日本銀行の植田和男総裁は、6月7日に行われた会議で、日銀(日本銀行)が持っている上場投資信託(ETF)を売ると、配当金でのもうけがなくなってしまい、日銀のお金の状況に悪い影響が出ると話しました。ETFとは、たくさんの会社の株式をまとめたもので、日銀はとても大きな規模の金融緩和策の1つとしてETFを積極的に買ってきました。
日本銀行がもっているETFは約53兆円、含み益(今の時点での数字上のもうけ)は約16兆円に達しています。2022年度のETFでの運用益(もうけ)は約1.1兆円でした。
でも、日本銀行が行っている大きな金融緩和策はいつまでもやり続けることはできません。通常の状態に戻すための1つとして、これまでたくさん買ってきたETFを売る必要が出てくるのです。
植田総裁は、具体的にETFを売る時期や方法について決めるのは、まだ早いと言いました。物価(モノの値段)が安定してきたら、専門家たちと話し合って、詳しい計画を考えたいと思っています。ETFを売って、配当金でのもうけがなくなってしますと、日銀のお金の状態が悪くなる可能性があるのです。そうするとみんなが不安になって、混乱が起きる可能性もあるので、お金の管理に気をつけながら、適切な政策を実行していきたいとも言いました。
日銀はたくさんのETFを買って、お金を増やそうとしてきました。でも、今は持っているETFを売る方法について考える必要があります。
日銀のお金を管理する法律では、ETFを売る時には経済の状況を考えて、適切な値段で売るように定められています。でも、具体的な値段についてはまだ話し合っていないとも言いました。法律上、ほかの方法で売ることもできるか聞かれた時には、「今はそういう規則はない」と答えました。
日本の株価は、実は日本銀行がたくさんのETFを買ってきたことで支えてきた部分もあったのです。ですが、いつまでも持っておくのではなくお金に変える必要があります。たくさんの株式を一度に売ると、株価が大きく下がったり、不安が広がってしまうことも考えられます。
新しく日本銀行の総裁になった植田さんは、いきなりこの難しい問題に取り組む必要があるのです。