10万円でも価値あり?軍艦島プレミアムツアー:ドラマ効果?世界遺産効果?インバウンド?

「軍艦島ツアー」予約が1.6倍に 10万円プランも売れる観光の変化:『海に眠るダイヤモンド』の舞台(1/6 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

長崎県が誇る世界文化遺産「軍艦島」の注目度が上昇している。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の舞台となった影響が大きく、放送開始後の軍艦島上陸ツアーの予約数が急増。現地でツアーの販売戦略などを聞いた。

長崎県にある「軍艦島(端島)」をご存じですか?この島は、日本の近代化を支えた石炭産業の拠点として発展し、現在は独特な廃墟の景観が観光客を魅了しています。
最近では、2024年に放送されたドラマ『海に眠るダイヤモンド』の影響で注目度が急上昇し、ツアーの予約数が前年同月比で61%増加しました。
また、ドラマの撮影に使われたシーンがSNSで話題になり、さらに観光客の関心を高めています。10万円を超える高額ツアーも登場し、それでも多くの人が訪れる理由とは?

軍艦島の歴史や観光の魅力、そして保存活動について見てみましょう。

軍艦島とは?

軍艦島(正式名称:端島)は、長崎港から約18.5km沖合にある島で、もともとは小さな自然の島でした。しかし、19世紀後半の石炭採掘の発展とともに埋め立てが進み、現在の形になりました。その名前は、島全体が戦艦「土佐」に似ていることから付けられました。

19世紀後半から三菱による石炭採掘が本格化し、最盛期には約5300人が暮らしていました。この人口密度は当時世界一とも言われ、学校や病院、映画館など生活に必要な施設がすべて揃っていた「海上都市」でした。

しかし、1974年に炭鉱が閉山すると住民は全員退去し、無人島となりました。その後は建物が朽ち果てた廃墟となり、2015年には「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されました。

ドラマの影響で観光急増

2024年10月から放送されたドラマ『海に眠るダイヤモンド』は、軍艦島を舞台とした作品です。このドラマの影響でツアー予約数が急増し、「軍艦島コンシェルジュ」というツアー会社では2025年1月の予約数が前年同月比61%も増加しました。
また、地元イベント「長崎ランタンフェスティバル」などと組み合わせて訪れる観光客も増えています。

特に注目すべきは外国人観光客で、全体の約3割を占めています。台湾や香港、シンガポールなどアジア圏からの訪問者が多く、特に台湾からの観光客は全体の約15%を占めています。欧米からの訪問者も徐々に増加しており、国際的な観光地となっています。

高額ツアーが人気の理由

限定性と特別感
軍艦島には通常ツアーでは訪れられない非公開エリアがあります。「プレミアム・スタディツアー」という高額プランでは、このエリアへの上陸が可能です。
特別な船(チャーター便)で移動し、安全を確保する案内係(安全誘導員)や、実際に住んでいた人(元島民ガイド)が同行するため、安全性が高く、詳しい解説を聞くことができます。

歴史的価値と廃墟美
軍艦島は日本の近代化を象徴する場所であり、その廃墟には独特な美しさがあります。参加者は、自分自身でその場を体験し写真や映像を記録できるため、大きな満足感を得ています。実際、高額でも「また来たい」とリピーターになる人も多いそうです。

保存活動への貢献
高額ツアーの収益には、軍艦島の保存や整備費用への寄付金も含まれています。参加者は観光だけでなく、この貴重な遺産を未来に残す活動にも貢献しているという意識を持つことができます。

軍艦島をGoogleストリートビューで歩いてみよう

今では廃墟となった軍艦島を、ストリートビューで歩き回ることができます。世界遺産を歩いてみましょう。

"軍艦島”をストリートビューで歩いてみよう

Google では、本日より長崎県長崎市高島町端島のストリートビューを公開します。今日、公開する端島は、もしかすると「軍艦島」という名前でご存知の方が多いかもしれません。戦艦「土佐」に似ていることからつけられた俗称だそうですが、端島は、長崎港から 19 キロの海上にある小さな半人工島です。1870 年から炭鉱開発が始まり、日本の近代化を…

軍艦島の保存と課題

軍艦島の保存活動には、多額の費用と長期間の計画が必要です。長崎市では「端島整備基金」を設置し寄付金を募っていますが、目標額57.7億円に対して2023年度末時点で27%しか達成できていません。
また、軍艦島の波を防ぐ壁(護岸)を直すことは、世界でも特に難しいとされています。例えば、強い波の影響で護岸が壊れやすく、それを直すためには耐久性の高い特別な材料や工法が必要です。また、軍艦島の大切な歴史を守りながら修理するための技術開発も求められています。
それでも、この遺産を未来へ残そうという努力は続けられています。

まとめ
  • 歴史的価値: 軍艦島は日本の近代化を象徴する場所であり、その歴史や文化を学ぶ絶好の機会
  • 観光資源としての魅力: ドラマやメディア効果による注目度アップで、多くの観光客を引き付けている
  • 保存活動への関心: 観光収益や寄付金による保存活動にも参加できる点が特徴

軍艦島への訪問は単なる観光だけでなく、日本の産業革命や地域経済について学ぶきっかけになります。
また、「次にどんな歴史的スポットに行ってみたいか?」と考えることで、新しい興味や視点が広がるかもしれません。

例えば、北海道の夕張炭鉱跡や群馬県の富岡製糸場など、日本の近代化を支えた他の産業遺産と比較してみるのも面白いでしょう。

【無料オンラインイベント】8/25(日)「第3回 クイズで学ぶ!お金と社会のつながり」
<詳細・お申込みはこちら>