないものには手を出さない傾向が強いので、このアプローチが合っているのではないかと思います。

まさにその通りですね。これから摂南大学に来る小学生や中学生の世代は、さらにその傾向が強いかもしれませんね。
自分の好きなことに夢中になれるのは素晴らしいことですし、それを学びのきっかけにしてほしいですよね。
柳川先生:そうですね。例えばITパスポートや簿記の授業も、就職活動を始めたときにその価値がわかるものですが、高校から大学に進学したばかりの学生はほとんど知らないのですよ。だから1年生の必履修科目として導入しています。必履修というのは、一旦全員に履修登録はしてもらいますが、嫌なら単位取得はしなくてもよいというものです。
まずは学んでみて、興味が湧けば次のステップに進んでもらえればいいと思います。

高校でも最近「情報」という授業が始まり、共通テストにも情報が加わりましたが、「情報」はITパスポートとの関連も大きいですよね。
「興味が湧けばさらに進める」というのは時代を先読みしているなと感じます。
先生は昔から経済学の世界でキャリアを積んでこられたのですか?
柳川先生:はい、そうです。学生時代から経済学部で学び、その後も教員として経済学を教えてきました。経済学の基本的な内容は大きく変わりませんが、学生への教え方や取り組み方は少しずつ進化しています。

なるほど、そういった変化を取り入れることで、学生たちもより学びやすくなりますね。
柳川先生:そうですね。最近増えているAO入試では、自己PRと経済に関するプレゼンテーションをしてもらうことが求められています。そのプレゼンテーションのテーマは何でも良いのです。
自分が興味を持っていることであれば、大抵は経済に関わってくるものなのですよね。
例えば、運動部に所属している受験生がスポーツビジネスに関することをリーサスという政府統計を用いて調べ、新しいスタジアムが地域にどう影響を与えるかを考えるといったプレゼンテーションがありました。

それはとても面白いですね。
高校生にとっても、「これも経済の一環だ」と気づく良いきっかけになりますね。

柳川先生:そうですね。例えば、普段何気なく過ごしている中にも経済が関わっていることを知るだけでも大きな気づきになります。
マーシャルも言っていましたが、経済とは人々の生活そのものです。身の回りの何でも、経済と結びつけて考えれば、学びがぐっと深まると思います。

学生がスタジアムの集客について研究していたと伺いましたが、まさにそれが良い例ですね。
柳川先生:はい、あれも実際に大学でやっていた、実践演習の授業で行われた研究の一つです。

本当に実践的で、学生が自分の興味を追求できるのは素晴らしいですね。
ところで、起業を目指す学生もいるのでしょうか。
柳川先生:起業に関しては、新しいカリキュラムで講義を増やしていますが、まだ少ないですね。ただ、全くいないわけではありません。
例えば、今年のオープンキャンパスで話してもらった学生が、大学在学中に個人で塾を立ち上げて運営していました。そして、就職にあたりその塾を売却してエグジット(事業売却して利益を得ること)も成功させました。

それはすごいですね!本当にエグジットするなんて、夢のある話です。
柳川先生:そういった学生は大体、良い就職先に決まりますね。

経済学部に入りたい理由として「社会を学びたい」という声もよく聞きますが、数学が苦手な場合でも大丈夫なのでしょうか?
柳川先生:経済学は数学を使うことが多いですが、実際には数学を使わずに理論を説明することも多いです。数学を使った方が論理的に整理しやすい部分はありますが、経済学的思考を身につけるためには、特に、学部レベルでは言葉でしっかりと説明することが大事なのです。
ですから、数学が苦手だからといって経済学が向いていないということはありません。

数学に苦手意識がある学生にとっても、言葉で理解できるというのは心強いですね。
柳川先生:はい。統計学の基礎は、本当はしっかりと学ぶ必要がありますが、最近はパッケージソフトが充実していて、調べたいことがあればソフトが計算してくれます。
重要なのはそのデータをどう見て解釈するかです。学生たちはゲーム世代ですので、ソフトを使いこなすのも得意です。昔のように統計学の理論をガリガリ学ぶというよりも、ソフトを使って実際にデータを分析し、得られた結果をどう解釈するかという教育に重点を置いています。

それは非常に実践的ですね!学生にとっても、学ぶ意義が見えやすくて良いですね。
摂南大学 経済学部長
柳川 隆 先生 インタビュー
※第4部は
教育情報メディア ACTIVE! に掲載しています。
インタビューに
ご協力いただいた
大学のご紹介
摂南大学
寝屋川キャンパス
572-8508 大阪府寝屋川市池田中町17-8
枚方キャンパス
573-0101 大阪府枚方市長尾峠町45-1
摂南大学は関西に位置する私立大学で、実践的な教育を重視し、地域社会や企業と連携したプロジェクトに取り組むことで現実の課題解決力を養います。少人数制のゼミナールを通じたきめ細やかな指導や、留学・国際交流活動が特徴です。
経済学部では、ビジネス経済、金融不動産経済、国際経済、地域経済、観光経済の5つのコースを設け、実社会から学ぶフィールドワークや資格取得支援を通して、実践的なスキルを磨くことができます。データサイエンスの教育にも力を入れています。