電車賃が“後払い”になる?クレカタッチ乗車が関東54路線で相互利用へ
もうチャージ不要?関東54路線729駅で「クレカタッチ決済」が相互利用に…鉄道の乗り方はどう変わるのか | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン
関東の鉄道事業者11社局が3月25日から、クレジットカードのタッチ決済による後払い乗車の相互利用を開始する。54路線729駅で事業者をまたいだ利用が可能となり、インバウンドや国内利用者双方に利便性向上が期待される一方、ICカードとの今後の関係性も注目される。
関東の私鉄や地下鉄で、クレジットカードのタッチ決済による「後払い」で改札を通れる仕組みが、事業者をまたいで広がります。これまで鉄道の支払いは、交通系ICカードに事前にお金を入れて使う方法が主流でした。しかし近年は、買い物で広がったタッチ決済の流れが公共交通にも及び、カードやスマホをかざすだけで乗車できる環境が整いつつあります。
この動きは日本独自のものではなく、ヨーロッパやアジアの都市でも見られます。一方で、海外でも交通系ICカードが完全になくなったわけではありません。相互利用はどのくらいの規模で進み、ICカードとは何がどう違うのでしょうか。
Q. Visaのデータによると、日本における同社カード利用のうち、タッチ決済が占める割合は2020年ごろには約10%でした。では、2025年9月末時点ではおよそどのくらいになっていると公表されているでしょうか。
A. 約20%
B. 約40%
C. 約66%
2026年3月スタート:改札で何が変わる?
関東の鉄道事業者11社局は、2026年3月25日から、クレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスの相互利用を開始すると発表しています。すでに導入している京王電鉄、京急電鉄、西武鉄道、東急電鉄、東京都交通局、横浜高速鉄道に加え、小田急電鉄、小田急箱根、相模鉄道、東京メトロ、東武鉄道が新たに加わります。
これにより、11社局の54路線729駅で、事業者をまたいだ利用が可能になります。ただし一部の路線や駅は対象外とされています。大手私鉄の京成電鉄は現時点で参加予定はないとしつつ、他社の動向を踏まえて決済手段の拡大を検討すると説明しています。
なぜ今「タッチ決済」が広がる?
クレジットカードのタッチ決済は、日本では新型コロナウイルス感染拡大後に急速に普及しました。ビザ・ワールドワイド・ジャパンによると、同社カード利用に占めるタッチ決済の割合は、2020年の約10%から2025年9月末時点で約66%まで増えています。
背景として整理できるポイントは次の通りです。
- 日常の買い物でタッチ決済に慣れる人が増えた
- 訪日外国人が使い慣れたカードで公共交通を利用できる必要性が高まった
- 改札でのチャージ操作を減らしたいという利用者ニーズ
鉄道分野では、2021年に南海電鉄が大手私鉄として初めて導入し、その後、関東や関西で対応路線が増えてきました。特に関西では、大阪・関西万博を見据えて主要事業者が導入を進めたと報じられています。
Suicaとクレカタッチ:違いはここ
Suicaとクレカタッチ、それぞれの特徴を整理します。
| 項目 | 交通系ICカード | クレジットカードのタッチ決済 |
|---|---|---|
| 支払い方式 | 前払い(チャージが必要) | 後払い(後日まとめて請求) |
| 向いている利用 | 通勤・通学など日常利用 | 旅行・出張・チャージを省きたい場合 |
| 制度との関係 | 定期券・学割・高齢者割引と結び付きやすい | 割引制度は適用されない場合が多い |
| 管理のしやすさ | 残高で使いすぎを防ぎやすい | 利用履歴を明細で確認しやすい |
利便性だけを見るとクレジットカードが優れているようにも見えますが、割引制度や年齢制限などを考えると、ICカードが適している場面も多く残っています。そのため、日本でも両者が並んで使われる形が想定されています。
海外はどうしてる?“共存”の作り方
海外では、タッチ決済と交通系ICカードが役割を分けて使われています。
- ロンドン:銀行カードとOysterカードのどちらでも乗車可能。割引や年齢別制度はOyster側で提供
- オランダ:全国で銀行カードのタッチ乗車が可能。ただし従来の交通カードも併存
- シンガポール・香港:銀行カードで乗れる一方、割引や補助制度は交通カード中心
このように、「誰が・どんな条件で使うか」によって支払い手段を分ける設計が一般的です。

ICカードはなくならない?
関東では54路線729駅という大規模な相互利用が始まりますが、海外の事例を見ると、交通系ICカードが完全に置き換えられてはいません。その理由は、割引運賃や定期券といった制度を、特定の支払い手段に結びつけて管理しているからです。
同じ「タッチ」であっても、どのカードを使うかによって適用される条件が異なります。便利さを広げつつ、制度の公平性を保つために、複数の仕組みが並行して使われています。
まとめ
- 関東の鉄道事業者11社局が2026年3月25日から相互利用を開始
- 対象は54路線729駅で一部対象外の駅もある
- タッチ決済の利用割合は2020年から2025年にかけて大きく伸びた
- クレジットカードは後払いでチャージ不要という特徴
- 交通系ICカードは割引や定期券と結びつきやすい
- 海外でも両者が併存する設計が一般的
決済手段が増えるニュースは、「便利になった」で終わりません。どの支払い方法に割引や補助を結びつけるかは、交通事業者や行政が制度として設計する問題です。海外では、銀行カードで乗れるようにしつつ、割引制度は交通カード側に残す例が多く見られます。
関東で相互利用が広がる中、学生や高齢者向けの割引、定期券はどの支払い手段と結びつくのが望ましいのでしょうか。ニュース本文や各社の案内を見比べながら考えることで、交通とお金の仕組みをより立体的に理解できます。


