令和の米不足で勝ち組に?木徳神糧の急成長
木徳神糧【2700】、今期経常を58%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も20円増額 | 決算速報 - 株探ニュース
木徳神糧 <2700> [東証S] が4月21日午前(09:00)に業績・配当修正を発表。25年12月期の連結経常利益を従来予想の26億円→41億円(前期は24.8億円)に57.7%上方修正し、増益率が4.6%増→65.0%増に拡大し・・・。
昨年から続く「令和の米騒動」。スーパーでお米が手に入りにくくなり、価格も上がるなど、私たちの暮らしに大きな影響を与えています。
しかしこの状況の中、米の卸売大手である木徳神糧(きとくしんりょう)は、過去最高の業績を記録しました。なぜ厳しい市場環境の中で、同社は成長できたのでしょうか?米不足の背景と木徳神糧の戦略から、食と経済のつながりについて考えてみます。
米不足「令和の米騒動」とは?
2024年秋以降、日本ではお米の品薄と価格高騰が続き、「令和の米騒動」と呼ばれる状況が生まれました。天候不順による不作、コロナ禍後の需要回復、農家の高齢化、物流の変化などが複雑に絡み合った結果です。政府は備蓄米の放出などで対策を講じていますが、価格の高止まりは続いています。
木徳神糧とはどんな会社?
木徳神糧は、家庭用・業務用の精米や玄米を全国に供給する卸売企業です。米穀事業を中心に、飼料や鶏卵、食品なども手がけており、日本の食卓を幅広く支えています。全国の産地と直接取引し、安定した流通体制を持っていることが強みです。
木徳神糧が成長できた理由
米価格高騰が追い風に
2024年産米の供給不足により、米の価格が大幅に上昇しました。この状況が、米を卸す木徳神糧にとっては収益拡大のきっかけとなり、2025年1〜3月期には売上高が前年同期比23.1%増の368億円、営業利益は約4.5倍となりました。
適切な価格転嫁と安定供給
原材料価格の上昇に対して、木徳神糧は取引先と交渉し、販売価格に適切に転嫁しました。また、全国ネットワークを活用し、供給が不安定な中でも安定した商品提供を維持し、取引先からの信頼を高めました。
特売の減少が利益率改善に
米不足により、スーパーでの特売が減少しました。これにより、木徳神糧の卸価格の利幅が広がり、利益率の向上にもつながりました。新規顧客よりも既存の安定した取引先が中心だったことで、収益も安定しています。
事業拡大とIT投資による強化
木徳神糧は2023年以降、設備投資やIT化にも積極的に取り組み、変化する市場環境に柔軟に対応できる体制を構築しています。これが、今回のような危機に強い経営基盤の確立につながりました。

今後の見通しと社会への影響
政府は引き続き、備蓄米の追加放出や輸入米の受け入れなどで価格の安定を目指していますが、専門家は「米価がすぐに下がる可能性は低い」としています。一方、木徳神糧は2025年12月期の純利益予想を28億円に上方修正し、過去最高益を見込んでいます。

まとめ
- 令和の米騒動は、天候不順や農業構造の問題で起きた社会現象
- 米の価格高騰が家庭や企業に影響を与えた
- 木徳神糧は価格転嫁と安定供給によって業績を大きく伸ばした
- 特売の減少や取引の安定化が利益率を改善した
- 設備投資やIT活用により、柔軟で強い経営基盤を構築している
お米の価格や流通の仕組みは、私たちの食生活や家計に大きな影響を与えています。どんな企業がどんな工夫をして供給を安定させているのかを調べてみると、経済やビジネスの面白さがより身近に感じられます。ぜひ「食と経済のつながり」に注目し、社会の仕組みに興味を持ってみてください。