「TSMC進出で周辺地価が数倍に」…熊本県大津町、物流倉庫に国内外から引き合い:地域ニュース : 読売新聞

【読売新聞】 国土交通省が発表した2023年の基準地価で、九州・沖縄は全用途平均が1・6%上昇し、6年連続でプラスだった。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出や西九州新幹線の開業といった大型投資の好影響が広がっている現状が浮き彫り

前回、熊本でTSMCという半導体を作る工場ができるということで、時給が上がっているという良いニュースをお伝えしました。働く人がふえて、時給が上がれば周りのお店ももうかって、熊本の経済が元気になるというお話でした。

しかし、良いことばかりではないかもしれない、というニュースがこちらです。

熊本県大津町は、今年、地価(土地の値段)がなんと32.4%も上がり、日本一の上昇率となりました。熊本県大津町は、この台湾の半導体メーカーTSMCの工場ができる場所の近くです。工場ができる熊本県菊陽町や、この大津町などのまわりの町では、いまマンションがたくさん建設中です。ひっこしてきたこどもたちも多くいます。

需要じゅよう供給きょうきゅう。土地を買って、マンションなどを立てたい会社がふえると、土地の値段が上がります。工場で働く人たちが住むためのマンションを作りたい会社がふえて、土地の値段は大きく上がっています。
熊本市で人気のラーメン屋さんも、工場ができる菊陽町に移ってきました。人が多いから、今まで店があった熊本市よりも、もっともうかるのではという期待からです。

こう見ると経済が成長しそうで、とてもいい話に見えます。ですが、土地の値段が上がることで、工場ができる前からあるお店は家賃があがる可能性が高くなっています。家賃が上がれば、上がった分以上の売上がないとお店がもうかりません。
地元で愛されていた青果店さんも、9月末でお店を閉めることにしました。家賃が高くなるのなら、お店をやっていけなくなるからです。

新しいお店ができたり、人がふえたりする一方で、昔からあるお店がなくなる。経済の成長は、こんなふうに良いこともそうでないことも同時に起こすということを、これからの熊本の成長を見るときに学ぶことができるのではないでしょうか。