政策金利が17年ぶりの高水準:日銀の利上げは0.5%へ

日銀が24日の金融政策決定会合で利上げする方針であることが23日、分かった。利上げは昨年7月以来で、政策金利を現行の0.25%から0.5%に引き上げる。0.5%の政策金利は、2008年10月以来約17年ぶりの高水準。今年の春闘では、昨年に続いて大幅な賃上げが期待できることに加え、トランプ米政権発足後も金融市場の混乱が回避されたことを受け、利上げに踏み切る。

日銀、0.5%に追加利上げへ 米新政権発足、市場の混乱回避―決定会合:時事ドットコム

日銀が政策金利を0.5%に引き上げることを発表しました。昨年7月以来の利上げであり、約17年ぶりの高水準となります。
この政策変更には、日本経済の安定や賃上げの定着を狙う目的があります。日銀の利上げの背景や影響について見てみましょう。

利上げとは?

利上げとは、日銀が貸出や預金に関する金利を引き上げる政策のことです。金利が上がると、お金を借りるコストが増え(払う利息が増える)、消費や投資がおさえられます。その結果、物価の上昇を抑えたり、経済の安定を図る効果が期待されます。

お金を預ける場合は、利息が増えるので、お金をつかわずに銀行に預けようとする人が増えます。その結果、モノを買うことを控えて世の中で回るお金の量が減ります。それによって、物価が上がるのがゆるやかになる、という考え方です。

なぜ今回利上げが行われるのか

賃上げの期待
今年の春闘(毎年春に労働組合と企業が賃金や労働条件を交渉する期間)では、多くの企業で賃上げが進むと予想されています。日銀は、これにより消費が活発になり、日本経済を支えると期待しています。

安定した金融市場
トランプ米大統領が関税措置を検討している中でも、市場は比較的安定しています。この安定した環境が利上げを後押ししました。

景気後退への備え
現在の景気が良い間に利上げを進めることで、将来の景気後退に備える狙いもあります。

利上げの影響

家庭への影響

  • ローン返済の増加: 住宅ローンや教育ローンの金利が上がり、返済額が増える可能性があります。
  • 貯金の利息増加: 銀行預金の金利も上昇するため、貯金が増えやすくなります。

企業への影響

  • 投資の抑制: 借入コストが上がり、新規投資に慎重になる企業が増えるかもしれません。
  • 消費の活性化: 賃上げが進むことで消費が増え、企業の売上が伸びる可能性もあります。
外国為替市場と株式市場への影響

外国為替市場への影響

  • 円高の可能性: 利上げにより日本円の金利が上昇すると、円を保有する魅力が高まり、円高が進む可能性があります。
  • 輸出産業への打撃: 円高により、輸出企業の商品が海外で割高になるため、競争力が低下するリスクがあります。

株式市場への影響

  • 株価の下落リスク: 金利上昇は企業の借入コストを増加させ、収益性に悪影響を与える可能性があります。
  • 金融セクターの恩恵: 銀行や保険会社など、金利上昇の恩恵を受ける企業もあります。
日銀のこれまでの利上げ
  • 2023年3月: マイナス金利政策を終了し、政策金利を0%に引き上げ
  • 2024年7月: 政策金利を0.25%に引き上げ
  • 2024年12月: 政策金利を据え置き
  • 2025年1月24日: 政策金利を0.5%に引き上げ。約17年ぶりの高水準

日銀は段階的に政策金利を引き上げ、経済の安定を目指しています。

アメリカは利下げを続けている
  • 2022年3月: 政策金利を0.25%~0.50%に引き上げ
  • 2022年7月: 政策金利を2.25%~2.50%に引き上げ
  • 2023年7月: 政策金利を5.25%~5.50%に引き上げ
  • 2024年9月: 政策金利を4.75%~5.00%に引き下げ
  • 2024年11月: 政策金利を4.50%~4.75%に引き下げ

FRBは2022年からインフレ抑制のため積極的な利上げを行いましたが、2024年には景気減速を受けて利下げに転じました。

海外との関係

トランプ政権の関税措置検討により、日本の輸出産業は為替変動や輸出コスト増加の影響を受ける可能性があります。輸出企業は為替リスク管理が重要です。

まとめ
  • 日銀は景気安定と賃上げの定着を目指し、0.5%の利上げを決定
  • 家庭や企業には金利上昇の影響があるため、適切な対策が必要
  • アメリカFRBは利下げに転じ、日米の金利差が為替市場に影響を与える可能性

利上げが家計にどんな影響を与えるのかを話し合ってみましょう。お小遣いや貯金の計画を見直すことで、金利の変化が日常生活にどのように関わるのかを理解する良い機会になります。また、将来の経済や職業選びについて調べるきっかけとして、家族で情報収集をする時間を作るのもおすすめです。

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