フジ・メディアHD vs 旧村上ファンド:ポイズンピルで買収を防ぐ仕組み
旧村上ファンド系、フジHD株を買い増し 16.32%に | ロイター
旧村上ファンド系の投資会社レノ(東京都渋谷区)などがフジ・メディア・ホールディングス株を買い増したことが分かった。保有比率は計15.06%から16.32%に上昇した。レノが10日、関東財務局に変更報告書を提出した。報告義務発生日は7月3日。
2025年7月、フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)が「ポイズンピル」と呼ばれる買収防衛策を導入し、話題となっています。
背景には、旧村上ファンド系の投資家による大量の株取得があります。なぜ企業は買収から自分たちを守る必要があるのでしょうか?
ポイズンピルの仕組みや旧村上ファンドの過去の実例を、企業と投資家の攻防の裏側を一緒に見てみましょう。
フジ・メディアHDと旧村上ファンドの攻防
フジ・メディアHDは、フジテレビなどを運営する日本の大手メディアグループです。
2025年7月、投資会社レノや旧村上ファンド系の投資家がフジ・メディアHDの株式を16%以上保有し、経営に大きな影響を与える可能性が高まりました。
旧村上ファンドは、企業の株を大量に取得し、経営改革や株主への利益還元を求める「アクティビスト」と呼ばれる投資家グループです。過去にも多くの企業で経営陣と激しい交渉を繰り返してきました。
TOBとはなにか
TOB(ティーオービー)とは、「株式公開買付け」のことです。これは、ある会社が他の会社の株を市場外でまとめて買い集める方法です。多くの場合、経営権を得ることや影響力を強めることを目的としています。
ポイズンピルとは?買収を防ぐ仕組み
ポイズンピルの基本的な仕組み
ポイズンピルは、敵対的な買収者が一定以上の株を取得しようとした場合、他の株主に新しい株を無償で配ることで、買収者の持ち株比率を下げる仕組みです。これにより、買収者が会社を支配するのを防ぎ、経営の独立性を守ることができます。
ポイズンピルが使われる理由
- 買収者が会社の経営方針を大きく変えるリスクを防ぐ
- 会社の重要な資産や子会社が切り離されるのを防ぐ
- 短期間での利益だけを追求されるのを防ぐ
フジ・メディアHDは、経営の安定や株主全体の利益を守るため、取締役会の全会一致でポイズンピルの導入を決めました。
旧村上ファンドの具体的な実例
昭栄(現ヒューリック)への敵対的TOB(2000年)
- 日本初の敵対的TOBを仕掛け、企業価値向上を要求
- TOBは失敗したが、「物言う株主」として注目されるきっかけとなった
阪神電気鉄道への大量保有(2005年)
- 26.67%の株式を取得し、阪神タイガースの上場を提案
- 経営陣と複数回の会談を行い、最終的に阪急との経営統合が実現
東芝機械へのTOB(2020年)
- シティインデックスイレブンス(旧村上ファンド系)が259億円を投じてTOBを実施
- 買収防衛策によりTOBは成立せず
旧村上ファンドは、経営権を直接握ることはほとんどなく、株価上昇による売却益を狙う「バリュー投資」が基本戦略です。

買収防衛策が企業と社会に与える影響
今回のフジ・メディアHDの事例は、20年前のライブドアによる買収騒動を思い出させます。日本の企業では、外部からの影響を防ぐために買収防衛策を導入する動きが広がっています。他の大手企業でも同様の対策が進んでいます。
まとめ
- フジ・メディアHDは旧村上ファンド系の投資家による大量の株取得に対抗し、ポイズンピルを導入
- ポイズンピルは敵対的買収者の持ち株比率を下げ、会社の独立性を守る仕組み
- 旧村上ファンドは、昭栄や阪神電気鉄道、東芝機械などで経営提案やTOBを行ってきた
- TOBは、会社の株をまとめて買い集めることで経営権を狙う手法
企業が自分たちの経営を守るためにどんな工夫をしているのか、ポイズンピルのような仕組みは他の会社でも使われています。
あなたも身近な企業のニュースや財務データを調べて、どのような株主還元や防衛策があるか比べてみませんか?投資家と企業の関係を知ることで、経済の仕組みがより身近に感じられるはずです。