「ポケモンそっくりゲーム」に23億円の賠償命令!ゲーム業界で続く著作権問題

『ポケモン』まるごと盗用のゲームアプリ会社、株ポケに訴えられて“悪あがき”するも終結。損害賠償22億円に加えて「謝罪声明」まで出すことに - AUTOMATON

株式会社ポケモンは2月21日、ゲームアプリ『口袋妖怪:复刻』の運営元2社との調停が成立していたことを報告した。運営元2社による、謝罪声明も公開されている。

大好きなゲームそっくりのゲームが出たら、あなたはどう思いますか?
実はポケモンがそのような目にあったのです。中国で作られた「口袋妖怪:复刻」というゲームが問題になりました。この事件を通して、著作権や企業の利益について考えてみましょう。

ポケモンにそっくりなゲームが中国で大ヒット

2015年、中国で「口袋妖怪:复刻」というスマホゲームが登場しました。このゲームはポケモンのキャラクターやシステムをそのまま使っていたのです。リリースから1年で約60億円もの売上を記録しました。

これを知ったポケモン社は、2021年に著作権を守るための裁判を起こしました。著作権とは、自分が作った作品を他人に勝手に使われないための権利です。

以下は株式会社ポケモンが出しているゲームではなく、「口袋妖怪:复刻」というゲームです。 すごく似ている…というよりそのまんまですね。

Youtube perezzdb channelより
裁判の結果と23億円の賠償金

2024年、中国の裁判所はポケモン社の主張を認め、「口袋妖怪:复刻」を作った会社に約23億円の賠償金を命じました。しかし、話はここで終わりませんでした。賠償金を命じられた会社は控訴し、裁判は続きました。そして2024年12月、ついに和解が成立したのです。

和解の内容

  1. 「口袋妖怪:复刻」の配信を完全に停止する
  2. 約23億円の賠償金を支払う
  3. 謝罪声明を公開する

謝罪声明では、ポケモンの著作権を侵害したことを認め、深く反省していると述べています。

ここで疑問が浮かびます。売上が60億円で賠償金が23億円なら、まだ多くの資金が残るように見えますが、実際に利益は出ているのでしょうか?そっくりのゲームを出して、「裁判では負けたけど、もうかった」ということでしょうか。

売上と利益の違い

ビジネスの世界では、売上から単純に賠償金を引いただけでは利益は分かりません。利益を計算するには、以下の費用も考慮する必要があります。

  1. 開発費:ゲームの制作にかかった費用
  2. 運営費:サーバーの維持費やアップデート費用
  3. 広告費:ゲームを宣伝するための費用
  4. 人件費:従業員の給料
  5. 税金:会社が支払う税金

例えば、ゲーム業界の平均的な利益率は20%~30%程度と言われています。
仮に25%とすると:
60億円 × 25% = 15億円の利益

ここから23億円の賠償金を払うと、最終的に8億円の赤字となります。
15億円の利益 - 賠償金23億円 = -8億円

著作権侵害のリスクと影響

著作権を侵害すると、金銭的な損失以外にも以下のようなリスクがあります。

  1. 企業の評判が悪くなる
  2. 将来のビジネス展開に影響が出る
  3. 新しい顧客を失う可能性がある
パルワールド事件と続く著作権論争

この1年くらい、日本のポケットペアという会社が出した「パルワールド」というゲームも話題になっています。ポケモンに似ているとして、任天堂とポケモン社が特許権侵害で訴えています。

注目ポイント

  1. 著作権ではなく特許権侵害での訴訟:
    キャラクターデザインの類似性よりも、ゲームシステムに関する特許の侵害が焦点となっています。
  2. 後発的な特許権取得:
    パルワールド発売後に、任天堂側が特許を取得し訴訟に至った可能性があります。
  3. 大ヒットの影響:
    パルワールドは発売から1ヶ月で2500万人のプレイヤーを獲得し、約692億円の売上を記録したと推定されています。

現在、訴訟は進行中です。ポケットペア社は訴状を確認中とコメントしており、パルワールドの運営・提供は継続するとしています。パルワールドは大ヒットしましたが、著作権や特許の問題はまだ解決しておらず、その結果はゲーム業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

まとめ
  • 売上から賠償金を引いただけでは、本当の利益は分からない
  • 利益を知るには、様々な費用を考慮する必要がある
  • 著作権侵害には、金銭的な損失以外のリスクも伴う

結局のところ、他人のアイデアを真似するよりも、自分たちで新しいものを生み出す方が、長期的に成功する可能性が高いのです。
例えば、任天堂の「スプラトゥーン」は、従来のシューティングゲームとは異なる発想で大ヒットしました。また、「マインクラフト」は自由に世界を作るという独自のコンセプトで多くのプレイヤーを魅了しています。このような成功例からも、新しいアイデアを生み出すことの重要性が分かります。

  1. もし自分がゲーム会社の社長だったら、どんなゲームを作りますか?
  2. 著作権を守ることは、なぜ大切だと思いますか?
  3. 新しいアイデアを思いついたとき、それをどうやって守りますか?

これらの質問について、友達や先生と話し合ってみてください。ビジネスの世界は複雑ですが、正直さと創造性が成功の鍵です。みなさんも将来、自分のアイデアで世界を変えるかもしれません。そのときに備えて、著作権や知的財産権について学んでおくことはとても大切です。

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