アメリカでタコ養殖禁止のワケ!動物福祉の考え方
日本の食卓に欠かせない食材、タコ。世界的に需要が高まる中、タコの養殖技術の開発が進められています。一方、アメリカ・カリフォルニアでは日本時間28日、タコの養殖の禁止法が成立。なぜなのでしょうか。
タコは好きですか。たこ焼き、おさしみ、お寿司、てんぷらで食べることが多いですね。日本ではよく食べられている食材ですが、アメリカのカリフォルニア州では、最近タコの養殖(たこを育てること)が禁止されました。
どうしてタコを育てることがダメなのでしょうか?この記事では、タコがどれくらい賢いかや、動物を大切にする「動物福祉」の考え方について、ほかの動物の例と一緒に紹介します。
タコ養殖が禁止された理由
アメリカのカリフォルニア州で、2023年にタコを育てる養殖が禁止されました。養殖禁止を支持するマイアミ大学 ジェニファー・ジャクエット教授は「タコはとても賢い動物で、記憶力がよく、人の顔を覚えることができる。」と語っています。法案を提出した米下院議員 スティーブ・ベネット氏は、「せまい水槽でタコを育てるのは、タコにとってストレスになる。」と考えています。
タコのように賢い動物を無理に飼育することは、動物を大切にする「動物福祉」に反するということで、アメリカでは禁止されることになりました。
ただし、ジェニファー・ジャクエット教授の主張には科学的根拠がない、という人もいるので必ずしも「タコがとても賢い」と言えるかどうかはわかりません。
日本とアメリカの違い
日本では、タコはとても人気の食材で、たこ焼きやお刺身などに使われています。そのため、タコを育てる養殖の技術が進められています。広島県の百島では、タコの養殖が研究されていて、日本の食卓に安定してタコが届くように努力されています。
一方、アメリカでは、タコの賢さや動物福祉を理由に、タコの養殖を禁止する動きが広がっています。
動物福祉(アニマルウェルフェア)とは?
動物福祉とは、動物がストレスや苦しみを感じないように、できるだけ快適に過ごせるようにすることです。
タコは、一匹で生活することを好み、群れで暮らすことがありません。そのため、タコを狭い水槽に入れて養殖することは、タコにとって苦痛(つらいこと)になると考えられています。このような理由から、アメリカでは動物福祉の考え方に基づき、タコ養殖を禁止することになりました。
世界の動物福祉の例
タコだけでなく、他の動物に対しても、世界中で動物福祉を守るための取り組みが進められています。いくつかの例を紹介します。
- イギリス:サーカスでの動物使用禁止
ライオンやトラなどの動物がサーカスで使われることが禁止されました。動物たちが訓練(トレーニング)や移動でストレスを感じることが多いためです。 - フランス:毛皮農場の閉鎖
動物の毛を取るための農場が閉鎖されました。毛皮を取るために、動物がせまいケージに閉じ込められ、つらい環境に置かれていたためです。 - スペイン:闘牛の禁止
カタルーニャ州では闘牛が禁止されました。牛が危険でつらい目にあうため、動物福祉の考えから反対されました。 - インド:イルカショーの禁止
イルカを使ったショーが禁止されています。イルカは賢くて、狭い水槽でストレスを感じやすいことから、イルカを商業目的で使うことが動物虐待とされています。 - アメリカ:バタリーケージの廃止
にわとりがせまいケージで飼われる「バタリーケージ」が禁止されました。にわとりが少しでも自由に動けるようにするための動物福祉の取り組みです。
まとめ
- カリフォルニア州でタコ養殖が禁止された理由は、タコが賢く、狭い環境での飼育がストレスになるから
- 日本ではタコ養殖が進められていますが、動物福祉の観点での反対意見がある
- 世界中で、サーカスでの動物使用や毛皮農場、イルカショーなどが動物福祉の理由で禁止されている
私たちが食べる物や、見て楽しむ動物ショーには、動物たちの生活が深く関わっています。「動物福祉」と「商売」は意見が合わないことがよくあります。また、必ずしもどちらの意見が完全に正しいということもありません。動物には感情が「ある」「ない」を科学的根拠を超えて、大げさに言う人もいたりします。
動物福祉の考え方と、私たちが生きていく中で食べている動物のことを考えて、人間と動物の「共存」とはなにかを考えてみませんか。
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