日本企業の利益は過去最高でも株価低迷?トランプ関税への不安?

「過去最高」決算、日本株浮上への突破口ならず-強さ欠く本業収益 - Bloomberg

日本企業の2024年10-12月期決算は見た目ほど強くなく、狭いレンジで推移する日本株を再び上昇局面に押し上げるには力不足となりそうだ。

「決算」や「関税」という言葉を聞いたことがありますか?決算とは、企業が一定期間にどれだけ利益を出したかを発表するものです。そして関税は、国が海外からの輸入品にかける税金のことです。

日本では1月下旬から2月中旬まで、だれでも株式を売買できる会社である「上場企業」の決算発表の時期です。過去最高の利益を出している企業が多くありました。
しかし、株価は思ったほど上がっていません。

さらに、アメリカのトランプ前大統領が新たな関税を導入するとの発表をしました。これらの出来事が日本の経済にどんな影響を与えるのか、一緒に考えてみましょう。

日本企業の決算、過去最高を記録

2024年10月から12月の3か月間で、日本の大企業500社の純利益(税金を引いた後のもうけ)は前年同期比13%増加し、過去最高の15兆6000億円となりました。

例えば、トヨタ自動車の純利益(企業が税金を引いた後に残るお金)は2兆1900億円に達し、専門家の予想を1兆円も上回る好成績でした。しかし、本業のもうけを示す営業利益(企業が商品やサービスを売って得た利益)は予想を10%以上下回り、市場では「成長力が十分ではないのでは?」との懸念が広がっています。
特に、自動車業界の競争激化や、電気自動車(EV)への投資の遅れが指摘されており、投資家の間では将来の成長に不安を抱く声もあります。

なぜ株価が上がらないのか?

企業の利益が増えているのに、なぜ株価はそれほど上昇しないのでしょうか?

  1. 本業の力不足:営業利益が期待ほど伸びず、企業の成長力に不安がある。
  2. 為替の影響:円安によって見かけの利益が増えているだけかもしれない。
  3. アメリカの政策への不安:トランプ前大統領が新たな関税を導入し、日本企業に影響を与える可能性がある。

このような理由から、市場では慎重な見方が広がっています。

トランプ関税とは?

トランプ前大統領は2025年2月、新たな関税(海外からの輸入品にかかる税金)措置を発表しました。

  • カナダ・メキシコからの輸入品に25%の関税
  • 中国からの輸入品に追加で10%の関税
  • 自動車・半導体・医薬品の輸入に約25%の関税を計画

これによって、アメリカで外国製品の価格が上がり、日本企業の輸出にも影響を及ぼす可能性があります。特に、トヨタやホンダといった自動車メーカー、ソニーやルネサスなどの半導体関連企業、武田薬品のような製薬会社は影響を受けると考えられています。

日本の株式市場への影響

トランプ関税の発表を受けて、日本の株式市場は大きく下落しました。

  • 日経平均株価(日本の代表的な225の企業の株価をまとめた指数):1,052.40ポイント(2.66%)下落
  • TOPIX指数:68.27ポイント(2.45%)下落

特に、自動車関連の企業の株価が大きく下がりました。例えば、トヨタ自動車の株価は5.2%下落し、ホンダは4.8%下落しました。これにより、自動車業界全体の先行きに対する不安が広がっています。

特に影響を受ける産業
  1. 自動車産業:日本の輸出の約3分の1を占める重要な産業で、関税がかかると価格競争力が低下します。
  2. 半導体産業:スマートフォンやパソコンなどの電子機器に欠かせない部品を製造しており、関税の影響を受けやすい分野です。
  3. 医薬品産業:新薬の輸出が制限されることで、日本の製薬企業にとっては厳しい状況になる可能性があります。
今後の見通し

専門家の間では、以下のような意見が出ています。

  • 短期的には株価の下落が続く可能性
  • 長期的には関税政策や企業の対応次第で回復の可能性もある
  • 円安(日本円の価値が下がること)が続けば、日本の輸出企業にはプラスに働く面もある

世界経済の変化に、日本企業がどう対応していくかが今後のカギとなります。

まとめ
  • 日本企業の純利益は過去最高を記録したが、営業利益の伸びは鈍かった
  • トランプ関税の影響で、日本の株式市場は下落
  • 自動車・半導体・医薬品産業が特に影響を受ける可能性がある
  • 日米の貿易交渉や政府の支援策、成長産業の競争力強化が回復のカギとなる

経済のニュースは難しく感じるかもしれませんが、例えば、トランプ関税によって日本の自動車や半導体の価格が上昇すれば、スマートフォンや家電の値段も上がる可能性があります。また、企業の業績悪化が続けば、就職や給料にも影響が出るかもしれません。決算や国際経済政策がどのように私たちの暮らしに関わるのか、身近な視点で考えてみましょう!

  1. 関税が上がると、私たちの生活にはどんな影響があるでしょうか?
  2. 日本の企業は、この状況をどのように乗り越えていけばいいでしょうか?
  3. 将来、みなさんが社会人になったとき、国際経済の変化がどのように仕事に影響するでしょうか?

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