2025年最大級のIPO?JX金属が上場し半導体業界の勢力図が変わる?
8100億円の大型上場 JX金属 銅から半導体企業へ|テレ東BIZ
19日、東京証券取引所のプライム市場に、JX金属が上場しました。100年以上、銅の鉱山開発などを手掛けてきた企業です。時価総額8000億円を超える大型上場となりましたが、市場の評価の背景にあるのは、激しくなる半導体の開発競争です。
2025年3月19日、JX金属(JX Advanced Metals Corporation)が東京証券取引所プライム市場に上場しました。時価総額は約8100億円に達し、日本の産業界と投資市場に大きな注目を集めていますJX金属の歴史、事業内容、IPOの狙い、そして今後の展望について詳しく見てみましょう。
JX金属の歴史:銅鉱山から最先端材料へ
JX金属の歴史は1905年、創業者である久原房之助が日立鉱山を開業したことに始まります。当初は資源開発と金属製錬を中心に事業を展開していましたが、時代とともに事業領域を拡大してきました。
2010年には、新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合によりJXホールディングス(現ENEOSホールディングス)が誕生し、JX金属はその傘下に入りました。この統合により、JX金属はさらなる成長を遂げる基盤を確立しました。
主要事業:半導体材料で世界をリード
JX金属の主力製品は、半導体製造に不可欠な「スパッタリングターゲット」です。この製品で世界シェア約60%を誇り、グローバル市場で圧倒的な地位を確立しています。
同社の磯原工場(茨城県北茨城市)では、約1300人の従業員が最先端の半導体材料を製造しています。銅やタンタルなど50種類以上の元素を扱い、スマートフォンやデータセンター向けの半導体製造を支えています。
IPOの目的:成長戦略の加速
JX金属のIPOには、以下のような目的があります。
- 成長資金の確保:研究開発や設備投資を拡大し、最先端技術の開発を推進する。
- 半導体材料事業の強化:AI需要の拡大を背景に、次世代半導体材料への投資を加速。
- 独立経営の実現:ENEOSホールディングスとの親子関係を解消し、経営の自由度を高める。
林陽一社長は「日本に技術をしっかり残すことを大事にしたい」と述べ、国内での新工場建設にも意欲を示しています。
上場初日の動向と市場の反応
JX金属の初値は843円で、公開価格820円を2.8%上回りました。売り出し総額は4380億円に達し、2024年度最大規模のIPOとなりました。
市場関係者の間では、「AI向けの需要が高まっているが、半導体業界全体の市況が不透明なため、株価の上昇は限定的だった」との見方もあります。しかし、PER(株価収益率)を考慮すると、成長の余地があるとする意見もあります。

Yahoo!ファイナンスより
今後の展望と課題
JX金属は、資源・製錬企業から脱却し、半導体材料を軸とした成長戦略を進めています。しかし、以下のような課題もあります。
- 非鉄金属市況の変動リスク:原材料価格の変動が業績に影響を与える可能性がある。
- グローバル競争の激化:特に中国や韓国企業との競争が厳しくなっている。
- 親会社ENEOSとの関係変化:経営の独立性が高まる一方で、資本関係の変化による影響を慎重に管理する必要がある。
これらの課題に対応しながら、JX金属が半導体材料のリーディングカンパニーとしてさらなる成長を遂げられるか、今後の動向が注目されます。

まとめ
- JX金属の上場は、日本の産業界と投資市場に大きな影響を与えた
- 半導体材料分野で世界トップクラスのシェアを誇り、AI市場の拡大とともに成長が期待される
- IPOによる資金調達を活用し、研究開発や設備投資を強化する計画
- 市場競争の激化や原材料価格の変動といった課題に対応する必要
- 今後の成長戦略として、独立経営を実現し、グローバル市場での競争力を高めることが求められる
JX金属の成長が、日本の半導体産業全体にどのような影響を与えるのか、引き続き注目が集まります。

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