退職代行モームリに警視庁が家宅捜索!非弁行為の疑いで業界に衝撃
退職代行「モームリ」運営会社に警視庁が家宅捜索 弁護士法違反の疑い 違法に弁護士にあっせんし紹介料受け取ったか | TBS NEWS DIG
退職を希望する人に代わって会社に意思を伝える退職代行サービス「モームリ」の運営会社が、代行の仕事を違法に弁護士にあっせんし、紹介料を受け取った疑いが強まったとして、警視庁は関係先の一斉捜索を行ってい…
「仕事を辞めたいけど、自分では言い出しにくい…」そんな悩みを抱える人の代わりに、会社へ退職の意思を伝えてくれる「退職代行サービス」。特に若い世代を中心に利用が広がっています。
しかし最近、人気だった「退職代行モームリ」の運営会社が、弁護士法違反の疑いで警視庁の家宅捜索を受けました。便利なサービスに一体何があったのでしょうか?
そもそも「退職代行」ってどんなサービス?
退職代行は、文字通りあなたに代わって「会社を辞めます」と伝えてくれるサービスです。精神的に疲れてしまったり、上司に強く引き留められたりして、自分では辞めると言えない人が利用しています。
どんな人が利用しているの?
利用者の中心は20代から30代の若い世代です。しかし最近では、「長年勤めた会社に迷惑をかけたくない」と考える真面目な40代や50代の利用も増えています。
利用する理由は人それぞれですが、主に以下のようなケースが多いです。
このように、退職代行サービスは、自分一人の力では円満に会社を辞めるのが難しい人にとって、頼れる選択肢の一つになっているのです。
なぜ「モームリ」は法律違反の疑いをかけられたのか?
便利な退職代行サービスですが、「モームリ」が家宅捜索となった理由は、弁護士法に関わる2つのポイント「非弁行為」と「非弁提携」です。
①「交渉」は弁護士しかできない【非弁行為】
退職代行ができるのは、基本的に「退職の意思を伝える」ことだけです。もし業者が、あなたに代わって会社と次のような「交渉」をすると、非弁行為という法律違反になります。
- 「未払いの残業代を支払ってください」と請求する
- 「有給休暇をすべて消化させてください」と話し合う
- 退職日の日程を調整する
これらの行為は「法律事務」と呼ばれ、弁護士の資格を持つ人しかできません。今回の事件では、「モームリ」がこうした法律に関する交渉まで行っていた実態が疑われています。
②「紹介ビジネス」は禁止されている【非弁提携】
さらに大きな問題となったのが、弁護士との関係です。「モームリ」は、法律が関わる交渉が必要な依頼者を弁護士に紹介し、その見返りとして紹介料(キックバック)を受け取っていた疑いがあります。
一般のビジネスでは「紹介」は当たり前ですが、弁護士の世界では、報酬をもらう目的で弁護士を紹介するビジネスは法律で固く禁止されています。これを非弁提携と呼びます。弁護士も、そうした業者から仕事を紹介してもらうことはできません。

なぜ弁護士の「紹介ビジネス」はダメなの?
「紹介してあげる代わりに報酬をもらうのは普通じゃない?」と思うかもしれません。しかし、弁護士の仕事には特別なルールがあります。
このルールは、弱い立場にいる依頼者を守るために存在します。もし紹介料目当てのビジネスが許されると、紹介業者は依頼者のことよりも自分たちの利益を優先してしまうかもしれません。例えば、本当は依頼者のためにならない弁護士を紹介したり、不当に高い料金を請求するトラブルにつながる恐れがあります。
弁護士は、お金儲けのためではなく、あくまで困っている人を助け、正義を実現するために存在します。その公平さを保つために、弁護士法で厳しいルールが定められているのです。
まとめ
- 退職代行サービスは「意思を伝える」ことはできても、「交渉」は弁護士にしかできない
- 弁護士でない人が報酬目的で法律事務を行うことを「非弁行為」という
- 報酬目的で弁護士を紹介するビジネスは「非弁提携」として禁止されている
- これらのルールは、サービスの利用者(依頼者)を守るために存在する
仕事を始めることも、辞めることも、人生における大きな決断です。もし将来、あなたが職場で困ったとき、どんな選択肢があるのかを知っていることは、自分自身を守る「武器」になります。
今回のニュースをきっかけに、労働者の権利や法律に少しでも興味を持ってみてください。社会のルールを知ることは、より良い働き方や生き方を自分で選ぶ力につながるはずです。