競馬・パチンコはOKなのに?オンラインカジノって違法なの?
お笑いタレントが事情聴取を受け、卓球選手が書類送検されるなど、オンラインカジノを巡る問題が相次いでいます。ギャンブルをしない人でも無自覚に犯罪に手を染めるケースがあり、重い犯罪の入り口にもなります。なぜ摘発者が急増しているのでしょうか?
「ギャンブルは数学が苦手な人への税金だ(The lottery is a tax on people who are bad at math.)」という言葉があります。
これはアメリカの数学者ポール・ドイルが述べたとされ、ギャンブルに手を出す人々が長期的に損をする仕組みについて指摘しています。
最近では、芸人やスポーツ選手がオンラインカジノに関与していたというニュースが話題になっています。日本国内ではオンラインカジノは明確に違法とされており、利用者が摘発されるケースも増えています。
一方で、日本には競馬や競輪などの「公営ギャンブル」が合法的に存在しています。なぜこれらが認められ、オンラインカジノは違法なのでしょうか?
オンラインカジノはなぜ違法なのか?
刑法による規制
日本の刑法第185条では、運や偶然の結果にお金や財産を賭ける行為を「賭博」と定義し、原則として禁止しています。
オンラインカジノはこれに該当するため、利用者には50万円以下の罰金または科料が科される可能性があります。常習的に利用した場合、「常習賭博罪」として3年以下の懲役が科されることもあります。
海外運営でも違法
「海外で合法的に運営されているなら、日本でも大丈夫」と思う人もいますが、それは誤解です。
海外で認可されているオンラインカジノであっても、日本国内からアクセスし賭けを行えば、刑法第185条および第186条に抵触します。
日本の法律では、賭博行為が行われる場所ではなく、利用者の所在地が重視されるため、国内からの利用は違法とみなされます。たとえ海外のサーバーを利用していても、日本の法律に違反することになります。
公営ギャンブルとは?
日本の公営ギャンブル
公営ギャンブルは、特別な法律のもとで国や地方自治体が運営し、その収益を公共事業や地域振興に活用しています。以下が主な公営ギャンブルです。
- 競馬(JRA・地方競馬)
- 管轄:日本中央競馬会(JRA)、地方競馬全国協会(NAR)
- 収益は地方財政や社会福祉に活用される。
- 競輪
- 管轄:日本競輪選手会、地方自治体
- 自転車競技の順位を予想するギャンブル。
- オートレース
- 管轄:日本小型自動車振興会(JKA)
- バイクレースの順位を予想するギャンブル。
- ボートレース(競艇)
- 管轄:一般財団法人日本モーターボート競走会(JLC)
- 6艇のモーターボートレースの順位を予想。
- 宝くじ
- 管轄:全国都道府県および指定都市、みずほ銀行(販売代行)
- 収益の一部は地方財政や福祉事業に活用される。
- TOTO(スポーツ振興くじ)
- 管轄:独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)
- サッカーの試合結果を予想するギャンブル。
公営ギャンブルの収益の使い道
公営ギャンブルの収益は、以下のような公共事業に活用されています。
- 公共交通機関の整備(鉄道や道路の建設・維持)
- 学校や病院の建設・運営
- 災害復興支援
- スポーツ振興事業
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公営ギャンブルが認められる理由
特別法による合法化
競馬や競輪、ボートレースなどの公営ギャンブルは、「競馬法」や「モーターボート競走法」などの特別な法律によって運営されています。これらの法律のもとで国や地方自治体が管理し、収益を公共事業や地域振興に活用しています。
透明性と規制
公営ギャンブルは厳格な規制のもとで運営されており、不正防止や依存症対策も進められています。例えば、未成年者の参加禁止や広告規制が設けられています。一方で、オンラインカジノにはこうした透明性や規制がなく、不正や詐欺行為のリスクが高いとされています。
社会的還元
公営ギャンブルの収益は、公共交通機関の整備、学校や病院の建設、災害復興支援、スポーツ振興などの公共事業や福祉活動に使われるため、社会的な利益を生みます。
例えば、競馬の収益の一部は地方自治体に配分され、教育施設の充実やインフラ整備に活用されています。また、競輪や競艇の利益は福祉事業や障がい者支援、地域振興プロジェクトにも使われています。
一方で、オンラインカジノの利益は海外企業に流れることが多く、日本国内には還元されません。この点も公営ギャンブルとの大きな違いです。
パチンコは公営ギャンブルではない
パチンコは日本全国に広がるギャンブルの一種ですが、公営ギャンブルとは異なります。
パチンコは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づき、民間企業が運営しているため、公営ギャンブルとは区別されます。
一般的にパチンコ店では直接現金を賭けることは禁止されていますが、景品交換所を利用することで実質的に換金が可能となる仕組みになっています。このため、法律上はグレーゾーンの存在が指摘されています。
ギャンブル全般に共通するリスク
依存症の危険
ギャンブル依存症になると、心やお金に大きな問題が起こります。日本では約196万人がギャンブル依存症の疑いがあるとされています。
依存症になると、日常生活に支障をきたし、仕事や学業への集中力が低下するほか、人間関係の悪化や借金の増加といった問題が発生します。
経済的損失
一度ハマると負けを取り戻そうとしてさらにお金を賭ける「損失回避バイアス」が働き、多額の借金を抱える人も少なくありません。
犯罪への関与
借金返済のために闇バイトなどの違法行為に手を染めるケースもあります。特にオンラインカジノでは、不正決済代行業者など犯罪組織との関わりが指摘されています。
まとめ
- オンラインカジノは日本国内では刑法上違法
- 海外運営でも国内から利用すれば処罰対象
- 公営ギャンブルは特別法によって合法化され、収益は公共事業に活用
- どのギャンブルにも多額の損失や依存症のリスク
ギャンブルに興味があるなら、その危険について家族や友達と話してみましょう。
また、ギャンブル依存症のリスクを感じた場合は、専門機関に相談することも大切です。
「ギャンブル依存症相談窓口」や「こころの健康相談統一ダイヤル」などが支援を提供しています。お金について学ぶ機会を増やし、健全なお金との付き合い方を身につけましょう。
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