実質賃金が3カ月連続マイナス!お給料は増えても暮らしは苦しい?

実質賃金、3カ月連続で減少 3月、マイナス2.1%|47NEWS(よんななニュース)

 厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から2.1%減り、3カ月連続のマイナスだった。名目賃金に当たる現金給与 ...

ニュースで「賃金アップ!」と聞く一方で、「物価上昇で生活が苦しい」という声も耳にします。実はこれ、「実質賃金」という言葉がカギを握っているのです。実質賃金とは、もらうお給料の額面だけでなく、物価の変動も考えに入れた「本当の価値」のこと。
なぜお給料(賃金)が増えても生活が楽にならないのか、特に私たちの社会を支える小企業の状況はどうなっているのか、そして日本の経済のこれからについて考えてみましょう。

名目賃金と実質賃金のちがい

名目賃金とは?
「名目賃金」は、会社やアルバイト先からもらうそのままの金額です。
たとえば、時給が1000円であれば、それが名目賃金です。近年、日本の名目賃金は少しずつ増加しています。

実質賃金とは?
「実質賃金」は、物価の変動を考えたうえでの“お金の本当の価値”です。
たとえば、同じ1000円でも物価が上がれば買えるものが減り、実質的な価値は下がります。つまり、名目賃金が増えても、物価がそれ以上に上がれば生活は苦しくなるのです。

なぜ実質賃金は増えにくいの?

物価上昇が早すぎる!
最近、お菓子やジュース、電気代などさまざまなモノの値段が上がっています。2025年3月のデータでは、実質賃金が前年同月と比べて2.1%減りました。名目賃金は2.1%増えていたのに、物価上昇がそれ以上だったため、実質の購買力は下がってしまったのです。

賃金が追いつかない理由

  • 原材料やエネルギーの高騰:円安や海外の影響で急にコストが増えます。
  • 企業の慎重な姿勢:一度上げた給料を下げるのは難しいため、企業は慎重になります。
  • 生産性の課題:効率よく仕事をこなす力(労働生産性)がなかなか伸びません。
  • 非正規雇用の増加:パートや契約社員が増えると、平均賃金が上がりにくくなります。
小企業と実質賃金の関係

小企業が値上げできない理由
日本の企業の99%以上が「小企業(中小企業)」です。これらの企業は、大企業のように商品やサービスの価格をすぐに上げにくい特徴があります。たとえば、パン屋さんが小麦の価格上昇を受けて値上げしたくても、お客さんが離れてしまうのを恐れて踏み切れないのです。

小企業の厳しい現実

  • 利益が減る:価格を上げられないため、利益が減ります。
  • 給料が上げられない:利益が出ないと、従業員の給料も増やせません。
  • 人手不足:賃金が低いと人が集まりにくく、さらに苦しくなります。
  • 地域経済への影響:地元の経済を支える小企業が元気を失うと、地域全体に影響します。
実質賃金の今後とわたしたちにできること

政府や企業の対策
一部の専門家は、2025年後半には物価上昇が落ち着き、賃上げの動きも広がると予想しています。政府も、小企業が賃上げできるように支援策を進めています。

私たちにできること

  • ニュースに関心を持つ:経済の動きを知ることが第一歩です。
  • 日常の価格を意識する:おこづかい帳をつけてみるのもおすすめです。
  • 将来について考える:どんな仕事をしたいかを考え、そのための勉強を始めてみましょう。
関連ニュース
  • 春闘(しゅんとう)での賃上げ:2025年の春闘では、比較的高い賃上げが行われましたが、物価上昇に追いつくかが課題です。
  • 最低賃金の引き上げ:国が定める時給の最低ラインも見直され、働く人の生活改善が期待されています。
  • 政府の経済支援:電気代やガソリン代の補助、給付金なども話題です。
まとめ
  • 名目賃金は「もらう金額」、実質賃金は「買える力」
  • 物価が上がると、実質賃金は減ってしまう
  • 小企業は価格転嫁が難しく、賃上げも難しい
  • 労働生産性や雇用形態も影響している
  • 今後の改善には政府の支援と企業の努力が必要

給料が増えても、モノの値段が上がれば生活は楽にならないかもしれません。本当に豊かに暮らすためには、社会全体の「稼ぐ力」を高めることが大切です。
新しい技術やサービスを生み出せば、企業の利益が増え、それが賃金アップにつながります。また、私たち一人ひとりが学び続け、スキルを身につけることも重要です。地域の小企業が元気になれば、働く場所が増え、地域全体が豊かになります。