広告なしで売上1,000億円!無印良品コスメの成功モデル
「無印良品」コスメ売上高1000億円超 国内7位に浮上 - WWDJAPAN
「無印良品」の良品計画は、2025年8月期のヘルス&ビューティー部門(スキンケア用品、メイクアップ用品、衛生用品、フレグランスなど)の国内売上高が1000億円を超えたと発表した。
無印良品の化粧品が、いま注目を集めています。スキンケアやメイク用品を扱う「ヘルス&ビューティー部門」は、2025年8月期に国内売上1,000億円を突破しました。これはわずか3年で約2倍の成長です。しかも、無印はテレビCMをほとんど行っていません。それでも、多くの人が無印のコスメを知り、支持しています。
いったい、どのようにしてこの人気を得たのでしょうか?無印良品の歩みと成長の理由、そしてコスメ業界全体の今を紹介します。
1980年に誕生した「無印」の思想
無印良品は1980年に西友(セゾングループ)のプライベートブランドとして誕生しました。当時は家庭用品9品目と食品31品目の、わずか40商品からのスタートでした。キャッチコピーは「わけあって、安い。」というもの。
「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」を徹底し、必要なものだけを残した商品作りが特徴です。この考え方が大きな共感を呼び、消費者の信頼を得ました。
1983年には東京・青山に直営1号店を開店。飾りを排した店舗デザインが注目され、一気に人気が広がりました。1989年には株式会社良品計画が設立され、独立ブランドとして新しい一歩を踏み出しました。
CMなしでも人気が広がった理由
無印良品は創業以来、テレビCMなどのマス広告を行っていません。かわりに、「商品そのものを広告にする」戦略をとっています。お店の陳列やパッケージのシンプルさがそのままブランドのメッセージです。
また、広告費を削減した分を「素材や品質の改善」に充てることで、消費者にとって納得できる価格を実現しています。さらに、SNSではユーザーが自分の使い方を自然に投稿し、それが新たな口コミとなって広がります。こうして無印は、「静かな共感の輪」を広げながら支持を拡大してきました。
コスメ事業が急成長した背景
良品計画の2025年8月期決算によると、ヘルス&ビューティー部門の売上は1,000億円を超え、化粧品業界全体で7位となりました。人気の要因は、「発酵導入美容液」「敏感肌シリーズ」などのヒット商品と、天然成分への信頼感、そして手ごろな価格です。
無印は現在、国内に約680店舗、海外に約730店舗を展開しています。スキンケア商品は中国・韓国・ベトナムなど9カ国にも広がり、成長を続けています。

コスメ市場は今後も拡大する見通し
日本の化粧品市場は2024年に約4兆円規模で、2033年までに約5.8兆円に達する見通しです。年間平均成長率は4.2%と堅調で、高齢化に伴うスキンケア需要や、オーガニック志向の高まりが背景にあります。
また、訪日外国人の増加(インバウンド)も売上拡大を下支えし、百貨店の高級ブランドと、ドラッグストアの低価格化粧品という「二極化」が進行しています。
まとめ
- 無印良品は1980年に誕生し、「わけあって、安い。」を理念にスタート
- 広告をしない代わりに、商品そのものが広告として機能
- コスメ事業は3年で売上が倍増し、国内7位に
- 海外9カ国に展開し、約1400店舗規模へ成長
- 化粧品業界は2033年までに約5.8兆円市場に拡大見通し
無印良品の成長は、「ものづくりの本質を追求した結果」です。派手な宣伝がなくても、本当に価値ある商品なら人の心に届くことを示しています。次に店に行ったときは、価格やデザインの裏にある「考え方」にも注目してみましょう。それが、ビジネスや経済を理解する第一歩になるかもしれません。