高級ブランドの王者エルメスは過去最高売上を更新!他ブランドと何が違う?

エルメス、24年も2ケタ増収で着地 “ラグジュアリー減速”の中でも強さを発揮 - WWDJAPAN

エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2024年12月期決算は、売上高が前期比13.0%増の151億7000万ユーロ(約2兆4120億円)、営業利益は同8.8%増の61億5000万ユーロ(約9778億円)、純利益は同6.8%増の46億300万ユーロ(約7318億円)の増収増益だった。

エルメスは、世界中で愛されるフランスのラグジュアリーブランド(高級ブランド)です。
その名は「究極のラグジュアリー」とも称され、2024年の売上高は約2兆4120億円に達し、前年比15%増(日本円に換算した場合13%)という驚異的な成長を記録しました。
特に日本市場では前年比14%増(現地通貨ベースでは22.5%増)と大きな成長を見せています。

他のラグジュアリーブランドが景気減速の影響を受ける中、エルメスが安定した成長を続ける理由とは何でしょうか?

高品質と希少性が生む特別な価値

エルメス製品の最大の特徴は「手作り」と「高品質」です。特に「バーキン」や「ケリー」などのバッグは、職人が一つひとつ手作業で仕上げるため、生産数が限られています。この希少性が製品の価値をさらに高めています。

2024年には、日本市場で約10%の値上げを実施しましたが、それでも需要は衰えず、収益性がさらに向上しました。価格戦略もエルメスの強みの一つといえます。

革小物以外へ広がるエルメスブランド

エルメスは革小物だけでなく、多角化戦略にも力を入れています。例えば、高級時計のムーブメントを製造する「Vaucher Manufacture Fleurier」を買収し、自社時計の品質向上に役立てています。また、高級靴ブランド「John Lobb」も子会社として展開しており、メンズファッションでも存在感を発揮しています。

一方で、他ブランドを次々と買収して規模拡大を図る「コングロマリット化」(異業種の企業を統合し経営する方法)は行わず、自社独自のビジネスモデルを維持しています。この方針が競合他社であるLVMH(ルイ・ヴィトンやティファニーなど)やケリング(グッチやサンローランなど)との大きな違いです。

地域ごとの柔軟な戦略

地域ごとのニーズに応じた柔軟な戦略もエルメスの成功要因です。日本市場では訪日観光客と地元顧客の両方から支持され、2024年には前年比23%増という大きな成長率を達成しました。一方、中国市場では景気低迷にもかかわらず新店舗をオープンし、第4四半期には9%成長するなど、地域ごとの需要に合わせた対応力が光ります。

さらに、生産と在庫管理にも厳格で、高い粗利益率(売上から商品原価を引いた利益の割合)が73%と非常に高い水準を維持しています。この徹底した業績管理が、エルメスの安定した成長を支えています。

従業員への還元と未来への投資

エルメスは好業績を背景に、従業員全員に特別ボーナス(2024年は4500ユーロ=約71万円)を支給しており、働きがいのある企業として評価されています。実際に、エルメスは「働きがいのある企業ランキング」において上位にランクインし、従業員の定着率も非常に高いことが報告されています。

また、新たな挑戦としてオートクチュール(高級仕立て服)やスキンケア商品の開発にも取り組んでいます。これらはまだ準備段階ですが、2026年以降に発表される予定です。

他ブランドとの比較:際立つエルメスの独自性

ラグジュアリーブランド全体では景気減速による影響が広がっています。例えば、「ルイ・ヴィトン」などを展開するLVMHや「グッチ」を擁するケリングは売上減少に苦しんでいます。しかし、エルメスはクラシックなデザインと希少性によってブランド価値を維持し、安定した成長を続けています。

他ブランドが大量生産や流行に合わせた商品作りをする中、エルメスは独自のブランド価値と品質を重視することで、他社との差別化を図っています。

エルメスから学べること

エルメス成功モデルのポイント

  • 高品質と希少性:手作り製品と限定生産による特別感。
  • 多角化戦略:時計や靴など新分野への進出。
  • 地域別対応:各市場ニーズに合わせた柔軟な戦略。
  • 従業員還元:社員満足度向上と新規事業への投資。
  • 独自性維持:他ブランドとの差別化による競争力強化。

エルメスのように、自分たちの強みや価値観を守りながら新しい挑戦に取り組む姿勢は、多くの人々にインスピレーションを与えます。例えば、スポーツ選手が自分の特技を活かして競技に挑戦するように、デザイナーやエンジニアも独自のアイデアを活かして新しい製品を生み出します。

中高生のみなさんも、自分だけの「強み」や「得意分野」を見つけ、それをどう活かしていくか考えてみてはいかがでしょうか?

まとめ
  • エルメスは2024年も好調な売上成長を記録
  • 手作りと高品質による希少価値がブランドの強み
  • 時計や靴などの多角化戦略でさらなる成長を目指す
  • 地域ごとの需要に応じた柔軟なマーケティング戦略
  • 従業員への利益還元と新規事業への投資を積極的に行う

エルメスの戦略は、私たちのキャリアや人生の選択にもヒントを与えてくれます。
例えば、アスリートが練習を積み重ねることで記録を更新するように、エンジニアが技術を磨いて新しい製品を生み出すように、それぞれの分野で独自の価値を築くことができます。あなたなら、どのように自分の強みを活かしますか?

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