日立家電売却検討へ!海外企業が狙う日本ブランドの行方

日立が白物家電事業の売却を検討、「選択と集中」の一環…韓国企業などへ提案も難航か : 読売新聞

【読売新聞】 日立製作所が国内の白物家電事業の売却を検討していることが4日、わかった。電力や鉄道などの社会インフラ関連の中核事業や、企業向けITサービスなどの成長事業に経営資源を集中するため、事業構造の転換を図る狙いがあるとみられる

あなたの家にある冷蔵庫や洗濯機、そのメーカーはどこですか?かつて「日の丸家電」と呼ばれた日本の家電メーカーが、海外企業に買収されるニュースが相次いでいます。
2025年8月、日立製作所が白物家電事業(日立グローバルライフソリューションズ)の売却を検討していると報じられました。韓国のサムスンやLG、トルコや中国の企業も関心を示しています。なぜ日本の大手メーカーは売却や再編を進めるのか。

日本の家電メーカーの現状と背景、そして今後の行方を考えてみましょう。

日本の家電メーカーに何が起きている?

日立が家電事業を売却する理由
日立製作所は長年、冷蔵庫や洗濯機などで知られる白物家電を手掛けてきました。
しかし2025年8月、日立はこの事業を担う子会社・日立グローバルライフソリューションズの売却を検討すると発表しました。理由は、成長が見込める鉄道、IT、インフラサービスなどに経営資源を集中させるためです。
白物家電は購入後の継続収益が少なく、長期的な利益確保が難しい分野とされています。

買収に名乗りを上げる海外企業
サムスン電子やLG電子(韓国)、アーチェリック(トルコ)、複数の中国メーカーが買収に関心を持っています。
日立は2025年10月に交渉相手を絞り、12月に売却先を決定する予定です。条件には「日立ブランドの5年間存続」や「社員の雇用保証」が含まれています。

他の日本メーカーでも進む海外売却

海外に渡った主な事例

  • シャープ:2016年、台湾の鴻海精密工業(Foxconn)が買収
  • 三洋電機:2011年、「AQUA」ブランドを中国のハイアールに売却
  • 東芝:2016年、白物家電を中国・美的集団、テレビ部門を中国・ハイセンスに売却
  • NEC・富士通:パソコン事業を中国レノボ傘下に。2011年と2016年に合弁を締結

この10年で、日本の有名家電ブランドは次々と海外資本の傘下に入りました。

背景にある世界的な競争
90年代以降、日本メーカーはバブル崩壊やデフレ、価格競争の激化で利益が減少しました。海外メーカーは大量生産でコストを下げ、低価格製品でシェアを拡大。労働コストの高い日本メーカーは価格競争で不利になり、収益性の低い事業から撤退する動きが強まりました。

関連する最近の動き

日立の家庭用エアコン事業撤退
2024年7月、日立は家庭用エアコン製造から撤退し、独ボッシュへ事業を売却しました。今後は業務用エアコンなど成長分野に注力します。

買収後も残る日本ブランド
買収後も、三洋の「AQUA」やNEC・富士通のパソコンブランドのように、日本発の技術やブランドは世界で使われ続けています。
ただし、日本製ならではの品質や工夫が将来も守られるかは注目点です。

まとめ
  • 日立は白物家電事業の売却を検討中
  • 海外大手企業が買収候補として名乗りを上げている
  • 売却条件に「ブランド維持」や「雇用保障」が含まれる
  • 過去にもシャープ、三洋、東芝などが海外企業に買収された
  • 背景には価格競争や経営資源集中の必要性

家電業界のグローバル化は、新しい技術や商品と出会えるチャンスを広げる一方、日本のものづくりや雇用にも影響を与えます。なぜ日本のメーカーは事業を手放すのか、買収後のブランドはどう変わるのかを考えることは、経済やビジネスの理解につながります。
この記事をきっかけに、海外企業との競争や協力、ブランドの価値、雇用の守り方について調べてみませんか。