「からあげ1個給食」から考える物価と税金
「刑務所のほうが豪華」福岡市〝唐揚げ1個給食〟と〝監獄食〟の対比が話題「将来の日本を背負って立つ小学生が…」「こんないいもの食ってんすか」の声:「おっ!」でつながる地元密着のスポーツ応援メディア 西スポWEB OTTO!
受刑者の食事が話題 博物館の網走監獄が公式Xを更新。受刑者の食事メニューを公開し反響を呼んでいる。 「当館の”監獄食堂”にて提供しているメニュー『監獄食』をご紹介」とつづり、同...
みなさんは、学校の給食にどんなイメージを持っていますか?最近、福岡市の小学校で「からあげ1個だけ」の給食が提供され、その写真がSNSで大きな話題になりました。「刑務所の食事より質素なのでは?」という声も上がり、全国の給食の現状や、社会の仕組みについて考えるきっかけとなっています。
実は、このようなおかずが少ない給食は福岡市に限らず、全国の他の地域でも見られています。なぜ、こうした給食が増えているのでしょうか?物価の上昇や給食費の無償化、食育の意義など、給食から見えてくる社会の課題を一緒に考えてみましょう。
「からあげ1個給食」が全国で話題に
SNSで注目を集めた写真
2024年5月、福岡市立の小学校で提供された「からあげ1個」の給食写真がSNSで注目を集めました。写真には、ごはん・味噌汁・牛乳とともに、お皿にポツンとからあげが1個だけ載っています。この献立に対して「量が少ない」「刑務所より質素」といった声が多く寄せられました。
他の地域にも広がる事例
大阪市や奈良市など、全国各地でも似たような給食が提供されていることが報じられています。大阪市では、からあげ1個に豆2粒というメニューが提供されたことがあり、保護者から「もう少し量を増やしてほしい」という声が上がりました。
SNS上では、全国の「さみしい給食」の写真が投稿され、給食のあり方について議論が広がっています。
背景にある物価高騰と予算の限界
食材費の上昇が給食に影響
近年、食材の価格は上昇し続けています。農林水産省のデータによると、特に肉類や油類、乳製品などの価格が上がっており、自治体の給食費用にも影響を及ぼしています。
福岡市の小学校給食は、1食あたり平均約289円で提供されており、栄養バランスを維持するには食材や調理法に工夫が必要とされています。
栄養基準は守られているが
福岡市教育委員会は、「からあげ1個でも文部科学省の定める栄養基準を満たしている」と説明しています。たしかに、1食あたりのエネルギーは600キロカロリー以上で、必要な栄養は確保されています。
しかし、子どもたちの満足感や見た目の印象が良くないこともまた、教育の一環として考えるべき課題となっています。
給食無償化とその財源
税金でまかなわれる給食費
福岡市では、2025年度の2学期から小中学校の給食費を無償化する方針です。市の試算では、年間約44億円の財源が必要とされ、市の予算と国の地方交付税交付金でまかなう予定です。
保護者の経済的負担は減るものの、財源確保と給食の質の両立は引き続き重要な課題です。
全国でも広がる無償化の動き
文部科学省の調査では、2024年度時点で全国の約3割の自治体が何らかの形で給食費の一部または全額を無償化しています。ただし、予算の都合で献立の簡素化が進んでいる自治体もあり、「無償化=内容充実」とならないことも明らかになっています。

「監獄食」との比較が投げかける問い
北海道の観光施設「博物館 網走監獄」では、実際の刑務所で出されていた食事を再現した「監獄食」を体験できます。主菜に焼き魚、副菜、ごはん、汁物などが含まれ、意外とバランスが良いとSNSでも話題です。
この比較から、「公共のお金はどこにどれだけ使うべきか」という問いが生まれ、教育現場や子どもたちへの投資について考えるきっかけとなっています。
まとめ
- 「からあげ1個給食」は福岡市だけでなく全国で発生している
- 背景には物価高騰と自治体の財源制約がある
- 栄養基準は満たしているが、満足度や食育の観点で課題がある
- 給食無償化は進むが、財政との両立が求められている
- SNSでの監獄食との比較が公共支出の優先順位に注目を集めた
給食の問題は、社会のお金の使い方や優先順位を考える良い入り口です。企業の経営と同じように、市や自治体も限られた資源をどう使うかを日々判断しています。
たとえば、地域の農家と連携して地産地消を進めたり、クラウドファンディングで地域の支援を集めたり、食品ロスを減らす仕組みを取り入れることでコスト削減を図ることも可能です。あなたが市長や企業の経営者だったら、どのように給食の質と財源を両立させるでしょうか?
昼休みに、家族や友達と「理想の給食」について話してみましょう。