上場企業が倒産!日本電解の失敗と株主への衝撃
「電解銅箔」って聞いたことがありますか?これはスマホや電気自動車など、私たちの日常に欠かせない製品に使われる重要な材料です。
この電解銅箔を作っている会社、日本電解が倒産しました。なぜこんなことになったのか、そして株主への影響について一緒に見ていきましょう。
日本電解ってどんな会社?
日本電解は1958年に日立製作所などの出資により設立されました。その後、2016年に三井物産や三井住友銀行、日本政策投資銀行が出資する企業により再編され、2019年に旧日本電解を吸収合併し、現在の形となりました。
日本電解は、日本で電解銅箔を製造する会社でした。この銅箔は、スマホの基板や電気自動車のバッテリーに使われる、いわば「電子機器の骨組み」のようなものです。特に電気自動車の人気が高まる中で、需要が高まることが期待されていましたが、経営がうまくいかず、その道は閉ざされることになりました。
負債額: 約147億6,100万円
※負債額=会社が返さなければならないお金
倒産に至った理由
日本電解は上場してからわずか3年で倒産に至りました。このことから、上場して集めたお金の使い方に失敗した可能性が考えられます。
会社発表によると、倒産の主な理由は以下の通りです:
- アメリカの子会社の業績悪化:
2020年3月に買収したアメリカの銅箔製造会社「Denkai America Inc.(DAI)」の業績が悪く、赤字が続いていました。これは、世界的な電子部品の不足やアメリカの経済政策の影響、スマホの売れ行きが悪くなったことなどが原因です。 - 計画の見直しと特別損失:
アメリカ市場での電気自動車の需要が減ったことから、新しい工場を建てる計画を見直し、土地を返還したり、一部の設備の注文をキャンセルしました。このため、前払いしていた約7億7500万円が返ってこず、大きな損失として記録され、会社の財務状況がさらに悪化しました。 - 資金調達の失敗:
財務状況を改善するために、今年5月頃から支援してくれる企業を探していましたが、具体的に助けてくれるところを見つけることができませんでした。その結果、事業を続けるのが難しくなり、民事再生法の適用を申請することになりました。
これらの理由が重なり、日本電解は経営が難しくなり、最終的に倒産することになったのです。
上場企業の倒産の影響と株主への影響
日本電解は、日本の株式市場(東京証券取引所)に上場している企業でしたが、今回の倒産は今年初めての上場企業の倒産です。上場企業が倒産することは、日本全体の経済や関連する取引先、社員に大きな影響を与えます。
特に注目すべきは、株主への影響です。
上場企業が倒産すると、株主が持っている株の価値はほぼゼロになってしまいます。株主は、倒産した会社の資産が残っていれば、一部のお金が返ってくることもありますが、通常は借金の返済が優先されるため、株主にはほとんどお金が戻ってこないのが一般的です。これにより、多くの投資家が損失を被り、場合によっては生活に影響が出ることもあります。
2024年 負債額100億円以上の倒産企業
2024年には負債額が100億円以上の企業がいくつも倒産しました。以下はその一部です:
- MSJ資産管理株式会社
- 業種: 航空機開発製造
- 負債額: 約6,413億円
- 倒産時期: 2024年上半期
- 概要: 資金繰りの悪化と市場競争の激化により倒産
- エクシア合同会社
- 業種: 融資・投資事業
- 負債額: 約850億円
- 倒産時期: 2024年10月
- 概要: 投資先の不振と資金回収の遅延が重なり倒産
- 船井電機株式会社
- 業種: AV家電製造販売
- 負債額: 約469億6,400万円
- 倒産時期: 2024年10月
- 概要: 海外競争の激化と製品開発の遅れで業績低迷
- 株式会社環境経営総合研究所
- 業種: 新素材紙パウダー製造ほか
- 負債額: 約246億1,000万円
- 倒産時期: 2024年上半期
- 概要: 需要低迷と開発コスト増大により経営悪化
- 株式会社ホクシンメディカル
- 業種: 医療機器販売、医療情報システムサービスほか
- 負債額: 約112億4,300万円
- 倒産時期: 2024年上半期
- 概要: 競争力低下と新規事業の失敗により倒産
これらの企業の倒産は、各業界における競争激化や市場環境の変化、経営戦略の失敗など、さまざまな要因が影響しています。
まとめ
- 日本電解は電解銅箔というスマホや電気自動車に使う材料を作る会社
- 倒産理由は電子部品の不足やスマホの売れ行きの悪化など
- 今年初の上場企業倒産
- 日本電解の株主の持っている株の価値はほぼ0になってしまう
企業が成長するためには、外部の変化に対応する力が必要です。しかし、どんな企業でも外部の変化に適応できなければ倒産することがあります。この事例から、会社の経営を安定させたり、財務管理をしっかり行うことの大切さを学ぶことができます。また、投資家にとっても、リスクをよく理解しておくことが重要です。
企業が倒産することについて、どのように感じましたか?例えば、自分が会社のリーダーだったら、どんな対策を取るべきだと思いますか?また、企業が経営が難しくなった時にどのような支援が必要だと感じるでしょうか。親子で話し合いながら、経済の仕組みについて考えてみましょう。
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