楽天モバイルの挑戦:黒字化への道とその課題
楽天グループが発表した2024年第3四半期の決算結果は、再び赤字となりましたが、注目すべきポイントもありました。この記事では、楽天のモバイル事業の現状と課題を見てみましょう。
楽天グループ 2024年1~9月期の決算発表
楽天グループは2024年1~9月期に、売上が過去最高の1兆6176億円に達しました。
営業損益は前年の1795億円の赤字から510億円の赤字に減り、7~9月期には17四半期ぶりに5億円の黒字となりました。また、楽天カードの株を一部みずほFGに売却し、1594億円を特別利益として計上しました。
赤字が続く楽天モバイル事業
楽天グループは第3四半期に744億円の損失を記録しました。これは前年同期の685億円の損失からさらに増加し、専門家の予想(251億円の赤字)を大きく超える結果となりました。この背景には、楽天モバイルがまだ黒字化できていないことがあります。
楽天モバイルは、他の大手通信会社と競争するために多額の設備投資が必要です。具体的な設備投資の内訳は以下のとおりです:
- 全国に5Gネットワークを構築すること
- 通信速度を上げるための基地局の設置
- 通信インフラの維持と強化
- 新しい技術の導入
これらの設備投資には多額の費用がかかるため、その負担が大きくなっています。楽天は現在、モバイル事業の黒字化を目指してコスト削減を進めていますが、まだ時間がかかりそうです。
楽天モバイルの契約数と課題
楽天モバイルの契約回線数は2024年9月末で793万回線となり、6月末の755万回線から増加しました。しかし、楽天が目標としていた800万〜1000万回線にはまだ届いていません。
楽天モバイルは低価格プランでお客さんを集めていますが、収益面では苦戦しています。1人あたりの売上(ARPU)は2039円で、前の四半期とほぼ変わりません。収益を改善するためには、さらなる努力が必要です。
他の大手通信会社の1人あたりの売上(ARPU)と楽天モバイルを比べると、次のようになります:
- NTTドコモ:4000円
- KDDI(au):3960円
- ソフトバンク:3750円
- 楽天モバイル:2039円
楽天モバイルのARPUは他社と比べて約半分で、かなり低い水準です。この差は、楽天モバイルが低価格のプランを提供していることや、サービス開始からの期間が短いことなどが影響していると考えられます。
資金調達とこれからの展望
楽天グループはモバイル事業の損失を補うため、楽天カード株の15%をみずほフィナンシャルグループに売却し、1650億円を得ました。この資金でモバイル事業への投資を続け、財務の安定性も高めています。負債の返済や設備投資の負担を軽減し、成長戦略を進めやすくしています。
楽天は2025年までに5150億円の社債を返済しなければならず(社債:企業が資金を集めるために発行する借金)、モバイル事業の黒字化が急務です。楽天モバイルがこの課題を乗り越え、競争力を高めるためには、ユーザーの増加とサービスの質向上が必要です。
楽天グループの事業展開
楽天グループは多くの事業を展開しており、その中でもフィンテック(金融)事業が最大の収益源となっています。
2023年12月期のデータによると、フィンテック部門の売上は7252億円で、前年より11.2%増加しました。また、利益は1229億円で、前年より36.8%増加しています。この成長は、楽天カードや楽天銀行、楽天証券などのサービスが好調であることを示しています。
まとめ
- 楽天グループは第3四半期に744億円の損失
- 楽天モバイルの契約数は増加だが、収益の改善が必要
- みずほフィナンシャルグループとの提携で資金を調達し、財務基盤を強化
- モバイル事業の黒字化が今後の重要な課題
- 他社と比べて楽天モバイルの一人あたりの売上が低く、収益性の向上が必要
- フィンテック事業が楽天グループの主な収益源であり、楽天カードや楽天銀行が好調
楽天モバイルが大手通信会社に対抗するためには、何が必要でしょうか?価格だけでなく、使いやすさや他にはない価値を提供することも重要です。
みなさんは、通信キャリアを選ぶときに何を重視しますか?例えば、通信の速さ、エリアの広さ、サポートの良さ、料金プランのわかりやすさなどがあります。楽天モバイルにどんな改善を期待しますか?
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