日産の未来を決めるパートナーは鴻海?ホンダとの違いは?

日産株が上げ幅拡大、鴻海が協力模索との台湾中央通信社報道受け - Bloomberg

日産自動車の株価が午後の取引で上げ幅を拡大、約1カ月ぶりの日中高値を付けた。台湾の鴻海精密工業の劉揚偉会長が日産との協力を模索しているなどとする台湾の中央通信社(CNA)の報道を好感したようだ。

日産自動車が台湾の大手企業「鴻海精密工業(ホンハイ)」との協力を模索していると、日本経済新聞やロイター通信などが報じました。
一方で、ホンダとの経営統合交渉は破談となりました。

鴻海との協力の可能性、ホンダとの違い、そして自動車業界全体が直面する課題について考えてみましょう。

日産株価の変動と背景

日産の株価は、ホンダとの経営統合破談が報じられた2月5日には387円でした。しかし、鴻海との協力の可能性が報じられると、2月7日には一時446.4円まで上昇しました。このように、ニュースによって株価が大きく影響を受けることが分かります。

昨年12月26日にホンダとの経営統合計画が最初に報じられた際には552円まで上昇しました。この上昇は、市場が統合による企業の成長やEV市場での競争力強化を期待したためと考えられます。
しかし、その後の交渉破談により投資家の失望が広がり、株価は急落しました。このことからも、統合交渉や新たなパートナーシップに対する市場の期待と失望が繰り返されることが分かります。

ホンダとの統合破談、その理由とは?

日産とホンダは一時、経営統合について話し合っていましたが、この交渉は破談に終わりました。その理由として以下の点が挙げられます。

1. 子会社化への抵抗
ホンダは日産の経営権を大きく握る形での統合を提案し、事実上の子会社化を目指しましたが、自主性を重視する日産はこれに強く反発しました。

2. リストラ案での不一致
経営再建に向けた具体的なリストラ案で意見が一致しなかったことも交渉難航の原因となりました。

3. EV戦略の違い
両社とも電気自動車(EV)市場への対応を目指していましたが、市場戦略や技術開発で意見の相違があったとされています。

鴻海との協力の可能性

一方で、鴻海精密工業は日産との協力の可能性に前向きな姿勢を示しています。鴻海はiPhone製造で知られる企業ですが、近年ではEV事業にも力を入れています。具体的には、EV開発プラットフォーム「MIH」を立ち上げ、世界中の企業と連携してオープンなEVエコシステムを構築しようとしています。また、電動バスや電動トラックの試作も進めており、EV分野での実績を着実に積み重ねています。

現在、日産と鴻海の間で正式な提携や協力関係は発表されていませんが、2024年初頭には両社の幹部が複数回の協議を行ったと報じられており、今後の協力の可能性について模索が続いています。

鍵となる人物:関 潤氏
鴻海精密工業には、元日産幹部である関潤氏が役員として在籍しています。
関氏はかつて日産自動車で副最高執行責任者(COO)を務め、自動車業界で豊富な経験とネットワークを持っています。現在は鴻海で電気自動車(EV)事業の最高戦略責任者(CSO)として活躍しており、日産と鴻海の協力を後押しする重要な役割を果たすのではないでしょうか。

自動車業界全体で進む競争

自動車業界では現在、大きな競争が繰り広げられています。
例えばトヨタは2025年度の売上高を47兆円、営業利益を4兆7千億円に引き上げる計画を発表しました。この成長戦略により、トヨタはEV市場での優位性をさらに強化しようとしています。

一方で、日産はコスト削減と技術革新を組み合わせたEV戦略を推進し、ホンダは独自の水素技術を活かした持続可能なエネルギー戦略を打ち出しています。このように各社のアプローチが異なり、競争の方向性も多様化しています。

また、アメリカではトランプ前大統領による関税政策も影響しています。アメリカは、メキシコからアメリカに輸出されるモノには関税を高くするという方針を出しています。(当初は2月からスタートでしたが、1ヶ月延期になっています。)
日産はメキシコ工場で多くの車両を生産していますが、この政策によってコスト増加や生産縮小を迫られる可能性があります。こうした外部要因も含めて、自動車メーカーには柔軟な戦略が求められています。

まとめ
  • 日産株価はホンダとの経営統合破談後に下落も、鴻海との協力の可能性が報じられると上昇
  • 鴻海との協力が実現すれば、技術革新やコスト削減が期待される
  • 自動車業界全体で競争が激化しており、市場環境への対応力が求められている

未来の自動車業界について考え、自分の周りの協力や競争の仕組みを意識してみましょう。
例えば、最新のEV技術や環境に優しい交通手段について調べてみるのも良いでしょう。また、友達とディスカッションをして、それぞれのアイデアを組み合わせることで、新しい視点を得られるかもしれません。

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