私立大学の入学金返還問題:吉村大阪知事が国に制度改善を訴え

併願の私大入学金はなぜ返還されないのか 親として国に直訴した吉村大阪府知事と私大反応 - 産経ニュース

受験生が大学に納付した入学金が入学を辞退しても返還されない現状の見直しを求め、大阪府が8月、国に各大学へ働きかけるよう要望した。きっかけは保護者として受験を経…

私立大学の入学金は、入学を辞退しても返ってこないことが普通です。大阪府の吉村洋文知事は、自身の経験から「入学金二重払い」の負担を指摘し、制度の見直しを国に要望しました。
一方で大学は、入学金を「入学資格を得るための費用」として返還義務はないと説明しています。入学金の仕組みや大学と保護者の意見、最新の制度改正の動きを見てみましょう。

入学金の仕組みと大学の立場

入学金とは
入学金は「大学に入る権利」を得るための費用とされています。最高裁判所は2006年に「入学金は返還義務がなく、授業料は返還すべき」と判断しました。
大学側は入学金を年度初めの運営費や施設維持、教育環境整備に活用しており、入学手続き要項に「返還しない」と明記する大学が多いのが実情です。

大学側の見解
大学は「返還すると財源が減り、学費値上げにつながる」と主張しています。また、入学金は制度上「入学資格の対価」とされており、法的にも返還義務はないと説明しています。

保護者や吉村知事の主張

国公立大学の合格発表前に私立大学の入学金納付期限が設定されていることが多く、結果的に複数大学への「二重払い」が発生します。大阪府の調査では、68%の回答者が「入学金や授業料は返還されるべき」と答えています。
吉村知事は「子育て世帯の負担を軽くし、学生の進路選択の幅を広げるために納付期限の後ろ倒しや返還制度の導入が必要」と訴えています。

大学と保護者の主張比較
視点吉村洋文知事大学側
基本的主張入学しない大学への入学金は返還すべき入学金は入学資格の費用で返還義務なし
学生・家庭への影響二重払いが経済的負担に財源減少で学費値上げの恐れ
要望納付期限の延長や返還制度の導入法令や大学判断に基づく対応
財源入学者のための工夫で確保すべき運営資金に充当し安定運営に必要
制度変更文科省や国に改善を要望入試制度全体の見直しも必要
最新の返還制度の動き

文部科学省は2025年6月、大学に負担軽減策を求めました。美作大学は国公立合格者に対して入学金全額を返還、桃山学院大学は約8割を返金する制度を導入しました。
さらに他大学でも「分納制度」や「条件付き返還」が広がりつつあります。入学金の分割払い制度や辞退時の返還制度が導入され、学生の進路選択を広げる動きが進んでいます。

まとめ
  • 入学金は「入学資格の費用」として返還義務がない
  • 二重払いは家庭に大きな経済的負担を与えている
  • 文科省や自治体が制度改善を要望している
  • 一部大学は返還制度や分納制度を導入し始めた
  • 解決には入試制度全体の見直しも必要

教育費と進路選択の問題は、今後の進学や家庭の家計に深く関わります。「お金が理由で進路をあきらめる」ことがなくなるためには、どのような仕組みが必要でしょうか。みなさんも身近な問題として、教育費や入学金のあり方を考えてみてください。