経済学者の70%は私立高校無償化に「反対」!なぜ?
高校無償化|日経エコノミクスパネル 経済学の羅針盤:日本経済新聞
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高校の授業料が無料になれば、どのような影響があるのでしょうか。最近、日本では「高校無償化」をさらに拡大するべきかどうか、多くの人が議論しています。この政策が生まれた背景や、それに対するさまざまな意見を一緒に見ていきましょう。
今回は高校無償化について、経済学者たちがどう考えているのかを見てみましょう。どのような意見があるのでしょうか。
高校無償化とは?
現在の制度
今の制度では、以下のような支援が行われています。
- 公立・私立を問わず、世帯年収910万円未満の家庭は、年間11.88万円まで支援を受けられます。
- 私立高校に通う場合で、世帯年収が590万円未満の家庭は、最大で年間39.6万円の支援を受けられます。
議論されている変更点
政治家たちが話し合っている主な変更点は次の2つです。
- 所得制限を撤廃すること
- 私立高校への支援額を増やすこと
ただし、具体的な金額や実施時期については、まだ決定されていません。
経済学者の意見
日本経済新聞社と日本経済研究センターが2025年2月に発表した調査結果では、47人の経済学者に高校無償化の影響や課題について意見を聞いています。
私立高校への支援額増加について
調査によると、70%の経済学者が私立高校への支援額増加に反対しています。その理由として、以下のような懸念が挙げられています。
- 私立高校が授業料を引き上げる可能性がある
- 公立高校の生徒が減り、教育環境が悪化するかもしれない
Q.高校授業料に関わる家計支援の上限額は多くの私立高をカバーできるよう引き上げるのが望ましい。

所得制限の撤廃について
所得制限の撤廃に関しては、経済学者の意見が分かれています。
- 反対派:高所得層への支援は不要で、低・中所得層への支援を優先すべき
- 賛成派:所得だけで困難度を判断するのは難しく、教育機会の平等が重要
Q.高校授業料に関わる家計への支援は所得制限をなくすのが望ましい。

高校無償化の影響
教育格差への影響
高校無償化が実施されないと、教育格差が拡大する可能性があります。
- 経済的理由で進学を断念するケースが増える
- 学校の選択肢が制限される
- 学習環境に差が生じる
- 課外活動への参加が難しくなる
- 将来の進路選択に影響を及ぼす
公立高校への影響
高校無償化が実施されると、公立高校にもさまざまな影響が予測されます。例えば、東京都の調査では、公立高校の生徒数が減少し、一部の学校ではクラス編成の変更が必要になる可能性が指摘されています。
- 私立高校への生徒流出により、公立高校の生徒数が減少
- 教員数の削減や教育プログラムの縮小
- 学校の統廃合の可能性
- 公立高校独自の特色づくりが必要に
経済学者が支持する方向性
調査によると、回答した経済学者の約60%が、単純な無償化ではなく、以下のような方向性を支持しています。
- 低所得層への重点的な支援
- 教育の質の向上(教職員の待遇改善、デジタル化推進など)
- 幼児教育や義務教育への投資
- 通信制・定時制高校への支援
ただし、これらの意見は一部の専門家の見解であり、全ての経済学者の総意ではありません。

まとめ
- 高校無償化の拡大については、さまざまな意見がある
- 私立高校への支援額増加や所得制限撤廃が議論されている
- 高校無償化は教育格差解消に役立つ可能性があるが、公立高校の環境に影響を及ぼす可能性
- 経済学者の多くは、教育の質を向上させることや低所得層への重点支援を重視
教育は、みなさんの未来に大きく関わる大切な問題です。ニュースや周りの大人の意見を聞きながら、自分の考えを持つことが大切です。
今後、高校無償化の拡大や新たな支援策が検討される可能性があり、どのように関心を持ち、意見を発信するかが重要になります。これからの日本の教育をより良くするために、みなさんの声も社会に影響を与えるのです。
以下の質問に対して、あなたはどう思いますか?
- 高校無償化には賛成派と反対派がいます。あなたはどちらの意見に共感しますか?
- 教育にお金を使うとしたら、どんなことに使うべきだと思いますか?
- 教育格差を減らすために、高校無償化以外にどんな方法があるでしょうか?
- もしあなたが政治家なら、教育格差を減らすためにどんな政策を提案しますか?

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