東宝・任天堂が躍進!2027年卒人気ランキングと日本の“本当の働き手不足”
2027年卒の大学生・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」で、総合1位は8年連続で伊藤忠商事、3位に東宝、4位に任天堂が入りました。エンタメ企業の存在感が強まる一方で、三菱UFJ銀行などの金融機関も順位を上げ、学生の企業選びには明確な変化が見られます。
こうしたランキングは、どの産業が成長し、学生がどんな働き方を求めているかを示す指標です。しかし、それは上場企業が中心の「一部分」であり、日本社会全体の雇用や働き方を理解するには、ランキングの外側にある中小企業の現場を知ることも欠かせません。
ランキング上位の企業がなぜ支持されるのか、そして日本全体で本当に必要とされている仕事は何かを考えてみましょう。
総合商社・伊藤忠商事が8年連続1位を維持した理由
学情の調査によると、総合商社の伊藤忠商事が2027年卒ランキングで8年連続の1位となりました。伊藤忠商事はエネルギーや食料などの非資源分野に強く、ファミリーマートやアパレルなど、生活に身近な事業へ投資している点が学生に評価されています。
働き方改革も注目されています。午後8時以降の残業を原則禁止する「朝型勤務」の導入など、長時間労働を減らす取り組みが紹介され、ワーク・ライフ・バランスを意識する学生の支持を集めました。多様な事業に携わりつつ、健康的に働けるイメージが人気の背景にあります。

東宝・任天堂・出版社──エンタメ企業の人気が高い理由
総合3位の東宝は前回5位から順位を上げ、女子学生のランキングでは1位となりました。2025年の映画興行では「鬼滅の刃」無限城編や「国宝」などのヒットが続き、2025年度は過去最高益を見込むと報じられています。
4位の任天堂は、新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の販売が好調で、ニュースで業績が取り上げられる機会も多く、学生が仕事をイメージしやすい点が人気につながっています。7位の集英社、9位のKADOKAWAなどの出版社も、「鬼滅の刃」「呪術廻戦」などのヒット作やIPビジネスの拡大で注目を集めました。
上位10社のうち5社がエンタメ関連企業です。ゲーム・映画・マンガ・テーマパークなど、「日常的に触れているサービス」がある企業ほど、仕事内容を想像しやすく、「好きが仕事につながる」という期待が人気を押し上げています。
金融機関の人気が回復した背景──マクロ経済とのつながり
エンタメ企業が目立つ一方で、金融機関の人気も戻りつつあります。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそなグループはいずれも前年から大きく順位を上げました。
背景として「マイナス金利政策の終了」が挙げられます。金利が上がると銀行の利ざや(貸出金利と預金金利の差)が改善しやすく、銀行の収益向上が期待されます。株価上昇と合わせて「追い風が吹いている業界」という印象は、学生の企業選びにも影響しています。
ランキングの外にある現実──日本の雇用の中心は中小企業
話題は大企業が中心ですが、日本企業の99.7%は中小企業であり、雇用全体の約7割を支えています。中小企業白書などの調査では、以下の業界で深刻な人手不足が続いていると報告されています。
■ 人手不足が特に深刻な業界
- 宿泊・飲食サービス:インバウンド回復で求人倍率が高い状態が続く
- 建設業:現場の作業員不足が長期化
- 運輸業:ドライバー高齢化で物流の担い手が不足
- 医療・福祉:高齢化により介護や看護の需要が増加
- 製造業:技術者・オペレーターの採用ニーズが高い
これらは地域社会や日常生活を支える仕事であり、大企業のランキングとは異なる「現場のリアル」を示しています。

地域の仕事とスタートアップ──“選ばれる側”の変化
地方では観光・農業・介護など、地域密着型の求人が増え、自治体の支援策も広がりつつあります。都会の大企業だけでなく、地元で暮らし働くスタイルが選択肢として見直されています。
また、スタートアップ企業やIT系中小企業も、成長のために新しい人材を求めています。社会課題の解決や新規事業の開発を重視する学生には魅力的な選択肢であり、「大企業にはないスピード感で成長できる場所」として関心が高まっています。
まとめ
- 伊藤忠商事が8年連続1位となり、生活に近い事業と働き方改革が評価された
- 東宝・任天堂などのエンタメ企業が上位
- 金融機関はマイナス金利終了などマクロ経済の変化で人気回復
- 日本の雇用の中心は中小企業であり、建設・物流・介護などで人手不足が深刻
- 地域密着型産業やスタートアップも重要な選択肢として注目
就職人気ランキングを見たとき、自分がふだん利用しているサービスを提供している企業はいくつあるでしょうか。好きな作品を生み出す企業と、社会を日々支えている企業にはどのような違いがあるのかを考えることも大切です。また、建設・運輸・介護といった業界で人手不足が続く理由を想像してみると、経済のしくみがより立体的に見えてきます。
もし自分が会社をつくる立場なら、どんな人と働きたいか、どんな職場にしたいかを思い描いてみてください。そして、将来の進路を考えるときには、「人気企業で働くこと」と「自分の力を発揮できる環境」のどちらをより重視したいのか、自分なりの答えを探してみてください。
これらの視点を通して、大企業だけでなく地域社会を支える中小企業にも目を向け、仕事と経済のつながりを考えてみてください。
