クラウド会計会社が本屋を経営?freee「透明書店」に見る現代の書店経営と古本活用術
「本売るのは難しい」それでもfreeeが本屋を続ける理由。蔵前「透明書店」開業2年の現在地 | Business Insider Japan
東京都台東区・蔵前駅から住宅街に入ってすぐの場所に、小さな書店がたたずんでいます。クラウド会計ソフト「freee」で知られるフリーのグループ会社が運営する「透明書店」です。書店ビジネス不遇の時代に、なぜ本業とはかけ離れた事業を続けているのか。創業2年の現在地を聞きました。
ネットで本を買う人が増え、街の本屋が減っている今。
そんな中、あえて新しく本屋を始めた会社があります。東京都台東区・蔵前にある「透明書店」は、クラウド会計ソフトで知られるfreeeが運営しています。本屋経営が難しい時代に、なぜfreeeは赤字覚悟で本屋を続けるのでしょうか?
透明書店の取り組みや古本市場の仕組み、スモールビジネスの新しい形を見てみましょう。
透明書店とは?freeeが挑戦する新しい本屋のカタチ
透明書店は、2023年4月にfreeeが開店した本屋で、すべての経営情報を公開しているのが特徴です。店内には約3,000冊が並び、クラゲのアイコンを持つAI副店長が本をおすすめするなど、最新技術も導入されています。
初年度の売上は約1,000万円、2年目は1,700万円に伸びましたが、いずれも赤字が続いています。本屋だけで利益を出す難しさがわかります。
多角的な経営戦略:シェア本棚と無人営業
透明書店では、本の販売だけに頼らない経営を実践しています。イベント開催やグッズ、飲み物の販売、ギャラリースペースの貸出など、多様な収益源を確保しています。特に注目されているのが「シェア本棚」です。月額5,720円で棚を借り、自分が選んだ本を販売できる仕組みで、すべての棚が埋まれば家賃をカバーできるよう設計されています。
2024年春からは無人営業も本格化。これにより夜間や休日にも売上が見込めるようになり、1日あたり1〜2万円、年間では約400万円の収益増につながりました。
古本市場の仕組みと現状
古本市場では「欲しい人の数」と「在庫の量」が価格を左右します。人気の本や話題作は高値がつきますが、供給過多になると価格は下がります。
電子書籍の普及で市場は縮小傾向ですが、エコ意識や学習目的の需要は根強く残っています。状態が良くても在庫が多いと値段がつかないこともあり、流通には工夫が必要です。

freeeが書店運営を続ける理由
freeeが赤字でも透明書店を続けるのは、スモールビジネスの現場を体験するためです。自社のクラウド会計ソフトを使う小規模事業者の課題を、実際に店舗を経営することでより深く理解しています。
透明書店は、freeeのミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」を体現する場でもあり、サービス改善や新規事業のヒントを得る実験の場でもあります。
書店の未来を切り開く取り組み
最近では、無人営業の拡大や古本買取の強化に加え、ビジネスモデルを紹介するツアーの開催も話題です。こうした取り組みが、リアル店舗としての本屋の新しい可能性を広げています。
まとめ
- 透明書店は経営情報を公開し、新しい本屋の形を模索
- 無人営業やシェア本棚により、収益の多様化を実現
- 古本市場では需要と供給のバランスが価格に大きく影響
- freeeは実店舗運営から得た知見を、自社サービス改善に活かす
- 書店の経営には、スモールビジネスのヒントがたくさん詰まっている
あなたがもし本屋を始めるとしたら、どんなテーマにしますか?好きな本を集めた棚を持つだけでも、小さなビジネスは始められます。身近なお店やサービスを観察することで、経済やビジネスの仕組みを学ぶことができます。ぜひ、日常の中で新しいビジネスのヒントを探してみてください。