ランドセルが4キロ超!?「ランドセル症候群」の原因と対策

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「ランドセル症候群」という言葉を知っていますか?これは、小学生が毎日背負うランドセルの重さによって、肩こりや腰痛などの体の不調、さらには学校に行くのがつらくなる「通学ブルー」など、心と体に影響が出る現象のことです。
昔から使われてきたランドセルですが、なぜ今になって問題視されているのでしょうか?ランドセルの歴史と現代の状況をふまえて、子どもたちの健康を守るためにできる対策を紹介します。

ランドセルの始まりと普及の歴史

ランドセルは、1885年ごろ明治時代の学習院初等科で初めて導入されました。軍隊用の背のうをヒントに、両手が自由になる通学カバンとして使われ始めたのです。1887年には伊藤博文が、皇太子(のちの大正天皇)への入学祝いとして箱型ランドセルを贈ったことが、現在の形のきっかけとなりました。

当初は高価な品で、都市部の一部の子どもに限られていましたが、戦後の経済成長とともに素材が改良され、全国に普及していきました。

昔と今でこんなに違う!子どもの通学スタイル

昔の通学風景
昔のランドセルは本革でできていて重かったものの、持ち物は比較的少なく、教科書やノートも薄めでした。また、布カバンや風呂敷を使っていた子も多く、通学で健康を害するような問題はあまり聞かれませんでした。

現代のランドセル事情
近年の小学生は、教科書や副教材に加えて、タブレット、水筒、体操服なども日常的に持ち歩いています。2024年の調査では、小学1〜3年生の9割以上が「ランドセルが重い」と感じており、平均で4キロ以上、中には6〜8キロになることもあると報告されています。こうした状況から「ランドセル症候群」という言葉が広まりました。

ランドセル症候群とは?その症状と影響

ランドセル症候群では、肩こり・腰痛・筋肉痛・姿勢のゆがみといった身体的な症状が現れます。また、「また重いランドセルを背負うのか…」という気持ちが登校のストレスになり、「通学ブルー」を引き起こす原因にもなります。
体重が20キロほどの低学年の子どもにとって、4キロのランドセルは大人が10キロ以上のリュックを毎日背負うような負担に相当します。

ランドセル症候群を防ぐ3つの工夫

1. 荷物を見直して軽くする
毎日必要な物だけをランドセルに入れることを意識しましょう。時間割をよく確認し、使わない教材は家に置いておく工夫が大切です。「置き勉(教科書を学校に置いておくこと)」が許されている学校では積極的に活用しましょう。保護者が一緒に確認することも効果的です。

2. 軽くて体に合ったランドセルを選ぶ
最近は、軽量で体にフィットするランドセルも多く登場しています。肩ベルトや背あてが調整できるもの、胸元で固定できるチェストベルト付きモデルなど、成長に合わせた選択がポイントです。

3. 正しい背負い方を身につける
ランドセルは必ず両肩で背負い、肩ベルトは体に合った長さに調整しましょう。片方の肩だけで背負うと体に負担がかかり、姿勢も悪くなります。ランドセルと背中の間に隙間ができないように注意しましょう。

社会全体で取り組むべき課題

文部科学省も教科書の軽量化やタブレットなどのデジタル教材の導入を進めています。また、ランドセル自体も時代にあわせて改良されつつあります。家庭だけでなく、学校や社会全体が協力して、子どもの健康に配慮した通学環境をつくることが求められています。

まとめ
  • ランドセルは明治時代に登場し、戦後に全国へ広がった
  • 昔と比べて今は持ち物が多く、ランドセル症候群が問題に
  • 肩こりや通学ブルーなど、子どもの心身に影響を与えている
  • 荷物の見直し・軽量ランドセル・正しい背負い方が対策のカギ
  • 家庭・学校・社会が一体となって健康を守る取り組みが必要

ランドセルの重さの問題は、子どもたちだけでなく、家庭・学校・社会みんなで考えるべきテーマです。デジタル教材や「置き勉」など、今後は通学のスタイルが変わっていく可能性もあります。
みなさんの学校や家庭では、どんな工夫をしていますか?もし未来の通学を自由にデザインできるなら、どんな方法を取り入れたいですか?身近な問題から、社会や経済のしくみについて考えるきっかけにしてみてください。