くら寿司、株主優待の復活!わずか3ヶ月での方針転換の理由とは?

くら寿司、株主優待を再導入 最大2万円分の食事券 | ロイター

くら寿司 は19日、株主優待制度を再導入すると発表した。4月末以降は廃止する予定だったが、株主から再開の要望が多く寄せられ、利益還元のあり方を改めて協議したとしている。

2025年2月19日、くら寿司は株主優待制度(企業が株主に提供する特典)を再導入すると発表しました。

背景には、株主の強い反発と市場の反応がありました。2024年12月11日に優待廃止を発表後、株価(株の取引価格)が急落し、多くの個人投資家から批判が相次ぎました。
企業側は配当(企業が株主に分配するお金)を重視していましたが、投資家の意向を受け、方針を見直すことになりました。この急展開は、投資家や市場に大きな衝撃を与えました。

株主優待廃止の経緯

くら寿司は2024年12月11日、「配当を含めた株主の公平な利益還元のあり方を慎重に検討した結果、株主優待制度を廃止する」と発表しました。この決定は、多くの個人投資家にとって予想外であり、驚きをもって受け止められました。

くら寿司 2024年10月期決算説明会資料より
株価の急落と個人投資家の反発

優待廃止の発表後、くら寿司の株価は急落しました。発表前には3,000円台を維持していた株価が、2025年に入ると3,000円を割り込む状態が続きました。この株価の低迷により、多くの株主から優待制度の再開を求める声が寄せられ、SNS上でも批判が相次ぎました。

優待制度の再導入と変更点

くら寿司は「多くの株主様から優待制度の再開を求めるご意見をいただいた」と説明しました。特に、SNSや株主総会での意見が目立ち、『優待があるからこそ株を保有していた』『個人投資家にとって魅力がなくなる』といった声が多く寄せられました。
2025年2月19日に優待制度の復活を発表しました。新しい優待制度では、これまでの割引券を廃止し、代わりに食事券を提供する形に変更されました。これにより、利便性が向上し、より多くの株主が恩恵を受けやすくなっています。

再導入される優待制度は以下の通りです:

保有株式数優待内容
100~199株食事券2,500円分
200~399株食事券5,000円分
400~999株食事券1万円分
1,000株以上食事券2万円分
株主優待導入による株価上昇効果

株主優待の導入や拡充は、多くの場合、株価にポジティブな影響を与えます。1998年から2005年の期間に株主優待を導入した172社を対象とした研究では、株主優待の導入を発表した企業の株価が有意に上昇したことが確認されています。

株主優待を出す企業の例

ソフトバンクグループ
2015年に株主優待を導入し、短期間で株価が約10%上昇しました。優待には携帯料金の割引やサービス利用券が含まれ、個人投資家の関心を集めました。

日本航空(JAL)
2011年の再上場後に株主優待を導入。国内線や国際線の割引券が含まれ、個人投資家の需要増加と株価安定に寄与しました。

ANA(全日本空輸)
ANAは長年にわたり株主優待制度を提供。優待内容の拡充時には株価が上昇する傾向があります。

株価上昇のメカニズム

株主優待が株価上昇につながりやすい理由には、以下のような要因があります。

  • 個人投資家の需要喚起: 株主優待は特に個人投資家にとって魅力的であり、優待目的での株式購入が増加します。
  • 長期保有の促進: 優待を目的に株式を保有する投資家は、簡単には売却しない傾向があります。これが株価の下支えとなります。
  • 企業認知度の向上: 株主優待は企業の商品やサービスを直接体験する機会となり、企業のファン層を拡大させます。
  • 流動性の向上: 株主優待の導入により、個人株主数が増加し、株式の流動性(株がどれくらい簡単に売買できるか)が向上することが確認されています。
注意点

ただし、株主優待の導入が必ずしも長期的な株価上昇につながるとは限りません。企業の収益性(会社がどれくらい利益を出せるか)や成長性(会社が大きくなる可能性)といった本質的な価値が重要であり、株主優待はあくまでも補完的な要素と考えるべきです。

また、株主優待には大口投資家が相対的に冷遇されるというデメリットもあります。このため、企業は株主優待と配当のバランスに配慮した方法をとる傾向があります。

くら寿司の説明と今後の課題

くら寿司は「株主の皆様のご支援に感謝し、当社株式への投資魅力を高めるため」と説明しており、単なる株価対策ではなく、株主との関係強化を目的とした決定であると強調しています。

しかし、長期的な企業価値の向上には、優待制度だけでなく、業績や成長戦略が重要です。今回の出来事をきっかけに、企業の意思決定プロセスや株主とのコミュニケーションの重要性が改めて浮き彫りになりました。

まとめ
  • くら寿司の株主優待の再導入は、個人投資家の影響力の大きさを示した
  • 企業の意思決定には、株主との対話と市場の反応を考慮することが重要
  • 株主優待だけでなく、企業の長期的な成長戦略が株価維持の鍵

株主優待は企業と投資家の関係を深める重要な仕組みです。くら寿司の例では、株主の声が企業の方針を変えました。
あなたが会社の経営者なら、株主の意見をどのように受け止めますか?また、投資家として企業の成長を考えるとき、優待制度だけでなく何を重視すべきでしょうか?

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